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キングダムは好きって言えるけど嘘喰いは言いにくい

私の好きな漫画ツートップは、キングダムと嘘喰い。
どっちがより好き、とかはないけどなんとなく嘘喰いは好きって言いづらいな、という話。
これは映画やお笑いが好きって言いづらいのと似ている。この前提条件が異なる人はこの先を読んでもピンとこないかも。

なんで言いづらいかというと、そのカルチャーごとに存在しているコアファンが、私みたいに1回読んであんまし覚えてないけど好きって言ってる層を「にわかファン乙」と見下してくるんじゃないかという恐怖がある。
他で言うとM-1の準々決勝とか見ずに、お笑いが好き、と言ってると、私の中のイマジナリーコアファンが"ファッションお笑い好き"として後ろ指を差してくる気がする。
知識が全てじゃないといいつつ、好きなファンほど詳しいはずだ、という方程式がどこのカルチャーにも蔓延っている。

そういう意味で、嘘喰いはめちゃくちゃ好きなんだけど、コアなファンがたくさんいそうなイメージで怖い。面白いシーンとか多いし、覚えてたら絶対盛り上がるから、みんな喋りたいだろうし。
私もそうしたいけど結構忘れてしまってて、乗っかれない後ろめたさもある。
もっかい読み直すにしても、結構カロリー使うからまだ手を出せないでいる。
でも本当に好きは好き。
ちなみに私が嘘喰いで好きなところを書いておく。
ストーリーが面白いのは大前提として、、

・頭脳戦のクオリティがえぐい
・賭け事するときのゲーム設定が面白い
・飽きない
 →キャラが粒だちしていて、敵も味方も好きになれる
 →勝ち方のバリエーションが豊富で、時々負けるのもいい
 →主人公と相手が常に敵同士のシンプルな構造では無い

あと、嘘喰いの中で登場する"暴力"の単語の使い方が特殊で、最初にそこで惹き込まれた。

悪く言うのは申し訳ないけど、
炭治郎君の漫画とか、キャラはどこにでもいそうだし、相対する組織も1つしかなくて、そこから最後の1匹までカウントダウンするだけ?と途中で飽きてしまった。

一方でキングダムは、独断だけど、
広くみんなが好きで、しかもあんまり詳しくないファンに対しても懐が深そうなイメージがある。
だからキングダムは好きって公表しやすいし、そもそもみんなたぶんキャラ全員覚えてないと思う。
ちなみに私がキングダムで好きなところは

・戦術が色々あって面白い
・国同士、同盟組んだりするとアツい
・かなり時間かかるけどちょっと歴史の勉強ができる

結論、どっちもほんとに面白いので友達みんなに読んでほしい。


話を冒頭に戻すと、
こういう、好き嫌いとは別に拗れたメタ認知が邪魔して本当の好みを表現できないことがよくあって、恥ずかしいなあと、と常日頃思っている。
ほんとはリアルの世界で、「〇〇が好き」といったことに知識マウントを取ってくる人もいないし、ましてやにわかを馬鹿にしてくる友達なんかいない。自分が作り出したイマジナリーエネミーに対して予防線を張っているだけで、単純にカッコつけてるやつより一往復分、余計にダサい。

前に私がよく読んでいる城戸という人のエッセイの中に


『「舐められたくない」という意思が一貫して、そのために捨ててもいい恥と、決して捨ててはならない恥、というのが明確化してきている。何事も包み隠さないタイプ、と思わせながら、本当の恥の部分はしっかりと隠して生きている。』



という1文があって、本当にその通りだな、と思う。この人の文章は共感できるところも好きだし、その思考をこれだけの文章で?!という感じで、思考と文章の最小公倍数を繰り出してくるので尊敬している。

好きなコンテンツのことなんて序の口で、秘密にしたい思考がたくさんある。そのうちハインリッヒの真ん中くらいのレベルのやつは、このnoteに書いてもいいと思っている。
にわかファンと思われたくない一方で、門戸を広く開けている超王道を好き、ということにも、"凡"に対する恐怖心が少なからずある。つまるところ、自分のことは好きだけど自分に自信がないんだろう。自信がないから突飛な思考と表現をすることでアイデンティティを確保する。我ながらダサくて恥ずかしい。

さっきの城戸さんの文章で、
イメージとしてふわふわしてた感情が、言葉になって明確化されたとこで、自分の中でもすごく自覚するようになった。
すっきりした反面、誰かから見透かされてるようで生きづらくもなってしまった。
本当に包み隠さない、気取らない人になりたいなあ。



てか、私があの文章を思いつきたかったなあ。


おわり!


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