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目指すべき患者さんと医療者の関係

不妊治療の保険適用化の話の中で、
いろいろなことが明るみに出てきました。

ある立ち位置から、
「不妊治療を保険適用化することによる闇」
を指摘する医療関係者もいれば、

患者さんの立場で、
「医療機関は暴利を貪っている」
という指摘をする方もいます。

「従来の助成金の方が闇だ」

「成績を開示させろ」

「技術が均てん化されないとならない」

様々な主張が飛び交っているのをも見るにつけて、なんとも苦しい心地がしています。

みんな、不安なんだなと思います。
全員にとって気持ちいい議論なんてどこの世界にいってもないと分かっているけれど、自分の主張を理解してほしいという思いは消えないものですよね。

それぞれ立ち位置が違うのでこれ絶対に噛み合わなさそうですね。
僕自身は、この際どれが正しいか、というのは一切気にしないようにしています。

そんな中、今後の大きな不安として僕が感じているのは
この感じ、このテンションで保険適用を迎えた場合、一部の患者さんと医療者との関係は壊れやしないかと不安で仕方有りません。

昔ながらの医療者と患者さんの関係は、医療者が権威的で、患者さんとの間に上下関係があるようなところもありました。

時代の変遷と共に、その関係性はよりフラットに変化してきたように思います。情報もどんどん患者さんにも届くようになりました。

一般的には情報の非対称性と言われる減少が特に医療領域は強いと思います。改善してきているのも事実です。

ただ、それがどんどん進んでいっても、
患者さんは神様です(患者さんが上、医療者が下というイメージ)
みたいな状態になることはないように思います。

不妊治療は凄まじいスピードで進化・発展をしており、日々新しい治療技術が世界中で検討されています。その中には、エビデンスが未構築なものも多々あります。エビデンスが構築された医療となると、もちろん安定感はあるけれど、最先端とは言い難い部分もあります。
難治性の不妊症の方には、そうしたポピュラーな治療では対応できないことも多々あります。

しかも、医療機関の格差もとんでもないですから、(これ本当に)
同じ治療行為という風に解釈するのが難しいくらいです。

最新情報やその方に最適な医療を考える上で、一日の全てを不妊治療に向け、鍛錬を重ねている医療者以上に患者さんが知ることは困難だと思うのです。
だから僕的には、患者様は神様です、は成立しません。

僕にとってのベストな患者さんと医療者の関わりは、患者さんの妊娠・出産という大目標に対しての伴走者のイメージです。すごい大切な治療を提供しているのだから、一番の協力者でいたいと思います。
箱根駅伝の監督と選手くらいの関係でいたいです。

人間関係を築く上で「この人との関係性をこうしたい」という思いがあって、その上で行動をとり、関係性は構築されていきます。

好きな人との関係性を深めたいと思えば、近づいていくアプローチをとり、
嫌いな人との関係性をなくしたいと思えば、遠ざかるアプローチをとります。
職場で周囲の理解や協力を得たいと思えば、・・・
という風にごくごく当たり前のことです。

それが患者さんと医療者の間にも当然あると思っています。

「自分で決めたいから、情報はくれるだけでよいので提案しないで」

「自分で決めるのは不安だから、どんどん提案してほしい。」

いろんな方がいますし、当たり前のことです。
ですが、お互いに口にしなければ、それはわからないので表現することは大事です。

患者さんがどういう方で、どうしたいのか。
医療者もそれを知る努力をして、一緒に夢の実現ができたら、こんなにうれしいことはないですね。

混乱期ほど基本に立ち返り、地に足つけてやっていきたいと思います。

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