見出し画像

一冊の本#03 誤努力 やりたいことの探し方

「誤努力 やりたいことの探し方」
中井 淳夫 著 エスシーシー 刊
2016年2月22日発行

9割が「誤努力」で自滅! ?
誤努力の罠に陥らず、あなたの「やりたいこと」でハナヒラク人生を。

この言葉に惹かれて、書店で手に取った書籍だった。人はもちろん、無駄なことをしないで、できるだけショートカットして成功まで辿り着きたいと思うから。

でも、この本は、本当に難解だった。
内容が小難しいと言うわけでもないのに、なぜか頭に入ってこない。何度も読み返すし、時間をおいて読んでみるけど、文脈を理解することすらできない。

私もこれまで色々と本を読んできたが、これほど理解できなかったものはなかった。

著者の経歴を見て、少し納得ができた。元々理系出身の方で、「生物の生存戦略とマーケティングにはいくつもの共通点があるとともに、決定的な違いがあることにも気付き、マーケティングに深く入り込むようになる」と、著者の紹介文に書いてあった。

なるほど。私たちが今まで頭に入れてきた数値や確率に基づくマーケティングではなく、生物がいかに生き残るかを考える生命科学的な論理で説明するマーケティングなので、私が理解できなかったのも無理もなかった。

古い地図に頼って努力しても「自滅」するだけです。かって正しかったものであっても今では大きな誤りを生んでいることに気が付けず、誤努力を続けて彷徨い続ける姿を想像してください。他人の目から見れば滑稽で思かな行為ですが、本人にしてみれば、努力するほどにますます事が悪くなるという地獄のような状況です。

前書きより

確かに、私たちが生きている社会は、人間が考えた論理によってすべて動いているのではなく、基本的には生物学的な仕組みによって動いているわけだし、合理的なしくみに基づいているというより、生き物としての“感情”が行動原理になっているということは、周知の事実であろう。それに基づいてマーケティング戦略は実行され、まさに少しずつ人の感情のポジションが変わっていることに気がつかないと、以前、うまくいったことでも、同じように再現されるとは限らないし、むしろそうならない。

そう考えると、著者のいう“誤り”というのは、意図的というよりも、潜在的に入力された自分の考え方が、時間とともに、“適切”に合わなくなっていくということのように思えてきた。要するに、意図しないところで誤った判断をしてしまう、その分岐点を探さなければならないのだが、私には本書からその答えを見つけ出すことができなかった。考えてみれば、そうやって世代間のギャップだったり、成功した人間のプロセスだったり、意見の相違を確認するための私たちの行為はとても切ないような気がしてきた。

そう考えると、自分の価値観や嗜好性をベースにしたマーケティングではなく、これからは、人間の根本的な行動原理によってアプローチする原始的なマーケティング理論を学ぶことで、心理学的な駆け引きによるカスタマーとの対峙が、さらに面白くなっていくのではないかと思う。その原始的なマーケティングというのが、私たちが気がついていない行動を数値化して、分析して、その原因物質を見つけ出すことなのかもしれない。

これは困難極まりない。

中井 淳夫
1962年生まれ、1985年近畿大学農学部卒。卒業後スカウトされて転職した企業でマーケティングに出会う。生物の生存戦略とマーケティングにはいくつもの共通点があるとともに、決定的な違いがあることにも気付き、マーケティングに深く入り込むようになる。流行やマニュアル的な手法に溺れて、努力するほどに悪循環を招いて自滅している状態を「誤努力」と名付けた。以下省略

▶︎あとがき
ひとえに、タイトルに惹かれて手に取って、そして買ってしまったという、私に向けた最適なマーケティングによって購買行動に出てしまった一冊であった。あらためて読み返してみても、やっぱり頭の中に入ってこないとすれば、私のものの考え方が、違う次元にあるのかもしれないと思った。マーケティングに長年携わってきた私としては、経年劣化を起こしている既存のマーケティング理論に、新たなアプローチをしていくことが必要な時代になったことを、あらためて認識させてくれることになった。

#一冊の本


いいなと思ったら応援しよう!