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【死海】イスラエルの絶景〜死海(Dead Sea)の秘密〜
シャローム♡毎週水曜日配信の『がんちゃんのイスラエル便り』
今週は〜イスラエルの絶景”死海の秘密”〜をテーマにお届けします。
イスラエルに駐在するまで遠い存在だった”死海”。
実際に行ってみたら『天国って、きっとこんな場所なんだろうな〜』と思うほどの絶景が広がっていました!
しかも、世界有数の絶景の中でも比較的訪れやすいスポットだと思います。
イスラエルの主要観光地から車をチャーターしたり、バスツアーに参加すれば、半日で楽しむことができるからです。
こちらを読んで、あなたのTop of one’s listに加えていただけたら幸いです。
イスラエルの基本情報は『入門編』をご覧くださいませ♡
https://note.com/ganganganchan/n/ne96a3a839618
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(透明度抜群の死海の水)
世界で最も低い場所にある塩水湖
世界中から観光客が訪れる死海は、イスラエルとヨルダンの国境に位置しています。
南北に60km、東西に17kmの細長い塩水湖で、イスラエルの主要都市”エルサレム”や”テルアビブ”から車を走らせて、約2時間ほどで到着します。
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イスラエル側もヨルダン側も、死海付近はホテルが隣接されていてビーチリゾートの雰囲気。
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イスラエル側の死海付近のリゾート地
写真:Agoda.com
https://www.agoda.com/city/dead-sea-jo.html?cid=1844104
イスラエルの死海ビーチエリアで有名なのはEin Bokek(エン・ボケック)。
パブリックビーチなので、無料でシャワーや脱衣所を使用することができて非常に便利です。
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Ein Bokekのパブリックビーチ
パラソルが並んでいて、チェアも無料で貸し出している。
https://goo.gl/maps/qaQRoVkJfEDWEz2U7
そして、あまり知られていませんが
死海は”海抜約ー420m”と、世界で最も低い場所にあるのです。
[断面図]
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そのため酸素濃度が高く、どこよりも高気圧。
『頭がクリアになる』『心身が癒される』と言われていて、保養のために訪れる人も多くいるんですよ。
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(車で死海へ向かう時の景色)
死海へ向かう際は、赤茶色の谷間を縫うように降って行くのですが...
普段は車酔いを一切しない私でも、急な気圧の変化で毎度気持ち悪くなってしまいます。
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(圧巻の荒野の景色)
死海で浮遊体験
死海といえば『ぷかぷかと浮遊体験ができる場所』というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
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(対岸に見えるのはヨルダンの山.ヘブライ語の新聞を手に浮いてみた)
なぜ体が浮くのか?というと有名な話ではありますが...少し詳しく綴っておきます。
【体が浮くメカニズム】
死海の主な水源は、ヨルダン川や周囲から湧き出る温泉であると考えられています。
死海周辺の年間降水量は100㎜以下と極端に少ないことと、気温が夏は32-44℃、冬でも20℃を下回らず温暖で乾燥していることから、湖水が水分補給を上回る勢いで蒸発。
その結果、湖水に含まれる塩が蓄積し、自然と塩分濃度の高い環境が生み出されているのです。
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(Ein Bokekにて.まるで天国に続く道)
死海の塩分濃度は、通常の海水の約10倍の33%。
塩が溶け込んでいるぶん水が重いため、※アルキメデスの原理 でいうと通常の水中より体が浮きやすくなる 、というメカニズムなのです。
アルキメデスの原理
「流体(液体や気体)中の物体は、その物体が押しのけている流体の重さ(重量)と同じ大きさで上向きの浮力を受ける」
参考:Study-Z「 アルキメデスの原理」https://study-z.net/16654/2
泳げない方も死海なら安心♪ぷかぷか〜と気持ちよく浮かべます。
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(Ein Bokek から少し離れたところには塩の塊がたくさんある)
しかし、誤って溺れて湖水をたくさん飲んでしまったら大変。
以前、ツアーガイドさんに「コップ1 杯分の湖水を飲んだら死ぬぞ」と教えてもらったことがあります。
塩分濃度が高すぎて、魚類などの生物が生息できないことが”死海”という名称の由来ともなっているのですから...。
死海で溺れたら、ひとたまりもないのです。
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(落ちていたポテトチップスの袋も塩まみれ)
クレオパトラも愛した死海
古代エジプト女王のクレオパトラが美容効果を知り、世界で初めてプライベートスパを作ったという伝説もある死海。
現在でも、死海のスキンケアグッズは世界中で愛されています。
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(塩の島と透き通った湖水)
死海の美容効果が期待できる理由のひとつは、湖水に”塩化マグネシウム”が豊富に含まれていて保湿効果が高いから。
身近なものだと、豆腐のニガリ=塩化マグネシウムのことであり、『しょっぱい』を感じる塩化カリウムとは違い、『苦い』味がします。
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(溶けきれず水中に堆積している塩の塊.踏むと結構痛い)
試しに、湖水に堆積した塩の塊を舐めてみてください。
苦くてビックリしますよ。笑
死海の南側(Ein Bokekなど)では、上記のように透明度の高い湖水と塩の塊を見ることができますが
死海の北側では表情が異なり、これまた美容効果の高い天然の泥パックを楽しむことができます。
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死海の北側にある Kalia Beachにて.泥が堆積している
https://goo.gl/maps/1i2aeyxFfrn3YxwJA
長い歳月をかけて堆積した泥には、ミネラル成分が豊富に含まれているので
お肌にのせて、少し時間を置いてから流すとツルツルになりますよ。
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(塩がキラキラ)
【日本でも人気の死海コスメ】
そんなメリットだらけの死海コスメの中でも
日本における知名度が高いのが、イスラエル発祥の”SABON”。
国内で約50店舗展開していて、死海の塩を使ったボディスクラブはファンの多い逸品。
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テルアビブにあるSABON1号店 https://goo.gl/maps/8mPYZaJaKcEDNMR89
こちら、日本語が堪能なイスラエル人の店員さんがいらっしゃいます♡
【SABON】https://www.sabon.co.jp
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(テルアビブのシェンキンス通りにあるSABON1号店)
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(スーツケースいっぱいに詰めて一時帰国.バラマキ土産に)
他にも、日本に上陸している死海コスメの有名どころといえば
”Laline”、”AHAVA”、”Premier-deadsea”があります。
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・左『Laline』香りのバリエーションが豊かで可愛らしいパッケージが特徴。
https://www.laline.jp
・真ん中『AHAVA』ヘブライ語で”愛”という意味を持つブランド。値は少々張るが実力派。
https://www.ahava.com
・右『Premier-deadsea』2019 年から日本にも専門ShopがOpen。大人の女性向けの高級ブランド。
https://premier-deadsea.jp/about
海外旅行に行けないこのご時世、コスメから異国の香りを取り入れてみるのも良いかもしれません。
死海の将来
さて、ここまで見ると『高気圧で保養地としても唯一無二』『天然のミネラル成分が豊富で美容効果が絶大』と死海は”いいことずくめ”なのですが...
