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一冊の本#05 親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの? ――人生という「リアルなゲーム」の攻略法

「親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?――人生という「リアルなゲーム」の攻略法」

橘 玲 著 筑摩書房 刊
2024年11月27日発行

最近、noteに原稿を書き続けることでアウトプットの量は増えているのだが、その分、インプット――つまり“読書”の時間が減っている。旅行の機会が増え、物理的に動いていることも一因だが、「これを読みたい」と思わせる本になかなか出会えていなかった。

そんなとき、あるメルマガで紹介されていたのが、橘玲さんの『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?』。もともと橘さんのファンということもあり、迷わず手に取った。

そして、読んでいるうちに「これはシンプルだけど、実はとても深い話だな」と思う一節に出会った。

経済合理性というのは、ものすごく簡単にいうと、 1+1=2ということです。 「なんだ、そんなの当たり前じゃないか」と、笑ったかもしれません。 でも大人になると、1+1=3だとか、極端な場合は100になると思っているひとがたくさんいることに気づくでしょう。

本文 はじめにより

この言葉を読んで、改めて「人間の欲望って面白い」と思った。

■「自分だけは特別」という幻想
本来、物事には普遍的な法則がある。1+1は、どう考えても2にしかならない。それなのに、人はどこかで「自分だけは違う」と思い込んでしまう。

たとえば、会社で昇進すると、自分自身も成長し、より賢くなったように錯覚する。しかし、ポジションが変わっただけで、能力そのものが急激に向上するわけではない。
あるいは、「自分だけは特別な成功をつかめる」と信じる人もいる。投資やビジネスの世界では、この思い込みが命取りになることも少なくない。

著者はこうした「自分だけは例外」という考えが、いかに危険かを説いている。お金持ちになれる人と、そうでない人を分けるのは、単純な法則を無視しないこと。つまり、「当たり前のことを、当たり前にやる」ことが何よりも大切なのだ。

■他人は成功よりも失敗を見たがる
最近、もう一つ印象的なエピソードがあった。ある小学生が、黒板に九九の計算を9問書き出した。そのうち8問は正解だったが、1問だけ間違えてしまった。

すると、クラスの子どもたちはそのミスを見て大笑いした。それを見た先生は、こう問いかける。
なぜ、正解だった8問を褒めないのか?」と。

この話は、社会の縮図のように思える。
人は、他人の成果よりも失敗に注目しがちだ。たとえば、イチローがどんなにヒットを打ち続けても、大事な場面で三振すると「なぜ打てなかったんだ」と責める人が出てくる。

でも、そんなことを言う人ほど、自分では何もしない。


失敗しない人」はいない。いるとしたら、それは「何もしない人」なんだと思う。
お金持ちになるための本を読んでいるはずが、気づけば「人生の本質」について考えさせられていた。

▶︎あとがき

日本では、一度の失敗でその人の価値を決めつける風潮がある。でも、失敗を恐れて何もしなければ、成功のチャンスすら手に入らない。本書は、「どうやってお金持ちになるか?」というテーマを扱っているが、その本質は「人生をどう生きるか?」という問いそのものだ。

「当たり前のことを、当たり前にやる。」

シンプルだけど、意外と難しい。でも、だからこそ、それを実践できる人は成功をつかめるのだと思う。この本を読んで、そんな大切なことを改めて教えられた。

#一冊の本


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