自分の言いたいこと
先週からNHKスペシャルで、人間の細胞に
ついての特集番組が放映された。iPS細胞の
山中教授など顔ぶれも豪華で、ついつい
見入ってしまった。
番組によると、人間の脳の成長というのは
10代でおおよそ止まるらしい。ヘビ毒に似た
物質によって強制的に止められてしまうとか。
おいおい、すると、私たちの脳は10代ぐらい
から何の進歩もないということなのだろうか。
ところが、そこにはさらなる成長戦略が隠され
ており、大人になっても神経細胞は“進化”し
続けるらしい。「オリブデンドロサイト」という
物質によって、神経細胞に脂肪が巻き付けられ
る「ミリエン化」によって、情報伝達スピード
がはるかに早くなるとか。
なぜ、このようなことを細胞は行っているかと
いえば、成長し、変化し続けるということは、
やはり細胞にも負担が大きいらしい。そこで、
基本となる動きに限定して、それを強める方法
を選んだということのようだ。
と、すれば、小中学生で何かをやるきっかけが
ないとダメなんだろうか。早期の英才教育が
頭をかすめたが、そうでもないらしい。
確かに、スポーツや特殊技能は、早期に身体に
覚え込ませることで「型」が身につくが、
普段の生活の中で活かすことができる能力は、
他にもたくさんあるだろう。
例えば、私は、学生時代、まったくと言って
いいほど、文章を書くことが苦手だった。
作文でほめられたり、読書感想文で賞をもらう
こともなく、修学旅行の作文もいやいや書いた
記憶しか無い。
文章というものと真剣に向き合ったのは、大学
4回生の就職活動の時だった。マスコミの試験
に創作作文は必須で、例えば「雨」と「ボール」
の2つの言葉を使って800文字で物語を書きな
さい、というようなお題が出てきて、それこそ
必死になって書いた覚えがある。
ノートはもう残っていないが、友人が驚くほど
冊数を重ね、一つのお題で、3つぐらいのスト
ーリーを書けるぐらいの筆量は身についたと
思う。今、考えると、そのときに書き連ねた
量が、神経細胞を太らしたのは確かだろう。
就職活動の結果は思うようにならなかったが、
新聞社に転職するときの作文課題には、
十分な成果を発揮したと思う。
現在、この立場になって、自分の考え方を、
あらゆる人たちに伝えることが役割になり、
文章力や表現力は、自分にとっても大いなる
武器になっている。話し言葉も大切だが、
交渉ごとなどの場合、順序立てて相手に理解
させるのにも必要だ。言いにくいことを抽象的
に表現したり、分かりにくいことを噛み砕いて
表現するときなどに、文章力は力を発揮する。
自分を取り巻く人たちに対しても、適切な言葉
が欠かせない。
ある人からは、私は、私のしたいと思うことを
私の思う方向に、知らない間に導こうとしてい
る、と指摘された。ああ、そう相手に感じさせ
るようでは、まだまだ未熟だと言わざるを得な
い。でも、もしかすると、わざと分かるように
しているかもしれないのでみなさんご注意を。
さてさて、今年の夏には、全社員を対象にした
試験制度がスタートする。一般教養は、少し
参考書を読めばできるでしょうし、時事問題も
新聞などを読めば分かると思いますが、小論文
というのは普段から書かなくては上達しない。
このめるまがは、毎回、1400〜1500文字で
書いていますが、基幹職が書かなくてはなら
ない文字数は、1600〜2000文字だ。一つの
テーマに対して、自分の言いたいことを2時
間で書き連ねるにはどうしたらいいかと言う
問いが、ここに来てようやく求められるよう
になったのだ。
ようやく、ペンが武器になるステージが
やってきたようだ。
* * *
神経を太らす・・・。
とてもいい言葉だと思う。
最近でいえば
習慣化と言うキーワードが叫ばれているが
繰り返し繰り返しやり続ける意味が
論理的に証明されたきたようだ。
私も9年前に突然
ギターを習い始めたのだが
今や毎朝
会社に行く前のルーティーンとして
2、3曲弾くようにしている。
あれだけ習い事が続かなかった私が
ギターや中国語、自転車にバイクと
少しずつだが続けられているのが
不思議で仕方がない。
あと残りの人生がどれだけか分からんが
やってみたい、見てみたいという好奇心
だけは忘れずにいようと思う。
#あの時のジブン |03