見出し画像

PRPの子宮内注入治療(PRP療法)

PRP療法が広がりを見せています。

今回は子宮内にPRPを注入することで、妊娠率を高めようという
「PRP子宮内注入」
についての論文を紹介したいと思います。

子宮内膜やその厚みがもつ意味については、以下で紹介しています。


S J Russell et al.J Assist Reprod Genet 2022; 39: 1305

この研究では、PRP注入によって、反復着床不全の方や内膜の厚みが足りない人の内膜厚を改善し、出産率を改善することを示しています。

研究は、カナダにおいて2018〜2021年にPRP子宮内注入した85名133周期を対象に、子宮内膜厚と正常胚移植による妊娠成績を後方視的に検討しました。

85名の内訳としては、
1.反復着床不全症例:48名
2.子宮内膜7mm以下症例:23名
1と2を合併している症例:14名

とのことです。

PRP子宮内注入は子宮内膜厚が7.0mmを超えるまで注入したところ、
1回注入73周期(55%)
2回注入46周期
3回注入9周期
4回以上注入4周期となりました。

この結果から、PRP注入は半分以上の方あるいは9割の方は1回か2回の注入で内膜の厚みに対しては効果があるものと考えられます。

妊娠成績に関しては、以下のように表現されています。

重要な点をかいつまんで紹介すると、

生化学的妊娠:48.3%:35.5%
臨床的妊娠率:37.1%:20.2%
出産率:19.0%:2.0%

という点が報告されています。PRPを行う前に出産率が2%という数字は、
この研究への参加者の平均年齢が38歳であることを考えると、いささか低すぎると思いますが、妊娠率・出産率においても有意差を認めた、つまり効果があった、とこの論文では紹介しています。

まだまだ前向き研究が足りない状況なので、全て肯定的に捉えるのはよくありませんが、不妊治療に関わらず、PRPを始めとした再生医療の可能性は不妊治療との相性は良い可能性が高いと思います。

今後も続報に期待したいところです。個人的にはPFC-FDでの報告が早くみたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!

おちまさゆき-正しい知識で正しい妊活を-
よろしければサポートをお願いします! 主に、不妊治療や若年がん患者の方の妊孕性温存に関する情報収集の書籍代や活動費用に充てさせていただきます。