『社会人になっても、30になっても、結婚しても、子供ができても、俺は戦場童貞を死ぬまでやめない! 第1回(第13稿)』
まずゴローさんの話でもしようと思っていたが、ココで言うのも何ですが、身内に不幸があった関係でひとまずゴロー話は置いておいて、これからちょっと喪服屋にひとっ走りしてくるわ。
え~っと、喪服屋の後、スイミング行って、ビックボーイ行って、荷物をパッキングして、早朝旅立つ感じかしら。
実は今春、うちの実家に一家置き喪服してきた関係で今ちょっと、手持ちの喪服がないんだわ。チッ、読みが外れたか。
んまあ! ドタバタのドサクサに紛れて、当たりまえだの不謹慎で、ゴミンなさい。誰がゴミやねん! じゃなくて、何がゴミンやねん、ゴメンなさいでしょ! パス1! パス禁止! ポイ捨て禁止! オチつきなさい。
う~ん、それにしても、どこの喪服屋がいいのかなあ、高島屋? イオン? それとも洋服の青山とか紳士服のコナカにも子供の喪服って売ってるかなあ。
ハッ、コナカとコナンって似てる! ヨシッ!
クソ~、コナカに騙されたよ、ひっかけ問題だった(2014年7月2日(水)23時59分の中間報告)。
コナンの作者は、青山剛昌先生だった。後は、もう分かるよな? そう、ビックボーイで胃もたれして、明日はお通夜、明後日はお葬式、その後、ちょうど土日を挟むから、ちょっと足を延ばして小旅行とココまで決まった感じだから、再開は早くて来週の月曜かしらん。
再開は早くも遅くもない来週の水曜こと、つまり本日、2014年7月9日(水)でしたね。
せめて初七日まではと、おとなしく喪に服しておりました。ホントは四十九日までガッツリ喪に服すつもりだったんですけどね、早目で長目の夏休み代わりに。
だって俺は昔から、いつだってどこだってどんなときだって、しっかりきっかりちゃっかり夏休みはトコトンいっぱい取るタイプだから。
そんでもって、夏休みが終わってから、「お葬式の形って、死体の数だけあるんだね。いや、違くて、最初は゛死骸”って書こうとしたけど、それだとなんか昆虫っぽいから、ちゃんと人間っぽい゛死体”にしたし」って四十九日のタイムラグがあれば、もちろん夏の終わりだからコンガリと真っ黒に日焼けしてることでしょうし、夏の終わりの感性でコレくらいドス黒くても大丈夫っしょって感じで再開し、それからはもう怒涛の勢いで遅れを挽回すればいいかなあ計画だったんですよ。
まあ、それだとアレみたいですし、先行していた貯金回も残り1回となりましたからね。
うちは2014年4月23日(水)スタートで、毎週水曜更新だから、本日2014年7月9日(水)で12回目なわけ。
もちろんタイトルはコロコロ変わるし、第1回ばかりですが、「第●回(第●稿)」の「(第●稿)」の「●」が、今回は「12」のはずが「13」、つまり「第1回(第13稿)」というわけなので、まだ1回分貯金があることが分かりますね。
そんな貯金があるから、喪中だからってこの1週間ずっと遊んでいたわけじゃございません、ちゃんと漫画を読んでたんです!
そう、例の漫画化計画、前回『社会人になっても、30になっても、結婚しても、子供ができても、俺は戦場童貞を死ぬまでやめない! 第1回(第12稿)』で大々的に発表した、うちの『ベトナム戦争従軍希望記 「カレン民族解放軍従軍希望記」編』を漫画化する件ですよ。
前回の文末、「ホントはお目当ての漫画家さんがいるんだけど、今のところマガジンもノートも売ってないから、伝家の宝刀の大人の金ニケーションができない…」でチラリと触れた通り、「『note』にいる漫画家さんをnote検索で探そうじゃないか」、そうしようということでさっそく動き出したはいいが、さっそくブツかった「お目当ての漫画家さんに大人の金ニケーションを仕掛けることすらできない」問題以外に、別の大きな問題も出てきちゃったんです。
ほら、同じく前回、「そんなウシシな漫画家さんとのヤリ取りの一部始終を、ココでどうせ毎回毎回、前置きがクソ長いついでに、逐一リアルタイムドキュメンタリーとして報告していきます。大人の金ニケーションドキュメンタリーnoteです」って書いたわけですが、もし万が一、お目当ての漫画家さんへのアタックが失敗した場合、当然その経緯も含めて喜々として全部ココに発表するわけですから、2人目以降の漫画家さんにアタックする際、「ああ、本命に断られたから、二番手のところに来たのね」とすぐバレるわけじゃないですか!
