PRP卵巣注入の先行研究
PRPの卵巣注入については、以下で紹介しました。
PRPの卵巣注入の対象は、卵巣反応不良の方です。
今回はこの治療導入の検討の際にも、参考とした先行研究について紹介したいと思います。
おそらくPRPの卵巣注入としては現時点で最大規模の研究ではないかと思います。
イスタンブール(トルコ)で行われた研究で、POSEIDON分類で卵巣反応不良に該当した方510名(を対象に研究が行われています。
PRP作製と注入
月経終了後10日以内に、17G針を用いて、PRP調整後2時間以内に実施しました。
検査項目
PRP注入当日に、FSHとAMHを検査し、AFC(胞状卵胞数)を超音波検査で計測しています。
PRP注入後の月経周期にて再度AMHとFSH採血およびAFCを計測しました。
AFCの増加を認めた場合にはすぐに採卵周期を開始し、認められない場合は持ち越しています。
卵巣刺激は、アンタゴニスト法で、トリガーはオビドレルを用いています。
その後、新鮮胚移植あるいは凍結胚移植を行い、妊娠判定は移植後12日目のHCG採血で行いました。
PRP卵巣注入510名(30-45歳)のうち、474名が卵巣刺激を行い、312名が胚移植を実施。83名が妊娠して、54名が出産しています。
PRPの実施前後の成績比較は以下の通りです。
要約すると、PRPを注入することで、卵巣予備能力が改善する傾向と妊娠する確率の上昇が見られた。ということをこの論文では報告しています。
ただ、この論文は後方視的な研究なので、より正確な検討のためには、前向き研究が必要と指摘されています。
個人的には、本当にまだ道半ばという印象があります。
というのは、上記のTable2でもわかるように、この治療が本当に必要になるであろう、40歳前後の方々の妊娠成績の改善という点ではまだまだ弱い結果に見えるからです。
そもそもの確率が日本とは異なる場合もありますから、この研究だけを鵜呑みにするわけにはいきません。
自分たちでもデータを集めますが、数に限りがあるので、常にこうした最新情報には目を向けていたいと思います。