思春期とジェンダーの不一致を感じる時期
思春期、というと、皆さんはどう感じるでしょうか。
だいたい何歳くらいだろうと、思いを馳せてみる。
自分自身の場合や兄弟の場合、我が子の場合など。
そうすると気がつくはずです。
「個人差があるよね」
ってことに。
そうなると、遅い可能性もあるけれど、思っていたよりも早く来るということも視野に入れながら、性教育に関わっていかなければいけないと思う。
今回は、デンマークのコホート研究から、性自認の不一致と思春期の時期について紹介したいと思います。
2000 年から 2003 年の間に生まれ、11 歳 ( 全体 = 10,046)で性別の不一致を自己報告し、11 歳から 6 か月ごとの思春期までの思春期の発達段階を自己申告した方が含まれています。
これもまた、性と生殖に関する権利がしっかりと確立していて、守られている国だからできる研究ですよね。日本ではかなり難易度が高いと思います。
出生時に割り当てられた性別とジェンダーアイデンティティ(性自認)が一致していない状態のこと、をここでいうGender incongruenceと表現します。
性自認が一致している方が9,497名、一部で不一致な方が346名、完全に不一致という方が203名いたとのこと。
少なくとも、思春期の時点で性自認が一致していない方が5%いるということですね。
20人に1人の割合なので、小学校とかであればクラスに2人くらいの計算でしょうか。
この研究によれば、11 歳で部分的または完全な性自認が不一致と回答している方の思春期のタイミングが、わずかに早い傾向を示唆しています。
注意も必要で、本人の意思表示で回答を得ているため、性自認ではなく一時的な「希望」に言及している可能性があるということです。
実際にデンマークにおける成人の性不一致の有病率がわずか 0.5% と推定されているため、多すぎるのではないかということですね。
個人的には、最終的な性自認というのがどこに到達するかは神のみぞ知ることだと思いますが、身体的変化、声の変化、発毛等の変化など、非常にパーソナルな部分に思春期というのは訪れます。
そのため、思春期を迎える当事者たちに対しては、非常にショッキングな出来事なのだろうと伺えます。
それが、この成人では0.5%、思春期では5%、10倍もの差になってしまう部分に凝縮されているのではないか、というのが個人的な仮説です。
我が子にしても、性別の固定観念(男の子だからこうしろ、女の子だからこうあれみたいなこと)を本人に向けることなく、一つ一つの変化を子どもたちが受け入れられるようにサポートしたいと思います。