しかもご丁寧に例の前回で、「●とりあえず、漫画化してくれる漫画家さんをゲットするまで続ける」とまで宣言しているので、10人目の漫画家さんにお願いする頃になると「なんだよ、『是非とも先生に漫画化をお願いさせてつかわさい』とか言っておきながら、既に9人も断られて、しかもその一部始終が全部書いてあるんじゃないか。そもそも10人目って、野球ならベンチ入りの補欠じゃないか」、「でも、先生、サッカーなら10番はエースストライカーです!」、「いや、お前、サッカーも野球も嫌いじゃん」、「ね~」ってなるじゃん、ちょっとどうすんのよ、コレ!
う~ん、とりまスイミング&ディナーにいってくるわ。
ただいま、スイミング見学中に、超いいアイデア思いついた! 水面下で漫画家さんと交渉すればよくね。そんで、漫画化の交渉成立後に、それまでの経緯を全部まとめて報告すればいいじゃん。
もちろんリアルタイムで途中経過を逐一ドキュメント生報告できなくなるのは残念だけど、水面下方式ならば例え100人目にお願いする漫画家さんにでも「先生こそが、お目当ての漫画家さんだったんです、是非ともお願いします。でも…初めてだからやさしくし・て・ね♡」、「ちょっと待った! この漫画化ネタって1年前のじゃないの? 今、もう2015年だよ」、「…先生の漫画を1年間、徹底的に読み込んで、どう漫画化をお願いしようかずっと勉強してました、漫画喫茶で!」、「そっか、てか、買えよ!」、「あ、その手があったか、テヘペロ」ってイイ感じになりそうじゃん。
あ、今、新しい問題、大発見! 噂の前回で、「●月々のお小遣いは4000~5000円(うちは毎週水曜更新ゆえ、月4~5回発行となるので、1回あたり1000円分の有料マガジンをショッピングする感じかしら)」って書いたけど、当然水面下であろうがなかろうか、漫画化の交渉する際に銭の話もするわけじゃないですか。とりま、
●「漫画化し、それが売れた場合の捕らぬ狸の皮算用の山分け具合は、原作者の俺と漫画家さんでどうするのか?」
●「それとは別に漫画家さんに原稿料を支払うのか?(この記事の元ネタはコチラ)」
って疑問が出てきたんですが、まあ、水面下でゆっくりと一人で考えますけど、月々のお小遣い4000円~5000円で、有料マガジンのショッピング代と漫画化の原稿料に足りるかなあ。
知るか! そんなことよりもいい加減に本題は? まだまだ前置きで勘を取り戻すリハビリ中です! そういや、今回の冒頭で「まずゴローさんの話でもしようと思っていたが、ココで言うのも何ですが、身内に不幸があった関係でひとまずゴロー話は置いておいて」って書いたから、置いて寝かしおいたゴロー話いってみよう!
