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○○おばさんとガン

冬だと感じるのは暦ばかりでは無く、皮膚感覚もある。 おでこを寒波が直撃し、指先からの先が不鮮明になる。

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    • 正月です。

      祖母が死んだ。 と、正月早々不穏な書き出しだが、去年の話だ。 97歳であり、大往生。若しくは生き過ぎな感さえある。 祖母はグループホームに預けられていて、叔母がよく面会に行っていた。 私は一度しか行けなかったが、その一度でも面会出来たことに満足している自分がいる。

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      • 好奇心で猫は殺す。

        猫がまた、雀を獲って来た。 いつもと鳴き声が違う、と最初に思い。その鳴き声の主を見ると口に雀を咥えながらニャーニャー唸っている。 急いでティッシュを掴み、雀を保護した。 何かで、「雀は飛ぶ鼠である」というようなことを読んだ事がある。 雀は目を閉じて、しかし嘴を開けていた。 しかし心臓の音は聴こえてくる。 不満そうに鳴く猫を尻目に、外のプランターの土の上にそっと置いた。 雀は地面に両脚で立った。 目を開けたり閉じたりして、まだ息はある。 見たところ外傷も少ない。 雀を保護す

        • 久しぶりに野良犬を見た。めっちゃ笑顔で楽しそうに走っていた。

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        記事

          「お腹すいてます?」

          駅前でハンバーガーなどを食べていた自分が悪いのだが、 「美味しそうに食べはりますねえ」 と、虚空から声が来た。 声の持ち主をぎょろりと睨むと、 「美味しそうに、食べはりますねえ」 と、続けて来た。 駅前で食べるハンバーガーが美味しい訳などない。 「何か、食べますか?」 そう答えながらビッグマックを頬張った。 「いえいえ、そう言う訳じゃなくて…」 恋、というものは、曲がり間違えば、こうやって始まって行くのだろう。 「良い夜をお過ごしくださいね」 そう言って私は立ち去った。 「

          「お腹すいてます?」

          春は耳月

          祖母が亡くなった。 祖母はアルツハイマーで、千葉の特別養護老人ホームに入所していた。 叔母が面倒を見ていて、週に何度も来訪していたらしい。 母と叔母の仲が悪く、私は連絡出来ないでいた。 しかし関東の方とお付き合いすることになり、そのついでだと思い、気持ちに加速を付けて来訪することにした。 当時の彼女にしたら、訳の分からないイベントだったであろう。 一人で叔母に連絡し、叔父と三人で会食し、近況を話し合った。 叔母の車で老人ホームまで行った。 祖母は私のことは何一つ覚えていなか

          春は耳月

          家族解散

          「家族を解散します」 と、母は真剣な顔で僕の目をじっと見ながら言った。 それを聞いて僕は笑ってしまった。何故なら、その時読んでいた本が、糸井重里氏の『家族解散』という小説だったからだ。 そのタイミングと、台詞が小説内に出て来るものと一緒だったので、僕は笑いを隠せなかった。 母は不思議そうな顔をし、続いて家族のこれからについて語った。 僕が高校生の時だった。 父親が家を出て、兄は引きこもり、僕は登校拒否で、母親はヒステリーだった。

          家族解散

          結晶

          大文字山は京都に住む者にとっては身近な存在で、ぼくと彼女の初めてのデートも五山の送り火だった。 ふたりが別れることになった時、何故か大文字山に登ろうということになった。 それは儀式の様なものかも知れないが、寒く、乗り気じゃない彼女を引き摺り出して山を登った。 防寒が過ぎて山頂に着く頃には少し汗ばんでいるほどだった。 山頂でぼくらはぼくらが住んだ街を眺めた。 狭いようだが行ったことの無い場所だらけに見えた。 山頂から見下ろす街は寧静で、ぼくらの関係にも何も問題も

          無能の人

          TikTokをやっている友人がYouTuberになりたい、と言い出し、撮影の手伝いしてくれへん?という事で行ってきた。 前日眠れず、朝6時の電車に乗り八尾駅まで。 そこから車で撮影対象のおじさんの家まで行く。 おじさんは石が好きで、以前、岐阜で石を探していた際、これは!という石を見つけたのだと言う。 しかしそれは老人が一人で持てる重さでは無く、友人に依頼が来た。 その一部始終を撮影したらええやん?と言うことでカメラマンとして馳せ参じることになった。 初対面のおじさんは挙動

