2.3分で読めるミステリー短編「困惑させる子供」の校閲
カタンカタントントンカチャ
大田原茂雄は今日使う資料をバックに詰め家を後にした
海風が顔にあたり少しばかりの潮の匂いが茂雄の鼻をついた
高潮が断崖絶壁に打ち付け飛沫をあげ無数の海鳥が舞っている
道中茂雄はもうすぐ卒業式だなと感慨にふけりながら徒歩20分のところにある小学校へ到着した
職員室で授業の待機をしていると、同職の南先生が不敵な笑みを浮かべながら茂雄に歩み寄って来た
「あなたの生徒が給食費を盗んだみたいよ」
茂雄は驚愕した
よりによって私の生徒にそんなことする子供なんていない
茂雄は生徒に絶対の信頼を寄せている
「そんなはずはありません!うちの生徒にそんなことする生徒はいるはずがない」
茂雄はついつい声を荒げてしまった
「あなたの生徒の田伏美香ちゃんが訴えて来たのよ」
煮え湯を飲まされるとはこのことか
本当にうちのクラスで給食費が盗まれるという古典的な事件が起きてしまったのか!
「もうすぐ卒業式だというのにやーねー」
嫌味の混じった口調で南先生は職員室を後にした
ホームルームの始まる時刻が刻一刻と迫って来る
いつもの教室へ向かう足取りが10キロ近い錘をつけたみたいに重い、心なしかいつもの木製の扉が鉄の扉のようにガッシリとした重みを感じる
茂雄は意を決し、扉を開け教室へ入っていった
生徒はいつものように静かに自分の席に座っている、なんの代わり映えもしないいつもの風景、慣れ親しんだいつもの風景、いつもと違うのはこの中に悪が一人いるということだ。
茂雄は口火をきった
「みんなおはよう」
「おはようございます」
子供達の元気な声が教室にこだまする
この中に悪がいる!
さぁどうやって犯人を見つけよう
茂雄は自分が探偵になった如く少し気分が高揚している自分がいた
「みんな元気がいいなー、じゃあ出席を取るぞー!」
いつものように何も変哲もない1日の始まりの行事を行う
「安達!」
「はい!」
「加部東!」
「はい!」
「田伏!」
「はい!」
「はーい!全員揃ってるな!!!」
そうです
ここは離島の小学校、クラスに生徒は3人しかいない、この中に悪が1人いる
生徒1人が訴えている為、2人に1人、50分の1の確率で犯人が突き止められる
このようなやりがいのないミステリーがあっていいのでしょうか?
こんなすぐバレてしまう犯罪をやる生徒がうちのクラスにいていいのでしょうか?
この中に犯人がいる!
後半へ続く〜
この中に悪がいる
何も変哲もない
は良くあるミス
しかし2分の1と50分の1は大ミス
50分の1はまぁまぁ大変な確率になって普通に大変なミステリーになってしまう!