ゴロー話とは、要は浪人話ですよ。うちの業界関係者じゃないと「戦場特派員歴=戦場童貞歴=四半世紀(もしくは15年)」と言われてもイマイチ、ピンと来ないかなあとふと思いましてね。
じゃあ、戦場特派員業界よりはメジャーな大学受験に例えてみようかと思った次第でござい。
まず大学受験の現役時代が高3とすると、俺の戦場特派員受験の現役時代は1989年の中2(もしくは1999年の社会人1年生)となるわけです。
で、今年は2014年じゃないですか、そうすっと俺は今年、25浪目(もしくは15浪目)なわけですよ。
もう少し詳しく説明すると、
●現役時代が「中2の1989年(平成元年)4月~1990年(平成2年)3月」(もしくは「社会人1年生の1999年(平成11年)4月~2000年(平成12年)3月」)
●1浪目が「中3の1990年(平成2年)4月~1991年(平成3年)3月」(もしくは「社会人2年目の2000年(平成12年)4月~2001年(平成13年)3月」)
●今は「2014年(平成26年)4月~2015年(平成27年)3月」で、25浪目(もしくは15浪目)と相成ります。
ね?「ゴローさん」でしょ。そりゃ、確かに20年ばかしサバ読んでますが、「ニジュウゴローさん」じゃ、なんか『21エモン』みたいで、輝かしい未来感が出てきちゃうじゃん、25浪目なのに。
仮に、もしくは15浪目だとしても、サバを10年読めば、これまた「ゴローさん」ですからね。だって「ジュウゴローさん」じゃ言いにくいし、語呂が悪いもん。
というわけで、25浪目にしろ、15浪目にしろ、俺はゴローさんだ! だから、大学受験でたかが2浪や3浪したくらいで苦労人気取ってんじゃねえよ。俺は毎年毎年、ギネス記録更新中のバリバリ現役の苦労人だぞ!
ま、厳密の意味で言うと、俺は浪人ってわけじゃないんですけどね、ある意味とっくの昔に入学してますから。
だって「社会人1年生の1999年(平成11年)4月~2000年(平成12年)3月」の初海外取材のとき、「あ、俺ってば、ホントは生まれつきベトナム戦争の戦場特派員だった」と正しく気づき直して、タイムマシーンの完成を待ちつつも、万が一タイムマシーンが開発されなくても、ベトナム戦争の戦場特派員になれるようにコツコツとカスタマイズ続けて、ココまで来たわけですから、ず~っと前の時点でモグリ学生か自称学生レベルには軽々と到達してますから。
当然、戦場童貞って意味では、ベトナム戦争の戦場はもちろんのこと、どこの戦場にもまだ行ったことないから、ピカピカの25浪だか15浪の「ゴローさん」ですから安心してください。
てか、今の時代、日本人の大半は、あの自衛隊員ですら、軒並み戦場童貞なわけですから、寂しくなんかないやい、なあ、戦場童貞仲間たちよ。
でも、君たちはまだ戦場童貞として未知数で、輝かしき未来がある。俺はもう戦場童貞として、イチローさん、ジローさん、サブローさん、シローさん、ゴローさんって毎年結果を出し続けているから全然未知数じゃないんだ、お先真っ暗さ。もちろん、この先、一体ナニローさんまで行くんだろうって未知の恐怖はあるけどね。
でも、俺はまだまだイクぜ!
じゃあ、以下は前回同様、簡単にどういうノンフィクションなのか補足説明しておきます。
「中2のとき、『あ、俺ってば、ナチュラルボーン戦場特派員だった』と天啓を受けた俺がその10年後、戦場童貞を捨てるため、ビルマの軍事政権相手に半世紀以上、民族闘争を続けているカレン民族解放軍の従軍取材と、ビルマの軍事政権に迫害を受けて、隣国タイに国外避難しているカレン族の難民キャンプ取材をしに行くも、初海外取材の2ヶ月間ことごとく失敗に失敗を重ねるだけ。でも最後の最後の方に『あ、ちょっと間違ってたや。正しくは、俺ってば、生まれつきベトナム戦争の戦場特派員だった』と再天啓を受ける」感じのノンフィクションです。
いいんです、ノンフィクションの醍醐味は成功譚ではなく、大失敗譚にあり!
というわけで、基本的に初海外取材の2ヶ月間、何も起こりません。もうね、そんな戦場とか危ないところには、全然余裕で超たどり着きませんからご安心ください。
そんな失敗の連続以外は何も起こらなかった青春の2ヶ月間を、いかに素敵なノンフィクションに書き上げるかが俺のヤルことで、漫画家さんには是非、その自称素敵なノンフィクションを叩き台原作にし、見違えるように超素晴らしい漫画にして欲しくて欲しくて、もうたまらないんだ、な、いいだろ?
