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お互いの接点を求めようとしないギャップ

韓国でのんびりするどころか、もうぐったり。かみさんとはケンカするし、踏んだり蹴ったり。しかも今日からフル回転で仕事が待っているから、この一週間は地獄のスケジュールになりそう。そういうときに追い打ちをかけるように相談事も飛び込んでくる。適当に話し相手になっていられればいのだが、長い付き合いの彼が会社を辞めるかどうか、という人生の瀬戸際にいるっていうからこれまた深刻な状況だ。足掛け10年在籍した会社、いやパートナーと離れるのはとても難しい。私などは2~3年で組織を変わったりしているからその辺はさっぱりしているが、彼の場合はそうはいかない。

まあ、私の遍歴?も最終的にはなじられたりしたが、逆に言いたい人には言わしておけ、という気持ちで聞き流していたぐらいだからかえって煩わしくなかった。

人間関係は、その人の置かれた状況によって刻一刻と変わっていくものだ。結婚や出産などもライフスタイルや価値観が変化する最たる機会で、彼の場合もそこに重なっていた。独立してこの煩わしさから解放されたい。この言葉に私が何を言えというのだろう。まさにこの言葉を叫びながら、ある意味わがままだと思いながら、自分の気持ちの思うままに行動してきた私にとって、彼に辞めるな、などと無責任なことはいえない。しかしそうしろと言える立場でもない。彼の存在は、いまの私のクライアントにとっても大切な関係にあり、悠々と事の成り行きを見守っているほど余裕があるわけではないのだ。

しかしこういう話しを繰り返し聞いていると、自分の場合も含めてある共通のキーワードがある。それは“ギャップ”だ。年齢然り、価値観然り、つまりは人生における生き方が違うように思えてならない。50~60歳代の人たちは、つねに組織を基準にものごとを考えているが、20歳代後半から30歳代前半の人は個人、しかもものすごくニッチかつ深い領域にこだわる傾向がある。私たち30歳代後半にさしかかると、言い訳のようだが双方の言い分がわかるだけに辛いところだ。

確かに若い彼らのめざす仕事観、生活感は私にとっても理想である。しかしおっさんたちが築き上げたしくみがまだ強固な基盤を持っており、すべてを移行できるわけでもない。食っていくためにバランスをとっているのも事実だし、彼らのめざすスタイルを求めていることも事実。しかしこのギャップの最大の問題点は、若い人たちとおやじ達がお互いに接点を求めようとしていないことだと思う。お互いに“言っても(言ってやっても、はおやじ)変わらない”が口癖で、コミュニケーションすら取ろうとしない。実際に話をしてしまうと破綻が避けられないので、それは怖いと。つまりお互いに譲り合っているということでしょうな。

経営者は実動部隊がうまく回してくれないと、ゆっくりとゴルフにはいけないし、実動部隊はおやじが当たりを付けてくれないと話しが回りくどいから面倒だ、と。

では、どうしたらいいか。それは労使の上下関係ではなく、お互いのスキルをコラボレーションして、何か新しい価値を生み出すことを共通認識にすること。役割の上下ではなく、組織がフラットにならないかぎり解決しないことだと思う。おやじは適当に話しをつけて仕事を“与える”のではなく、共同作業場に提示することになる。いままでとどう違うかといえば、その仕事がやるに値するものなのかを判断する過程が増えるわけだ。もう売上げをあげるために、とか、今後のために、とかいうセールストークは通じない。いわば、発注側も選別される時代になっていくということだ。

お客様は神様の世代にとっては、まさに晴天の霹靂、なんのこっちゃの連発だろう。しかし確実にそうしたい、と制作側は思い込み始めた。もう後戻りはできないだろう。社長だから知らない、とか、良きにはからえの時代は終わりを告げる。私は思う。若人よ、そう慌てるな。ゆっくりだが、確実にその日は来るから。その日までしっかりと実力をつけておくことだ。私も遅ればせながら、その仲間に加われるように、と思っているから。

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私が上司であり経営者であった時期においては
まさに同じようなことが起こった。

この接点というのがなかなか難しく
世代間の価値観の違いはなんともし難いものがあった。

この頃の私の目線は若者側の目線であり
実際に親父たちが不安に思うのは
その実現性や計画性があまりにも脆弱で
確実に失敗しそうな気がしてならないからだ。

私もすでにおっさん側にいた訳なので
そう思い込んでしまっていたのかもしれないし
そもそもアプローチの仕方やリスク管理が
まったく違うことで話を合わせることが困難だった。

そんな時に助け舟になるのが
バランスを取ってくれる存在だ。

私には頼りになる人材が何人かいて
その都度ごとに上と下をしっかりと繋げてくれた。

ギャップがあるのは当然のことで
その間を埋めることができた組織だけが
次のステージに進むことができるということを知った。

ギャップを埋める存在。
かつての私の役割は
着実に次の世代へと引き継がれていることを実感して
少しだけホッとしている。

#あの頃のジブン |56

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