夢か現かモンブラン失言【毎週SS】
「授業始めるぞ」
体育の後の授業、
ましてやそれがどうしたって暗記中心になりがちな日本史ともなれば睡魔に襲われるのも無理はない。
「今日は戦後の政治からだな
19XX年の大蔵省、現在の経済産業省は当時……」
教師の解説を寝落ち前のラジオDJ代わりに
うたた寝としゃれこもうとした時だった。
「……ところがその極秘計画を、あろうことか時の大臣が
記者クラブが出入りする祝賀会で口を滑らしたのを発端に、新聞記者たちが一斉に駆け込んだ。
その際に『これはモンブランの話だ』といって誤魔化そうとしたことが、かえって裏目となり大臣が失脚することになったのが、かの有名な『モンブラン失言』ってやつだな」
「なんかロッキードっぽいっすね」
「ロッキード? なんの話をしてるんだお前」
「いやロッキード事件ですよ。『ピーナッツ』のやつ」
「『モンブラン』だっつってんだろ!」
「え?」
「寝ぼけてんのか。ちゃんと聞いてろ」
啞然とする自分をよそに、授業は進んでいった。
(410字)
アニメや映画等で「違う、これは夢だ!」と気づくシーンがありますが、
私はそうなったためしがほとんどありません。
例えば自分の家の風呂場で、某有名なコメディ俳優さんが機材を片手に座っていて、
「今Youtubeの撮影してっから邪魔すんじゃねぇよ!」
と言われれば、「すみませんでした!」と言ってその場を立ち去るくらい夢の中の自分は夢の世界に従順なのです。
どこに納得する要素があるんだよ、と今でも思います。
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