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気まぐれショートショート カフェ4分33秒

「見つかったぞ!」
課長の大きな祝砲にみんな安堵した。
時刻は午前2時を過ぎていた。

「ドローンが3台戻ってきていません」
試験中の最新型配達ドローンの数が足りないことに気づいたオペレーターが駆けつけてきたのが定時前。

社員総出で配達ルートを探したが見つからなかった。
そして日付が変わり、深夜の警ら中だった警官が川岸に落下しているのを発見したのだった。

「しかしなぜそんな所に、バッテリーもルート往復分はあるはずですよね」
「落下した時とみられる傷以外もないので、壊された可能性は低いかと」
「原因が分からない以上、上になんて報告すれば」
みんなで落下原因を言いあっていた時だった。

「課長、これ見てください」
エンジニアがディスプレイに映し出されたドローンの配達ログを指さす。

カフェXXX 15:04:33
QR決済 アイスコーヒー*3 1,650

「この店に配達予定は」
「ありません」
「てことは……」
「はい、サボりです」

別の問題が見つかってしまった。
(414文字)


昨今の物流業界の課題を解消すべく、自動配達システムの開発や新幹線に荷物を運んでもらうなど多種多様なアイデアで試行錯誤する昨今。

しかし、もし近未来でAIが発達してドローンが人手不足を解消しても、ドローンもまた働き方に疑問を抱いたらこんなことになるのでしょうか?

なんにせよ、今日もどこかで荷物を届けてくれる皆様に、感謝を。

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