実録ガン横職質日記Part 1
齢40独身アルバイト生活地獄
何かの間違いかもう40年も生きてしまった
太宰治だったらもうとっくに死んでいる年月だ
世間的にはすっかり大人の年齢だ
わたしもすっかり大人だと思って生きている
だからなるべく世の為人の為になるよう迷惑をかけずに生きているつもりである
しかしながら40年経った今でもそれは定期的に思いも寄らない時に、魔が刺したように、通例の儀式のようにわたしに行われる行事がある
それは職質だ、今まで職質を受けた数は数知れず、到底10本の指の数では足りず、阿修羅観音の指の数ですら足りないんじゃないかと思われる
風貌のせいなのか、醸し出す雰囲気のせいなのか、はたまた人を見る時の眼光のせいなのか挙動不審な動きのせいなのか自分でも定かではないが、大人数の雑踏の中に紛れ込んでいようとも紺色の服に身を纏った警官に取り押さえられ、身体検査、バックの中身を隅々まで弄られ、又を弄られ物色される、ただ歩いてるだけなのに・・・
これはわたしが今までうけた職質の実態をありのままに記したものである
それは半年前の話
わたしは深夜タバコがなくなりタバコを買いに自転車で近所のコンビニまで行きました
タバコを買い自転車にまたがり自宅に戻ろうとペダルをこいでいた
ここまでの所要時間10分ぐらい
すると10メートル先ぐらいに紺色の服を纏った公務員らしき姿の人間がやってきた
この人間の姿を見ると反射的に目を逸らす癖が身体に染みついてしまっていて、それはもう目の前にF 1カーが通りすぎたの如く目を逸らしました
紺色公務員人間がわたしを見ているのが後頭部からでも分かる
何も言われない
今日は大丈夫だ何事もなさそうだ、安堵したのも束の間
「そこの自転車の人止まって〜」
ダメだった・・・
何故だわたしはただタバコを買いにコンビニに行っただけなのに・・・
「ライトつけないとダメでしょう」
「すみません、このライトつけるとめちゃくちゃギーギーうるさくてそれでいて重くてついついつけるの忘れちゃうんです」
わたしの自転車は前タイヤの横についてある昔ながらの自転車なのでライトが重いしうるさい
「でもダメだよつけないと」
「すみません・・・」
わたしは警官に言われるがまま素直に要求に応じライトをつけ、そのままその場を立ち去ろうとした
「ちょっと待って!お兄さん身体検査させて」
いやいやわたしはタバコを買いにコンビニに行ってきただけのしがない小市民、身体検査など頼んだ覚えはない、流石にたてをつくわたし
「それは無理です」
「いいから身体検査させて」
「僕はコンビニでタバコを買ってきただけで今すぐ帰りたいんです」
要求するがそんなことは聞いてもらえない
すぐ終わるからと言っていわば強引にわたしの身体を弄り、薬物がないか又の下まで検査してくる気分は決していいものではない
身体検査が終わりやっと解放され家路に行けると思ったら
「ちょっと自転車の防犯登録確認させて」
と言ってきた
深いため息が自然と漏れる
まぁ、仕方がないここまでやったんだからこれは覚悟していた、それに自分の自転車で盗難自転車ではない、わたしは絶対的な自信を持って
「どうぞ、どうぞご自由に」
警官はライトを防犯シールにあて本人の自転車かどうか確認する
こんなことは人生で何度もあった
作業も5分程度で終わる
それが何やら警官は防犯シールを確認すると電話をし始め、それがやたらと長い、10分してもまだ終わらない、そんなに時間かかることかねしかし!イライラしてくるわたし
「あの!まだですかね!!」
ついつい感情がほとばしってしまう
すると警官が
「これ〜あなたの自転車じゃないね!」
ふざけるんじゃない
これは紛れもない自分の自転車だそれは誇りを持って自分の働いたお金12,000円でドンキホーテで買ったママチャリだと言える
もちろんその事実を警官にわたしはぶつける
イライラが止まらない、これまでタバコを買いに出てから1時間ぐらいが経過していた
「これ防犯している名前と本人の名前が一致しないんだよ」
何言ってるんだこいつは
そんな事あるはずない
これは紛れもない自分の自転車だ
「これ本当に自分の自転車?」
警官は窃盗犯を見る目でわたしを見てくる
鋭く内側に深い闇を抱えているような目で
「だからこれは数日前に買った自分の自転車だよ!」
声を荒げるわたし
そうすると1人だった警官が1人増え2人になりはたまた三台ぐらい新たなパトカーが来て警官が5人ぐらいパトカーの中から出てきてわたしを囲もうとしていた
その瞬間僕はとんでもない行動に出てしまう
その場から逃げようとダッシュしたのだ
自分でも何故こんな火に油を注ぐようなことしたのか、よくわかっていない
ただ、ただ帰りたかったというだけかもしれない、しかも、コンビニに逃げ込んで、しまったのだすぐ捕まるというのに・・・
何でこんなことしたのか自分でもよくわからない
図体の大きい筋肉質警官と小柄なホネホネ警官がわたしを追いかけてあえなくコンビニ内で御用
しがない小市民に対して警官7人が僕を囲むという構図
流石に逃げられない
「一度署にいきましょう」
図体がでかい筋肉質警官がわたしの腕を掴みパトカーの中に乗せようとする
「だからこれは自分の自転車だよ!」
わたしの刹那の叫びは公務員の前ではチリとなりそして無になりそのまま自転車窃盗犯の疑いで中野警察署へ連行されてしまった
わたしはただ、コンビニでタバコを買いに行っただけなのに・・・
家を出てから既に2時間が過ぎようとしていた
Part 2へ続く〜
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