いきなり迫られてもアレでしょうから、じゃあ、ちょっとどんな感じか今回練習がてらお試しというか社会見学してみませんか?
えっ~とまず、漫画化の練習台になるような退屈な日を初海外取材の2ヶ月間からセレクトしてみました。
適宜、文中の()内で「こんな感じで、漫画化して欲しいなあ」とつぶやきます。気にしたり、気にしなかったりで前向きに善処して頂ければ幸いです。 それではお時間ある際に、お気が向いたら、どうぞよろしくお願いします。
という漫画化前提の方向性で今回もいこうか、水面下で交渉する漫画家さんのためにもさ。
【2000年1月30日(日)】
9時30分、起床。目が覚めた瞬間から、全身の毛穴という毛穴から勤労意欲がとめどなく溢れ出す様が手に取るように分かる。あ、さては…案の定、本日は休息の日曜。ふっ、第6感で休日当ての世界チャンピオンだぜ! 人間ってすごいね(はいはい、2014年の俺です。このとき、2000年の俺はタイの北西部に位置する、タイとビルマの国境の町「MAE SOT(日本語読みでは、メソト、メソット、メーソートなど)」にいます)。
そんな日曜日にはいつだって慣れシリーズがあった。バンコク慣れ、チェンマイ慣れ、帰ってきたバンコク慣れ、そういや、ラチャブリ慣れはしなかったなあ。
そして、最新のメソト慣れも早いものでもう2日目でございます。ただメソト慣れ初日の昨日は、4時間ばかし街中をウロチョロしただけなので、実質今日が初日みたいなもんだ。
ちなみに、昨晩の水シャワープレイがくせになったわけではないが、政府の犬に見張られているゴッコはやめて、おとなしく連泊することに(はい、ゴメンなすってよ、2014年の俺ですが、連泊先は『Siam Hotel』という安ホテル(水シャワーでエアコンなしの部屋で180B、当時の日本円で540円)ですよ)。
10時30分、朝イチからバイクに乗る予定がグズグズしてたらもうこんな時間に! 急いで部屋を出る前に「アナタ、ハンカチお財布キッス」ゴッコをしたりしてたからだよ。
まあ、でも、ココ、メソトのレンタバイクは24時間乗り放題で良心的ったって、よくよく考えるまでもなくガソリンは自腹じゃん。世の中そんな甘くない。
そもそもレンタバイクはメソト慣れの為じゃなくて、難民キャンプへの交通手段として借りたんだろ! あ、そうだったっけ? でもさ、昨日今日は土曜日曜だから、バイク慣れ&ついでのメソト慣れでいいじゃん、固いこと言うなよ。まあまあ、日曜の朝から一人で熱くなっても仕方ない。
ひんやりしたホテルの駐車場に鎮座まします俺のレンタバイクに跨り、キーをブチこみ、エンジンをかける。右手で握ったアクセルをちょっとずつ開き、ゆっくり走り出す。
昨日のガソリンはまだまだたっぷり残っている。特に行く当てなどはない。ゴールは13時にレンタバイク屋だ。あ、じゃあ、昨日発見したインターネットカフェに行こう。もちろん今日も仕事じゃないよ。プライベートの野暮用ラブメールさ(30B)。
とりま適当なバイクを選んで、尾行してみることにする。ナイスアイデア! バイク慣れにはうってつけの練習方法だ。
尾行相手の皆さんは、街中はそんなスピードを出さないが、ちょっと中心街を外れた途端、結構なスピードを出すので、いつも簡単に尾行を振り切られてしまう。
うちは安全運転が旗印でござい。巻かれるたびに、尾行バイクを変えるのだが、あんま尾行相手をコロコロ変え続けて、ふと気付くと今、一体どこにいるのか分からなくなる。うまく尾行できるバイク相手でもあまり深追いせず、適当に切り上げる勇気も必要だ。
後進の自称プロ戦場特派員諸君、人生の先達の尊い教えが分かったかい。こんなことができるのはよっぽど暇人か、俺か、ってくらいだろう。
メソトはそこそこ大きな町だが、町を離れるとすぐに田園風景が広がる。ああ、でも景色なんて見ないよ。仮に見たとしても、絶対に風景描写なんてしねえから。そんなもん単なる自己満足に過ぎねえだろ、俺は他の自己満足で忙しいんだ。(2014年の俺ですよ。ま、こういうのはさ、「Thailand Mae Sot 2000年」とかでYouTube検索した方が一目瞭然で雰囲気伝わるし、もちろん直接自分の目で2000年のMae Sotへ見に行くのが一番だけどな、タイムマシーンに乗って。俺がベトナム戦争の時代に行ったら、タイムマシーンが空くから、お好きに使ってよ)。
とにかく俺は、前のバイクのケツを追うのに忙しいの。視界も視線も目線も全部ひっくるめて、尾行相手のバイクのケツにロックオン!
