気まぐれショートショート スベり高等学校
「あっという間だったね」
「三年って結構短いんだね」
「何爺臭いこと言ってんの」
こうした何気ない会話も今日で最後。
ホームルームが終われば、私たちは晴れて卒業の身だ。
こんな他愛もない会話ができる友達とも、この春からはみんなそれぞれの道を行く。
「それにしても、さ」
「どしたん?」
「なんであたしたち気づかなかったんだろうね、こんな大事なこと」
「それな!」
校門を出て振り返る。
三年間毎日のように通っていた校舎。
その脇に目をやると、丘の上から一直線に続いている削れた跡の地面。
「フツー気づくよね、地滑りなんてあったら」
「ね、誰も気づいてないとかヤバいよね」
「いや、ウチも二年の後半くらいから、なんかチャリ通楽だな~とは思ってたのよ」
「いやそれ言えよ」
「だって~」
帰り道の通学路、私たちの横を大型重機が何台も通り過ぎた。
私たちの卒業と同時に、学校も大改修となる。
窓から見える百日紅の花が好きだったけど、それも撤去されると言う。
「本当に、お別れだね」
(416文字)
大人になって、中学や高校に通う夢を何度か見たんですが、めちゃくちゃ崖の上だったり、通学路がやたら複雑だったり、一回もまともな所に建っていた記憶がないんですよね。これって何なんでしょう?
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