Indian Coffee Houseのある街角 - その3：ICH、のようなもの
インドには、正統なIndian Coffee Houseのほかに、数多の「Indian Coffee Houseのようなもの」が存在し、しばしば混同される。その一部は、Indian Coffee HouseやCoffee Boardとなんらかの関係をもつものであり、一部はなんの関連もないニセモノである。ここでは、行ったことのある店を中心に、そんなコーヒーハウスをまとめて紹介したい。
India Coffee House
BangaloreとKolkataに、India Coffee Houseというコーヒーハウスがある。これらの店にはCoffee Boardのマークがついており、Coffee Boardとの関連は明らかである。前述したように、ICHの前身はCoffee Boardが経営していたIndia Coffee Houseであり、それらはいったん閉店したのだが、わたしの想像では、Coffee Boardはどこかの時点でIndia Coffee Houseの経営を小規模ながら再開したのだと思う(その経緯などに関する情報はいまのところ見つからない)。India Coffee HouseはほかにChennaiにもあるようだ(Google map情報)。
India Coffee House(Bengaluru)
Vasanth Nagar, Bengaluru, Karnataka.
Coffee Board of India本部の敷地内にあり、もともとここのキャンティーン的なものだったと思われる。すごく古いわけではないと思うけれど、レトロな雰囲気や、お役所のキャンティーンっぽい無骨な感じが好きだった。2019年ごろにいちどちょっと改装されたが、2023年1月にMitti Cafeと組んで大幅にリニューアルされたらしい。Mitti Cafeは、障害者の雇用を促進するための非営利団体とのことである。かなり新しい感じになっているようだが、店内の椅子などは古いものが使われているようだ。メニューもCappuccinoとかのいまどきカフェ風になっていて心配だが、写真を見るとティファンもありそう。リニューアル後の店舗にはまだ行っていないので、やはりいちど確認に行かなくては。
India Coffee House(Kolkata)
Bow Barracks, Kolkata, West Bengal.
歴史や経緯の情報はないが、比較的新しく、あまり特徴がない感じのコーヒーハウス。珈琲のほか、トーストやサンドイッチといった朝食・軽食メニューのようだ。
関連のあるコーヒーハウス
Indian Coffee HouseでもIndia Coffee Houseでもないけれど、ICHやCoffee Boardとなんらかの関係があるコーヒーハウスをいくつか。
Coffee Board VRWS(Voluntary Retirement Workers Society) Coffee Van
Avenue Road, Cubbonpete, Nagarathpete, Bengaluru, Karnataka.
1997年に退職したCoffee Boardの元従業員が、Coffee Boardからcoffee vanを買ってCivil Court, MS Building, Magistrate Courtで珈琲を売り始めた。そのうちのCivil Courtのものが、メトロ工事で場所がなくなってAvenue RoadのGanesh Templeの前に移動し、広く親しまれている。他の二ヵ所の現状は不明。
珈琲しか飲んだことがないが、メニューを見るとKhara Bathもあるらしい。
Coffee House at Panjab Universiry
Sector 14, Chandigarh.
ChandigarhのPanjab University Student Centreに、1975年にCoffee Houseがオープンした。ここはIndian Coffee Houseの支店ではないが、ICHの元従業員によって経営されていたらしい。しかし2019年7月2日に閉店してしまい、2023年7月26日にSouth Indian Coffee Houseがオープン。店内は改装され、経営者もメニューも異なるようなので、現在はおそらく全く関係のない店なのだろう。
わたしはどちらも行ったことはない。上の写真は2015年、おそらくCoffee Houseは営業中だっただろうと思われる写真。外のスロープのつきあたりがCoffee Houseで、ドアは開いている。このときは存在も知らず行かなかったことがとてもとても悔やまれる。下の写真は2021年、閉店後新しい店もできていないころ。
Old Coffee House(Thiruvananthapuram)
Vallakkadavu, Thiruvananthapuram(Trivandrum), Kerala.
ThiruvananthapuramのShangumugham BeachにOld Coffee Houseというコーヒーハウスがある。この場所にはかつてIndian Coffee Houseがあったらしい。なぜ閉店してしまったのかはわからないが、ここがいまもICHだったらと思わずにはいられない。Old Coffee Houseという名前はとても素敵なのだけれど。
ニセモノ、または影響が感じられるコーヒーハウス
正式なIndian Coffee Houseではないけれど、Indian Coffee Houseという名前のコーヒーハウスはそれなりにある。田舎の小さい店などが偶然そう名づけてしまうことはありそうなので、ロゴとか制服とかが明らかにホンモノのICHを連想させてしまうところのみニセモノと呼ぶことにする。本来ならばニセモノやパチモンには厳しく接するべなのだが、ニセモノはニセモノで、見つけるとうれしい。
Indian Coffee House(K. G. F.)
Swarna Nagar, Kolar Gold Fields, Karnataka.
わたしが行ったことのある唯一の偽Indian Coffee Houseは、K. G. F.の町の中心部で偶然見つけたもの。看板の字体は明らかにホンモノを模しているが、ほかにそれらしきところはなく、明らかにニセモノだと思う。しかし［その1］で述べたように、この町にはかつてIndia Coffee Houseが存在したらしいので、その場所などは全くわからないけれども、この偽ICHも過去とつながる何かがあるかもしれない(ないかもしれない)。
その他の偽Indian Coffee House
このほかに、Google mapで偽Indian Coffee Houseと思われるものをいくつか見つけた。
Indian Coffee House(Thalassery, Kerala)：Bharathiya Coffee Workers Catering Service Pvt Ltdが経営していて1984年開業。私企業なのでニセモノだと思うが、店名ロゴはそっくり(マークは違う)。店内もなかなかいい感じなので行ってみたい。
Indian Coffee House(Farakka Barrage Twp, West Bengal)：制服がホンモノっぽい感じなのだが、店名ロゴやメニューがそれらしくないためニセモノだと思う。
Indian Coffee Bar(Bengaluru)
Cubbonpete, Nagarathpete, Bengaluru, Karnataka.
店名が違うのでニセモノとも呼べないが、店名ロゴが明らかにそれっぽい。でもそこが好きで通っている。このあたりはおいしいティファンやさん激戦区なのだが、どこも飲みものを置いていないため、朝ごはん後に近くのティファンやさんからオヤジが流れてくる店のひとつ。最近は作り置きだし、薄めでクオリティは高くないが、まあそんなことはどうでもよいオヤジまみれ天国。
Coffee House New Town(Kolkata)
Newtown, Kolkata, West Bengal.
このコルカタの新しいコーヒーハウスは、その空間構成といい、"Coffee House College Street"と対をなすような店名といい、よくいえばCollege StreetのICHにインスパイアされた、悪くいえば真似たコーヒーハウスである。制服も似ている。そういうものを作ろうというのは悪くないと思うのだけど、その真似かたというか、方向性がわたしの好みとは異なる。
→［その4：ICHマップ］へつづく
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［最終更新：2024.11.14］