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人生の区切りを迎えて#22 自分のことをプロデュースする難しさ
■自分の身近なところからデジタル化する
年末にマルセロさんのnoteを読んで早速、私もプレーリーカードを申し込んでみた。
以前もお話ししたが、今さら名刺を作って配るような仕事をしようと思ってはいなかったし、その小さな紙面に記載してある情報だけで私とコミュニケーションをしたいと思っている人は限られているだろうから。それにつねにアップデートすることができるのもいい。
しかしなかなかカードが届かない。
年末だったということが郵送に影響したのかそれとも郵便局の配送ルールが変更されたのか。たぶん、年賀状の配達で忙しいのだろうなどと思いながら、とにかくすぐやりたい派の私は少しじれったかった。
それでも事前に個人情報を登録することができることがわかったので、PCから登録してみることにした。まずは自分の履歴書みたいなものからデータをひっぱり出して、noteをはじめフェースブックやインスタグラムなど、自分が手掛けているSNSも選びながら事前の準備は完了。まあキャッチフレーズみたいなものは得意中の得意なので、サクっと作ってしまえばいいしとタカをくくっていた。
■自分のことを自分が一番分かっていない
さて登録の作業を始めようとしたら、いきなり悩みが発生。えっどんな顔写真を貼ったらいいのかな。イラストでもいいだろうけど、そんな気の利いたのないし…。まあ、それは後からでもいいや、と思い直して見てくれた人への自分の紹介文は…転職の面接でもないし、何か味気ない文章が立ち並ぶ。大学を卒業してからの経歴を知りたいのか?いやいや、今の自分は何が得意で、これからどんな構想を描いているのか…。
自称ライターとして食ってきたと自負している自分が、いざ自分のことを、しかも今現在から将来に向けての自己紹介をしようとすると、こんなに悩んでしまうとは、何とも情けない限り。年明けの親しい人たちとの懇親会でご披露しようとしていたのに、これでは恥を晒すことになってしまう。
あんなにカードが来ることを楽しみにしていたのに、急に何だか焦り始めた自分がいた。
いや、こういう時こそ冷静になって、どんな見られ方をしたいかという原点に戻り、新人になったつもりで、少し気恥ずかしいことを、堂々と言ってしまうしかないと開き直ってみた。SNSだってnote以外は個人的な内容の羅列に過ぎないし、こんなの第三者に見せて大丈夫かと思ったが、私の人となりでいいんだと思い直して登録してみた。こんなにセルフプロデュースが難しいなんて思ってもみなかったが、これから活躍して行く人たちは、こういう能力を若いうちから身につけて行くのだろうと改めて認識した次第。
■デジタル化とは未来に繋がること
そんなこんなで、これまでプライベートや自分の価値観を晒すことに抵抗があったのだが、デジタル時代に誰かと繋がろうとすれば、そのリスクは背負わなければならない。それができるようになったのは、いい歳になって、せっかくこの世の中に生まれてきて、自分の価値観の中だけで生きるのはもったいない。いい人だけでなく、良くない人とも場合によっては交じらわなければと思ったからだ。
自分が見えている景色の中にいる人だけが、自分にとって大切な人なのかといえばそうではないはず。この世のどこかで、私の考え方、生き方に共感してくれる人がいることがわかった方が、死に際にいい人生だったと思えるのではないかと考えたからだ。
オーストラリアでは昨年、16歳以下のSNS使用を禁止する法案が成立した。確かに問題が多いことは事実だが、だからと言って法律で人々のコミュニケーションを取り締まるなんて、時代錯誤もいいところだ。むしろ、大人たちが自分たちで子どもたちに使用するルールを教えることを放棄しているとしか思えない。学校で習ったはず(?)だ、民主主義には時間とお金が掛かると。ある程度の制限をしながらも、こうやっておっさんさえも自分の領域を広げるために挑戦しているのに、これから未来が待っている若者たちから、世界に広がっていくコミュニケーション手段を取り上げるなんて、本当に恐ろしい世の中になってしまいそうだ。
あえていうならば、これまでも問題が出るたびに議論を重ね、解決策を模索し、それを乗り越えてきた人類の歴史があるはずだ。見えなくするのではなく、一定の距離を取って冷静にみんなでどうするべきかを考える機会があった方がいいし、16歳以下の人たちにも考えるきっかけを与えることになる。
そう、大人が面倒くさがらず、生活の中の異物を排除するのではなく、みんなで考えるチャンスがやってきたと考えて欲しいと願う。あれだけ面倒くさがり屋で、合理主義者の私でさえも、このカオスの中に飛び込もうとしているのだから。
———編集後記———
それにしてもコンテンツがない。
「しなやかで最強のコンテンツを創造する」と
自分のキャチフレーズと異なるが
こうやって向き合いながら
日々アップデートしながら
いくつもの自分を紹介できるようになりたい。
カードへの事前登録をしながら
覚悟を決めてきた。
最近フェースブックなどで
同級生たちの投稿を見ていると
同じように人生を歩んできても
置かれた立場や現在の心境は
人それぞれに違うことがよくわかった。
学生の頃はみんな同じ制服を着て
同じ教室で同じ科目を勉強し
同じ時間を過ごしたはずなのに
こうやってそれぞれが違う場所で
違う人たちと出会うことで
こんなにも多様な生き方に出会うことができる。
そんなプラットフォームを
新しい世代の人たちが
私たちに提供してくれたことに感謝して
いよいよプレーリーカードのお披露目に
向かいたいと思います。