ゆれる
この話は、私がまだ小学生の頃の話です。
母が台所で夕飯を作り、私は居間で宿題をする。
そんないつもの夕暮れ時でした。
古い家でしたので、居間と台所は別々の部屋で襖を閉めると他の部屋は見えません。
夕飯の支度を一通り終えた母が、居間に入ってきて一緒にお喋りをしていました。
その時何の前触れも無く、急に家全体がブワァッと揺れたのです。
突風でも吹いたかのように家中の扉が開きました。
時間にすると1、2秒だったのですが、確かに揺れたのです。
地震か??母と2人で目を見合わせ固まってしまいました。
その時、はっとした顔をして母が台所へ走って行きました。
私も後を追うと、コンロの火が天井まで届きそうな勢いでした。
「お風呂の水汲んできて!!」
と母が叫び、慌ててお風呂場へと駆け込みました。
その後、何とか火を消すことができました。
コンロの壁は真っ黒に焦げていましたが、幸い誰も怪我をすることなく無事でした。
後になって調べたのですが、その日に地震はありませんでした。
きっと守護霊さんか座敷童子が知らせてくれたのかもね。
母は今でもそう信じているようです。