そんな景色見たり、よそ見してたら危ないでしょ。しかも今、半裸じゃん、もしコケたら超痛いじゃん。
あ、まだ言ってなかったっけ? ほら、2番目だかに尾行したおじさんが暑かったのか、走りながら服を脱ぎ脱ぎし始めたわけ。
俺のテクではさすがに走りながらは無理だったので、尾行を一旦中断し、路肩にバイクを停めて、服を脱ぎ脱ぎ脱ぎしたから、上半身はスッポンポンなのさ。
半裸にカメラバックを背負うと、バイクの振動でちょうど乳首が見え隠れしちゃって、強いて言えば、まるでカメラバックは誘って動く新種のブラジャーだ。
バイクを運転してて、ふとサイドミラーで後ろを見たら、異国の半裸男が乳首を見え隠れさせながら尾行してたら、すげえイヤだろうなあ。でもホモにはたまんねえかも。ま、ホモにも好みはあるか。ちょっと長いけど、9年前、2005年のホモノンフィクションを引用します。
「第23回 東京は新宿2丁目
なぜ、先週の予告通り、めずらしく素直に同性愛者の聖地・新宿2丁目に向ったのか? 何てことはない、今月は“●●強化月間”とコッソリ銘打って、家の近所の●●ばかりウロチョロしていたのが、なぜか世間様と編集長様の知るところとなり、「新宿2丁目のレンタルビデオ屋に行きなさい」との厳命ゲッツ!
さあ、今週も新宿2丁目のレンタルビデオ屋で男になるぞ、ヨ~イ、ドン!
あやしげな夜の店が軒を連ねる、新宿2丁目界隈に俺は恐る恐る偉大な一歩を踏み出した。男子大生アルバイトパブの看板や男性モデル募集のチラシ、「高額日払いバイト募集!簡単なホール&カウンターで日払い30,000円+α」との求人広告などを眺め、必死に同性愛者を装う。
この街にとけこむ為のけなげな努力虚しく、行けども行けどもレンタルビデオ屋が見当らない。ワ~イ!
しかし、メインストリートらしき道沿いや雑居ビルの中、奥まった路地などにビデオ屋というか、ビデオや雑誌やグッズなどを販売しているアダルトショップはチラホラ目についた。
その手のお店を5、6軒見回ってみたが、ビデオはセルビデオばかり。値段はピンキリだが、“30%OFF”、“半額”、“3本で2,980円”とお手頃な値段も多い。たまには「男好きの赤の他人が買った安いセルビデオでもいいや」と思ったが、若干の大問題が…。
セルビデオはすべて男性の、男性による、男性のためのエロビデオだ。もうパケ写からして、男性同士が超愛し合っている。タイトルも過激過ぎてほとんど書けないが、ソフトなところを2、3紹介すると『純情 レスリング青年』、『父親の役割』、『1999 課長ベスト』なんてタイトルがズラリ。
普段なら爆笑ものだが、他のお客さんたちは真剣な顔でそんなビデオを選んだり、ビデオ片手に溜息をついたり、微妙に前屈みになったりとお忙しそうなので、グッと我慢する。
もちろん単独客だけでなく、カップル客もいる。店内で手をギュッと握り合ったり、腰に手を回してクイッと引き寄せたり、オチリをスリスリ撫で回している♂VS♂のツガイどもを観察していたら、何かもう気分は敵国に潜入したスパイですよ、編集長のスパイ!