恩恵に預かれるのも、あと僅か30年ほどかもしれない、と言われています。
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( 死海は遠浅で絵に描いたような景色)
なぜなら地球温暖化による気温の上昇や、生活・工業用水の汲み上げの影響で、死海の湖水が年々減少してしまっているから。
70年前と比べると、死海の表面積はほぼ半分になっており2050年には完全に干上がってしまう、という説があるのです。
イスラエルの北に位置するガリラヤ湖から水を引っ張ってくるか、南に位置する紅海から水を引っ張ってくるか...いずれにせよ膨大なコストがかかるため、難航を極めているのだそう。
【ある日突然現れる陥没穴】
そして、近年多発しているのが死海周辺で突然起きる地面の陥没。
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多発するシンクホール
写真:Times of Israel 2019.11.7
https://www.timesofisrael.com/sinking-israel-jordan-relations-leave-dead-sea-a-natural-wonder-low-and-dry/
これは”シンクホール”という現象で、地下水面より下に堆積していた塩分が溶け出すことによって起きるものなのです。
死海付近には7,000ほどのシンクホールが見られますが、手の施しようがないためそのままになっています。
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(車の中から見えたシンクホールの数々.元々この場所は死海だった)
環境問題は、中東のオアシス”死海”の存続危機をも招いているのです。
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(Ein Bokekにて)
儚くも美しく、時には脅威である死海ですが、いつ訪れても長閑な情景に癒されます。
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(Ein Bokek にて.この日の死海は44℃を記録)
温泉のように、死海に肩まで浸かるご老人の集団や、泥パックを全身に塗りたくる若者の姿。パラソルの下でおやつを頬張る子供...。(死海は顔がつけられないので子供には不人気と聞いたことがある。笑)
どうにかして、この危機を乗り越えていきたいものです。
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おまけ☆「どこからきたの?」と聞かれたら
1人で街に繰り出すと
「どこから来たの?」とよく話しかけられる。
どう見てもイスラエル人でない私に投げかけられる常套句。
「日本だよ」と言うと
嬉しそうな顔をして、質問攻めが始まる。
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(Carmel Market.お肉から雑貨まで手に入る)
「日本人から見てイスラエルはどうだい?」
「イスラエルって最高だと思わないかい?」
「ねえ、なんで日本人は電車の中で静かなんだい?」
私の拙い英語で返せる限り、頑張ってみる。
質問が面白いし、本当に懐っこい人達だ。
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(Dizengoff Mall.映画館やスーパーなんでも入っている)
人によっては
「私はイスラエル人より、日本人の方が信用しているのよ!」
なんて大絶賛してくれることも。
(会話を広げられる英語力が欲しい)
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(TLV Mall.コロナ禍で閑散としているがテルアビブ1綺麗なMall)
ある時、レストランでウェイターさんに声をかけられて
「日本から来たよ」と言ったら
「でも住んでるのは、イスラエルだろ。
じゃあ君はもうイスラエリーだ!」と言われた。
『え。なんだか嬉しい。』
この気持ち、日本を出て生活したことで知った感情だった。
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(Nahalat Binyamin Streetに軒を連ねる布屋さん)
それからは
「どこから来たの?」と聞かれたら
「〇〇Mallの近くに住んでるの。」と言うようにしている。
すると、キョトン。とした後にひと笑いしてから
...いつも通りの質問攻めが始まる。笑
異国の地では、なんの気なしに言ったであろう他人の言葉に
思った以上に励まされたりするのでした。
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(目線を感じて見上げたら可愛い猫がいた)
参考:
・Premier「 天然ミネラルの宝庫、死海の神秘」
https://premier-deadsea.jp/beautytips/002/
・地球の歩き方「イスラエル」
https://www.arukikata.co.jp/country/IL/
・Study-Z「 アルキメデスの原理」
https://study-z.net/16654/2
・Times of Israel 2019.11.7「Sinking-israel-jordan〜」
https://www.timesofisrael.com/sinking-israel-jordan-relations-leave-dead-sea-a-natural-wonder-low-and-dry/
最後までお読みいただきありがとうございました。
トダラバ♡
著・写真 がんちゃん
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