実録ガン横職質日記Part 2
何故かパトカーの中は快適だった
それもそのはずパトカーはハイクラスのトヨタクラウン、後部座席のシートの弾力が極楽を誘う
ずっとこのパトカーに乗車していたい気分にさせる
これなら又捕まってもいいかなんて馬鹿な話は後にして
パトカーが中野にある警察署に到着した
署に連行されるとまず自分の持ち物を全て警官にあずける
すると薄ぐらいどんよりとした壁、机と椅子二つある部屋、いわゆる取調室みたいなところに入れられて、警官2人に詰問される
「正直に言ってください、あれはあなたの自転車ですか?」
「だからそうだよ!!」
もう誰にも止められない
敬語ももう辞めている
「防犯登録者の名前が違うの、ねぇ正直に言えば帰れるよ」
完全にわたしを自転車泥棒として見立てている
この風貌で、しかも耐えてりゃいいもののその場から逃げようとした身分怪しむのも仕方のないことかもしれない、しかし自分の真実はねじ曲げられない、わたしはありのままを語る
「だから何度も言うようにこれは自分の自転車だよ!」
「だから防犯登録者の名前が違うの!それにこの自転車の持ち主から被害届出てるのよ」
嘘だろ!何故そんなことが起こったのかわたしは記憶を辿った、するとこんな記憶が浮上してきた
数日前の話だ
わたしはパチンコをしようと中野にあるとあるパチンコ屋に行った
自転車がいっぱいだったのでとある大型スーパーにある駐輪場に自転車を止めパチンコ屋に入っていった、パチンコに区切りをつけ帰ろうと駐輪場に行くとわたしと同じ自転車が何台も止まっていたのだ
名前も書いてなかったのでどれが自分の自転車なのか分からない
わたしは同じ種類の自転車の鍵穴に自分の鍵を差し込み自分の自転車を探した
鍵が開けば当然のことながら自分の自転車だということが分かる
数台同じ種類の自転車に鍵を差し込む、すると一台の自転車の鍵が空いた
これは紛れもなくわたしの自転車だ
わたしはなんの疑いもなく日々この自転車を乗っていた
そんな記憶が、思い出された
その記憶を警官に語った
そんな話を信用するはずもなく警官は
「なるほど、鍵が空いたから自分の自転車だと思って乗っていたとそう言うことだね」
「だからそうだよ」
もう1人の警官はわたしの一語一句調書をとっているようだ
「じゃあ何時何分どこでこのようなことがあったか細かく教えて下さい」
わたしは言われるがまま細かく事情を説明しそれを警官が調書をとるという作業をしていた
しばらくすると警官がじゃあちょっと待っててと言って部屋を後にし、しばらく帰ってこなかった
圧倒的に時間の進みが遅い、暇すぎて、部屋の前に立っている下っ端の警官にどうでもいい話しを投げかけるも
シカトを決め込むだけで、ピクリともしない
30分ぐらい経ってから警官が戻ってきた
「あなたの供述と盗まれた人の時刻が一致しないのよ、もう一度同じ供述をして」
マジか!
もう一度言わないといけないのか
わたしは仕方なくもう一度さっきと同じ供述を説明する
すると又警官が部屋を後にし、下っ端らしき警官と2人きり無言の時間が続く
携帯も取り上げられているから、携帯も見られない、煉獄地獄時間、気が遠くなるような30分が過ぎ、警官がやっと現れる
「やっぱり合わないな〜もう一度同じ供述を言って」
わたしは同じ供述を又言う
このルーティンを計7回ぐらいやっただろうか・・・
この時すでにコンビニに出かけてから7時間ぐらいが経過していた
もう警官どこにも行かないでー!と言う気持ちにもなるし、この無口の警官と、2人きりになるのもやだ!と言う気持ちが入り混じり、もう本当は盗ってないけど自分が盗ったと言うことにして楽になってしまおうと思った
そうか!これが冤罪になってしまう理由何だと生まれて初めて学んだことだった
人間追い込まれるとどうでも良くなってしまうのだな・・
亡霊のような警官にわたしは一度サイフを見せてくれと要求する
警官はサイフを渡してくれた
頼む!何か証拠になるもの入っててくれ!
この時ほど神の存在を頼ったことあっただろうか
頼みます!神様!物的証拠になるもの警官をねじ伏せる圧倒的な証拠よ出てきてくれ!
その時だ
神様の笑みがわたしにこぼれ初めたのはこの時ではないのでしょうか
わたしが自転車を買った時のレシートが入っていたのだ
普段レシートなど捨ててしまうわたしがこの時は高い買い物をしたから取っといたのだろう
そのレシートを警官に見せると、警官はすぐさまレシートの上記に記してあるドンキホーテに連絡を取った
そしたら神様が完全にわたしに笑いかけている事を目の当たりにする
電話を取ったのがドンキホーテに勤めているわたしのよく知る知人S氏で
S氏がこの自転車は大量生産してるので自分鍵でも違う自転車の鍵が空いてしまう事があることを説明してくれたのだ
そのおかげでわたしの容疑は一気に晴れたのだ!!!
神様ありがとうございます
S氏ありがとうございます
ドンキホーテありがとうございます
ん?そんな鍵作っていいのか?と思ったが取り敢えずドンキホーテありがとうございます
警官は苦虫を潰したような顔をして、疑ってすみませんでした!の一言もなく今日のところは帰っても大丈夫です、だけわたしに言い放ち、しっかり指紋まで取らせ、まだまだわたしを疑うような目で見ながら署からわたしを出した
署を出た時にはすっかり明け方になっていた
コンビニでタバコを買いに出てから8時間が経過していた
わたしが間違って乗っていた自転車は持ち主に返却される為、わたしは中野警察署から徒歩でまぁまぁの距離がある自宅まで帰らされた
部屋で一息入れようと買ったタバコを探す
あれ〜買ったタバコがない
どこを探してもタバコがない
どうやら警察署に忘れたようだ・・・
わたしはコンビニへタバコを買いに行く・・・