インサイドキックのバイオメカニクス
以前の記事でボールスピードを意識したインサイドキックを紹介しましたがインサイドキックのバイオメカニクスを紹介します。
Nunomeらは、高校生サッカー選手によるインステップキックとインサイドキックの蹴り脚動作を運動力学的に比較しています。
1.ともにキック前半に大きな屈曲トルクが発揮される。
2.インサイドキックではインステップキックと加えて内転トルクがやや大きいが、著しい相違はない
3.インサイドキックではキック後半に大きな外旋トルクが発揮される
熟練度別に比較した研究では、
1.熟練者群ではキック前半において発揮される股関節屈曲トルクが著しく大きい
2.股関節外旋トルクは熟練者群の方がやや大きい
3.股関節内転トルクには熟練者群と非熟練者群での相違がほとんどない
これらの研究から、インサイドキックにおけるボールスピードは、キック前半における股関節屈曲筋力の発揮様式が強く影響していることが示唆されています。すなわち、キック前半に股関節屈曲筋力を発揮して大きな運動エネルギーを発生させ、このエネルギーを脚の効率的な運動連鎖で末端へと流しつつ、キック後半に股関節外旋トルクを発揮してインパクト面を形成するという運動戦略が、力強いインサイドキックの科学的な要点であるといえます。