
老犬介護物語 18歳
誕生日は8月5日。
友人がビーグルの女の子を飼っていて、もしも赤ちゃん産むようなことがあったらぜひ一匹とお願いしていた。
それから数年後に4兄妹の長女(性格から多分そうと決めつけている)として誕生。めでたくうちの子になってから18年が経過。
一匹は死産、あとの二匹もすでに虹の橋の向こう側。
奇跡の18歳の誕生日は赤飯で祝う。
若い頃、ご飯は瞬殺で10秒チャージだった。ご飯の支度が始まると、いてもたってもいられず駆け回り立ち上がりまとわりつく。食事はハウスでと決めていたので用意ができると猛ダッシュでケージに入り、お座りするも、よしっ、の合図を待ちきれずお尻が動くうごく…。
フードの好き嫌いはなく、貰い物でもなんでもOK、食べるために生きているそんな食いしん坊だった。
17歳ごろからはカリカリのフードを水でふやかしてあげるようにした。柔らかめの方が食べやすそうな感じになっていたのだが、ウェットフード中心にするとお腹が緩くなりがちなのとコストもかかるということで。
時々ささみやお芋を混ぜてやる。ささみの茹で汁を入れるだけでも空のお皿にご執心となる。食事前のはしゃぎ方も倍増である。
その後さらに、いわゆる犬食いが下手になってきて、食事に3分以上かかるようになった。
発作が起こると食事を食べられずにひたすら寝ているので、発作が起こるたびに少し痩せる。ケロッと復活してもふやかしたフードが食べにくそうなのでささみやお芋を一口台にして一つづつ手であげてみる。これはよく食べる。
ただそれだけだと栄養が偏ると思われたので、ドライフードにチュールをまぶしてあげてみた。
チュールで数粒のフードが絡められた、つまり一口大にまとまった状態になるので少し食べやすくなったようだし、何しろチュールの威力がすごいのでなかなかの勢いで食べてくれるようになった。
そうこうしていると夏の疲れか下痢が続き、お薬が必要となった。薬はシロップと粉末とを選べたのだが、粉末にチャレンジ。もうこの際、なんでも美味しく食べられるものをちょっとだけあげることにして、杏仁豆腐とかバニラアイスに混ぜて投薬。
一旦治って薬をやめたが再び便にゼリー状の塊が出たので調べてみると大腸炎とのこと。残っていた薬をあげるのと同時に、繊維質のものを食べさせると良いとか、お粥が良いとかのネット情報を頼りに、ご飯にはチュール以外でフードを絡めてくれるものを考えた。
チュールほどの粘着力はないがお腹に良さそうなものとしてりんごのすりおろしを使ってみると、これがよかったのか薬がなくても回復してくれた。
ひと月あまり散歩に行かなかったので、日曜日の早朝、ワンコ用カートで散歩に出て、時々降ろして歩かせてみる。ワンコにも飼い主にも気分転換になった。
いつものコース、いつもの風景、いつもあったものがそこにある幸せ。
引きの強いワンコで、気になるものがあったらテコでもうごかないし、くん活ばかりで散歩の時間ばかりかかって距離は伸びないし、しょっちゅうなんかパクってするし、いろんなことを思い出しながら歩くのもまた楽しい時間。
なんとか酷暑を乗り切り、誕生日のひと月半後には多少涼しくなってきて、生気が戻ってきて胸を撫で下ろす。
ただ、これが嵐の前の静けさ、的なやつだったのだけど、それはまた次の物語で。