反復流産の方への治療について
突然ですが、僕は
〇〇さえしていれば妊娠する!
というようなことを言う方がとても苦手です。
生活習慣関連(栄養や運動)や東洋医学(鍼灸や漢方)をしている方の一部にそのような方が多い印象があります。
もちろん、鍼灸も漢方にもとても効果があって、僕自身もよく利用させていただくのですが、
○○さえしていれば妊娠する!
という何とも恣意的で非科学的なアプローチが苦手なのです。
京野アートクリニックに来ていただいている鍼灸師の先生や漢方の先生はとても理解のある方々かつこの道の第一人者の方々で、そのような心配はありません。
今回のnoteは、実はこうしたこととはあまり関係ないのですが、
反復流産の治療についての紹介です。
先日TwitterでFMC東京クリニックの中村靖先生がくださったコメントがあり、思うところがあって、調べました。
妊娠すること自体が奇跡的であり、かつ誰でも流産する可能性がヒトは高いので、どうしても反復流産や習慣流産の方々は一定数いらっしゃいます。
原因は何なのか、ということを正しく検索しないといけません。
この研究は、反復流産を経験した19,000組のカップルのデータを調査し、その染色体核型を解析して、染色体異常の種類との関係を明らかにすることを目的として実施された韓国の研究です。
結果としては、19,000カップルのうち、844カップル(4.44%)で、夫婦どちらかに染色体の異常が認められたとのことです。
染色体の構造異常の比率では男性より女性の方が多く、若い年齢で多く認められ、61%が均衡型転座、14%が逆位、11%がモザイクという染色体の異常とのことです。
この研究の示すところとしては、若年で流産を繰り返す患者さんには一定の確率で、染色体の構造異常が考えられるということです。また、性別による傾向も一定認められます。
この場合、染色体の構造異常が認められれば、PGT-SRという検査の対象になります。
PGT-SRについては、京野アートクリニックの笠島先生の記載がとても詳細なので、外部リンクで以下を参照ください。
僕自身は、反復して流産の経験をされた場合には、流産絨毛染色体検査(POC)が保険診療で受けられるので、推奨したいと考えます。
これにより、母体に要因があるか、受精卵に問題があるか、一定の道筋が立つからです。それができていない場合には採血により染色体検査が可能です。
検査で原因を特定(仮定)し、その上で治療を行う。
考えてみれば、医療に限らずすべて同じことで、
課題を定めて、計画を決め、実行する。といっているのと同じですね。
魔法のような治療法は存在しません。
凡事徹底でいきましょう。