みそしる映画感想「シティーハンター」~ジェームズ・ボンドかと思ったらオースティン・パワーズ~
夏休み映画観賞として、Netflix「シティーハンター」を見ました!
「鈴木亮平の『遼ちゃん』なりきり度がすごい!」
「鈴木亮平の筋肉がすごい!」
「鈴木亮平のガンアクションが!」
という様々な好評を聞き、
会社の夏休みというこの機会にNetflixを契約して視聴してみたのですが。
よく考えたら、みんな鈴木亮平のことしか言ってないじゃん!
そして、確かにそれしか言うことないじゃん!
頼むわそういうの! みんなちゃんと先に言って!
①そもそも令和に実写化すべきタイトルではなかった
「冷戦の終結がスパイ作家の半数を失業させた」とか。
「携帯の普及がミステリー小説のトリックの大半を無力化した」とか。
時代と技術の変化に伴うジャンルの興亡はありがちですが、
シティハンターのようなハードボイルド系の私立探偵ものも、
「ネットと監視カメラの普及によりほぼ絶滅」した状態にあるのではないでしょうか。(違ったらごめんね)
電車の椅子で足を広げて座るだけで盗撮されてネットに晒される時代に、
屋内で銃ブッ放して街中でカーチェイスする奴が捕まらないはずないだろ。
最後とか数十人ぐらい射殺してたけど、どういう理屈で無罪なんだよ。
昭和という色々ラフで済んだ時代の作品を、
令和を舞台に再構築したらとんでもなく説得力の薄い作品が出来てしまったな、
というのが根本の印象です。
②でも令和とか関係なく脚本がやばい
本作はシティハンター原作の大体、1巻2巻の部分かな。
初期の相棒・槇村秀幸が死んで香にバトンタッチするまでの流れを再構築したお話。
みんながいわゆるシティーハンターとして認知している、
「遼ちゃんもっこり」「メガトンハンマーどかーん!」という、
お約束が生まれるまでのいわば「ビギンズ」部分ですね。
自分は世代的に原作もアニメも一通り触れてきたつもりですが、
そこまで大ファンというわけでもないので、
原作との差異については、そんなに気にならなかったです。
「絶賛されてたわりには鈴木亮平、そこまで遼ちゃんには見えないな」とは思いますが。
ただ、そもそも敵の組織が。
「逃げた被験者の姉のふりしてシティーハンターに被験者を探すよう依頼したら、組織の存在ごとバレて壊滅させられた」
って。
さすがにバカすぎないですか?
これ依頼しないで自分たちで確保してたら組織、無傷だったんですよ。
わざわざ依頼しておいて、しかもシティーハンターと競争はじめて、
そのせいで色々バレて壊滅させられるんですよ。
普通せめて、黙って探させておいて身柄渡される瞬間に、
「実はウソだったのよホホホ」ぐらいやりませんか。
なんで依頼した本人が競争しにいって、自分からバレにいくんだよ…。
最たるものはそこですけど、
色んなシーンで「それはさすがに…」が発生するので非常に厳しかったですね。
何だかんだあって再度さらわれた被験者、わざわざGPSつけてたのに、
何故か追わずに一晩待って、遼ちゃんとかベランダで黄昏れてるんですよ。
「えっ、この間に殺されてたらどうすんの!?」
ってなりませんか? なりますよね?
そんなに真面目に見る作品じゃないなら、
いっそ遼ちゃんのもっこりが1キロぐらい伸びて敵のアジトを真っ二つにするとか、そんぐらいやってほしい。
いや、やってほしいわけじゃないけど、
そしたら「何だ真面目に見ちゃいけなかったのか」って気づくから。
③ギャグが全体的にスベってる
「シティーハンターといえばエッチなギャグ!」みたいな意気込みが強すぎて、全体的にスベってる印象です。
序盤、ソープランドのマットに乗っかって、
ローションでつるつるしながら進むシーンとか、二重の意味でスベってた。
なんか真剣なシーンでもふざけようとするのがイヤでしたね。
メガトンハンマーで敵を殴ろうとする香とか。
それはギャグ用だ!
「いつもふざけてるけど修羅場になるとプロになる遼ちゃん」が良いのに、
変にバトル中でもふざけてるせいで、単なる軽いおっさんに見えるというか。
余裕ありげに軽口を叩くのと、ふざけるのは違うんですよ!
ジェームズ・ボンドとオースティン・パワーズの違いです!
④ネカフェ暮らしのトー横キッズがあんな手のこんだコスプレするはずないだろ
どうやって衣装作ったんだよ。
というわけで、またしてもネットの高評価に騙された形となりました。
このままだとネットのインフルエンサーがすすめてくる変な仮想通貨に全額ブッこんで終わりかねないので気をつけます。