「え~、超がんばりましたが、新宿2丁目にレンタルビデオ屋は1個もありませんでした」と黒幕に報告して、とっととこんなところから脱出したかったが、実はもう一つ、極秘ミッションを受けていたのだ。「もしレンタルビデオ屋がなければ、2丁目の誰かにオススメの映画を聞いてきなさい」だってさ。
しかも、最初から「2丁目にはレンタルビデオ屋なんかない!」って超知っている口ぶり。ちょっとコレはどういうことよ? もうこうなったら、「間違えて東村山2丁目にでも行ってやる」と思ったがココから結構遠いので、ええ、聞けばいいんでしょ、ココのホモどもに聞けばさあ。
そうと決まれば、やはりイケメンのホモ男性を狙うのが人情だ。そういう目で街をゆく人々を眺めてみる。
腰をクネクネさせながらスキップするゲイ青年、つばの広い帽子を目深にかぶり、肘まである白手袋を両手にハメたホモ老人、12個入りのトイレットペーパー片手にタンクトップ姿で歩くマッチョゲイ男などが次々と視界に飛び込んできた。
…彼らとスピークはまだちょっと無理かな。勇気凛々が出ないまま、街の散策を続ける。路地裏や道端、ガードレールなどに待ち合わせ中なのか、ナンパ待ちなのか、売春夫なのか、若めの男の子たちが立ったり、しゃがみこんだり、駄弁ったりしているのに気付いた。
とりあえず皆さん、お暇そうなので、例の質問をぶつけてみることに。なるべくタイプの華奢な体つきをした若い男を厳選して、「あの…」と声を掛けた段階で、「あ、ごめんなさい。ちょっと無理です」とかわいい声が返ってきた。
ん? 今、何が起ったの? …まさか俺、秒殺でフラれたの? え、なんかスゴイ心が傷ついてるよ。しかも、その男子がキレイに整った顔を少しかしげて、「あ、ごめんなさい」って言った時、ちょっとドキリとした分、ショック大!
でもねえ、世の中、捨てる男あれば、拾う男ありですよ。失恋の痛手を引きずって、街を彷徨していたら、何やら後から尾けてくる男が…。
さりげなく振り返ると、そこにはゴリラみたいな大男の姿が…。超遠くからでも鼻息が聞こえてきそうだ。でも、「最初の人は美少年って決めてるから、ゴメンなさい」と駆け足気味に街をグルグル回り、ストーカーゴリラをなんとかマクことに成功。
後ろを確認してホッとした俺の目の前に、ピチピチのボディコンスーツ姿の女が! そうか、同性愛者の街だからレズもいるんだ! 颯爽と質問するべく、急いで彼女を追い越し、さりげない横目で顔を覗きこむ。
…彼女じゃなくて、彼じゃん。っていうか、おっちゃんじゃん! ああ、もう本当にイヤだ。今までの疲れがドッと出た俺は、新宿公園とやらのベンチに腰掛けて一休み。
最初は薄暗くてよく分からなかったが、公園の至るところに男たちが微妙な感覚を開けて座ったり、立ったり。そこに男たちが言い寄ってきては、何やら交渉したり、決裂したり、二人連れだって出掛けたり。
この公園は俗に言うハッテン場みたい。どうしよう、こんなところに座っていたら、殿方にハンティングされちゃうよ。カモ~ン!
え~、正味5分程座っていたでしょうか。自慢じゃないですが、自慢です。3人の男性にナンパされちった。まだまだ私も捨てたもんじゃないわ。
でも、いきなり「なあ」って横柄に誘うのは如何なものかしら。イケメンの美少年ならまだしも、脳味噌も頭同様うっすらハゲてそうな、うだつのあがらないおっさん風情がさあ。男心は面食いよ!
