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慢性子宮内膜炎の方の治療成績に関する検討(日本)

今週は慢性子宮内膜炎について、紹介をしていきます。

日本で特に注目されている慢性子宮内膜炎の検査と治療ですが、
歴史的には最近のものだったりします。

リプロダクションクリニック大阪/東京で、多く実施されているイメージでしたが、2017年に以下のような論文が出されているので紹介したいと思います。

Kitaya et al.Am J Reprod Immunol . 2017 Nov;78(5).

【対象と方法】

  1. 良好胚を3回以上連続で移植しても妊娠反応陰性の反復不成功例(RIF: repeated implantation failure)を対象とした。

  2. 増殖期(day 6-12)に子宮鏡検査を施行し、子宮内評価を行った。

  3. 鋭匙にて子宮内膜生検を行った。

  4. 生検組織を2分割し、組織学検査(免疫染色にてCD138陽性細胞の同定)、培養検査(好気培養、嫌気培養、PCR(クラミジア、淋菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマ)に提出した。

  5. 抗生剤加療:ドキソサイクリン(ビブラマイシン200 mg/日を14日間)を内服した。

  6. 再生検で効果判定し、無効時は第2選択の抗生剤を投与し、再再生検を行った。

【結果】

  1. RIFの33.7%が慢性子宮内膜炎と診断された。

  2. RIFかつ慢性子宮内膜炎症例とRIFで慢性子宮内膜炎がない症例で培養結果を比較したところ、RIFかつ慢性子宮内膜炎症例ではCorynebacteriumとMycoplasma hominisが有意に多く、Lactobacillusが有意に少なかった。

  3. ドキソサイクリン内服治療後は治療前に比較してLactobacillusが

  4. 有意に増加し、Corynebacterium、Esherichia coli(大腸菌)、Enterococcus、B群溶連菌などが有意に低下した。

  5. 治療後の妊娠成績は3周期の胚移植による累積妊娠率で比較した。

RIFかつ慢性子宮内膜炎症例ではRIFで慢性子宮内膜炎がない症例と比較して臨床的妊娠率(45.7% vs. 34.1%)と生産率(38.8% vs. 27.9%)が有意に高かった。

【結論】

RIFの1/3に慢性子宮内膜炎が存在し、抗生剤投与による治療により妊娠率と生産率の改善が期待できる。

こうした結果があり、抗生剤処方をベースにした治療が浸透していったというわけですね。

そして、今その治療は変わりつつあります。
そのあたりも今週紹介していきたいと思います。

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