気まぐれショートショート 強すぎる数え歌
ふと昔、姉が手毬唄を歌っていたのを思い出した。
(一)撃必殺敵はなし
山賊物の怪聞きつけて
とう(十)奔西走馬を引く
「一の次いきなり十なの?」
「細かいこと気にしないの」
「あと、(とうほんせいそう)は十じゃなくて東だよ」
「もううるさいなぁ、あと集中できないから黙ってて!」
蜘蛛の子散らして逃げ惑う
(百)鬼夜行を薙ぎ払う
一騎当(千)我のこと
「一ってもう使ったじゃん」
「だからうるさいってば」
代々伝わる(万)屋の
末え子は商才磨き上げ
今や天下の(億)り人
「えっ、さっきの戦ってた人どこいったの!?」
「もう2番だもん。そりゃあ別の人だって出てくるわよ」
(兆)載永劫語られし
(京)にとどろく大富豪
ああ…
「ねぇ、ちなみにだけどさ」
「なに?」
「それって最後どうなるの」
「知らない。だって無限に続くんだもん」
今思うととんでもない歌だったなぁ。
(355文字)
手毬唄やわらべ歌というものは、昔の実話をうま~くぼかして歴史を伝えていく昔の人なりのよくできた伝記みたいなものだったりしますよね。
だからよくよく聴いたり歌詞を調べてみると結構とんでもないことが書かれていたりすることもしばしば。
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