          無能の人

          不治は日本一の病

          我が家は糖尿病家系である。 祖母も父も兄もそうで、兄は若くして死んだ。 ぼくは今まで発症していなかったのだが、最近の不摂生で病状らしきものが出ている。 今更感は否めないが気を付けねばならない。 そして病院は行きたくない。 病院に行くと病人にされる。 『ダーウィン賞』をご存知だろうか。 「愚かな行為により死亡する、もしくは生殖能力を無くすことによって自らの劣った遺伝子を抹消し、人類の進化に貢献した人に贈られる賞である。 受賞資格 子孫を残さないこと 事故が原因で死亡したか

          不治は日本一の病

          須田一政氏との出会い

          須田一政氏と知り合ったのはぼくが大学のゼミを専攻したことからだった。須田一政氏はその年から大学で教鞭をとることになっていて、ぼくはそのゼミを選んだ。 正直に言うと、ぼくは須田一政という人を知らなかった。 図書館で写真集を見て、モノクロの、しっかりした構図の写真を撮る人だなあ、という印象だった。 当時の大学の教授に写真家はいなかった。 カメラマンとフォトグラファーの違いとでも言うのだろうか。作家と呼べる人はいなかったのだ。 ぼくは写真に希望を持っていなかった。 課題として出さ

          須田一政氏との出会い

          一歩前へ。

          男性用の小便器の前の壁にはそう書かれていることが多い。 味わい深い。 便器に味わい深いもどうかと思うが。 小便器は形状からアサガオとも呼ばれる。 急ぐとも 心静かに 手を添えて 朝顔の 外に漏らすな 松茸の露 何て事を書いてある場合もある。 情緒である。乙である。 海外では、 Stand closer please.Your HONEST JOHN is not so long as your expect. などと書かれることもある。 ちなみに息子に名前を付

          一歩前へ。

          占いを覚えろ!取り敢えず手は触れる。

          という教訓。 ぼくは眠れぬ時はよく怖い話を読むのですが、あまり怖いと思わないことが多く、(あのカーテンの隙間から、人が覗いてたら…)などと妄想し、一人鳥肌が立つのを楽しんでいます。 今日は未解決の行方不明の事件についての記事を読み、おばけやら妖怪の話よりよっぽど怖いなあ、と感じました。 自分の周りに行方不明ってあったかしらん?と、考えたとき、夏に流れの速い暗渠の中を流れる遊びを子供だけでしていたら、違うグループの男の子が、いつも出て来る場所から出て来ない、というこ

          占いを覚えろ!取り敢えず手は触れる。

          写真集を出すということ。

          アートブックに特化した「Case Publishing」と オンラインショップ「shashasha」の代表取締役を務める大西洋氏が、自身の仕事に付いての話、そして簡単なポートフォリオレビューを行うというワークショップがあり参加してきた。 前半は日本の製紙の歴史(日本初の株式会社は製紙会社らしい)から、大西氏が手掛けた写真集の作り方の流れまで、幅広く聴かせていただいた。 ぼくが大西氏に訊きたかったことは、 ・デザイナーと写真家の関係性について。 ・作品を販売する場合と、写

          写真集を出すということ。

          物を買う、ということ。

          マンウォッチングが好きだ。 今も難波高島屋前で仕事の時間まで人を見ている。 色々な格好をした人がいて、その格好に至るまでにはその分だけ買い物をしたということだ。 「何故それとそれを併せる?」 「目がチカチカするわっ」 などと、多種多様な雰囲気を他人にアピールしている。 それはデモンストレーションでありプロパガンダの様なものだ。 むかし、知人の女性が、 「DVする人って、服装がチグハグな人が多いんだよね」 と、語っており、ぼくは何故だかそれが納得出来た。 自分がお洒落なわけ

          物を買う、ということ。

          結果的に風邪は二日で治った。しかし自転車で二度転び、大腿骨と肋骨を強打し、それが未だに続いている。障害者の気分を味わっている。大変だな。そう体感出来たので、事故も悪いことばかりでは無いな、と思った。

          結果的に風邪は二日で治った。しかし自転車で二度転び、大腿骨と肋骨を強打し、それが未だに続いている。障害者の気分を味わっている。大変だな。そう体感出来たので、事故も悪いことばかりでは無いな、と思った。