私はただの傍観者【この靄を抜けて】小説
思ばいつだって私は傍観者だった。友達が部活に入って仲間割れしたり、涙を流したり、青春したりしても自分は何も参戦せず、傍観者だった。
苦労も楽しさも感動もない。
高校時代友人たちが何やかんや男子と遊んだりしてもそんなの恥ずかしいと傍観して当事者になりたがらなかった。
恋バナの渦中にもいたくもなかった。
学校の委員会なんかもくだらなく思たし、集団でやる何もかもがくだらなく興味が湧かなかった。
初めて仲間というものを知ったのは中3の時、
それでも疎外感を感じるようになっていった。
思ば皆、人から必要な存在で、部活もやっていた。
私よりもずっとしっかりしていたのだ。
私はそういう行事ごとにひたすら体力や思考力が持たないから参加したくないと同時に、参加できなかったのだ。
そんな自分が初めて受験という競争に参加できたことに感動したのだ。
私だってできるという勇気を与えてくれた。
頑張ればできる。
これはずっと忘れていた気持ちでもあった。
しかし、この大学受験という経験は私をより向いていない世界へへばり付く努力をさせるキッカケにもなったのかもしれない。
退屈なことにも努力し続ける人生が始まっていった。
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