まあ、こんなところで、いつまでも冴えないおっさんの相手をしていても仕方ないので、近くのコンビニにジュースを買いに旅立つことに。コンビニの前に人待ち猿顔の若者が立っていた。とても人がよさそうな猿だったので、思わず声を掛けてしまう。もう失恋はしたくないので、早口で例の質問と簡単な事情を説明する。
あ、今、読んでくれてます? どうも、その節はお世話になりました。猿とか書いてごめんなさい。俺は絶対にイヤだって言ったんですが、編集長が書けって無理矢理…メンゴ!
で、コンビニ前にて、その猿曰く、「え~、何かなあ。個人的にはずっとブンタが好みなんだけどね」、「あの、ブンタってどういう映画なんですか?」、「もういやだ、ブンタって言ったら、菅原文太のことじゃない」、「そんなエテ公事情、知るかよ。コッチはオススメの映画を聞いてんだ!」とも言えず、「アレもいいんだけど、コレも捨てがたいのよねぇ~」との優柔不断な猿待ち後、「やっぱり、トラック野郎シリーズの『トラック野郎 一番星北に帰る』が私のオススメかな」とのお言葉を頂きました。ウキッ!
慌てて逃げ帰り途中、うちの近所のレンタルビデオ屋に立ち寄り、新宿2丁目で話題沸騰の例の映画を借りて、おうちで勇気を出して見てみました(後略)」
ね? ホモもいろいろでしょ。劇中劇ならぬ、ノンフィクション中ノンフィクションでした。
さて、半裸のカメラバックブラ姿で、次から次へと何の罪もない連中を尾行の餌食としてたら、楽しくなってきちゃった。13時の返却期限までに残ったガソリンを全部使い切るはずが、ガソリンスタンドに例の格好で乗り付けて、ハイオク満タン(40B)に!
さあ、燃料も補給したから、さっさと尾行再開だ。道すがらの屋台で若い女がやきとりを焼いていたので、自分のガソリン用に一本購入(10B)。心身バイクともに充実し、バイク尾行ライフを楽しむ。
タイの片田舎までようやく覚悟を決めてわざわざ乗り込んだのに、なにをしてるんだってお叱りの声には、仕事休みの日曜にバイク尾行しようが半裸でカメブラ姿になろうが何しようが俺の勝手だろと。
この手の、何の意味もない、非生産的なお楽しみ時間はアッという間に過ぎ去るもの。さあ、もうすぐ13時だ、そろそろ戻り始めないとな。レンタバイクを返す時間を過ぎたら、人質のパスポートがどっかに売られちゃう。
昨日の午後あまり乗らなかった分も含めて、今日の走りで十分元は取った気はする。時間の長さじゃなく、中身の質で勝負って大事なことじゃん。一応、レンタバイク屋の近くに来てから、服を着る。
だって半裸のカメブラ姿のままでバイクを返しに言ったら、「うちのかわいいバイクにどんなプレイをしたんだい、混ぜてくれよ」と邪推されそうじゃん。そんな借り物のバイクには指一本触れちゃいないのに、あくまでそういうプレイの意味では。
そんなさりげない気遣いのおかげか、一晩人質にされていた俺のパスポートをバイクと引き換えに、返して貰う。もしかしたら、レンタバイク屋のこの親父がカメブラ姿で俺のパスポートになんかしちゃったかもしれないが、見た目には分からない、バイク同様にね。お互い様でこの勝負、引き分け!
そんなことより、大問題は今返したバイクにまだちょっとガソリンが残っちゃってたこと。明日も改めて借りるつもりだから、このガソリンが残ったバイクを借りたいものだ。でもきっと残りのガソリンだぇ全部キレイに吸われちゃうんだろうなあ。せつねえなあとしんみり。
13時30分、セブンイレブンで昼飯を買い込み(90B)、歩いてホテルに戻る。水シャワーをキャ~キャ~言いながら浴びてから、昼飯というかおかしを全裸で食べてから、お昼寝タイム!
何時だろう。覚めたばかりの目を窓の外にやると、もう日が落ちかけている。さて、起きますか。い、痛ッ! 体を起こそうと、シーツに全裸の上半身がちょっとこすれただけで激痛が走る! いや、どこにも触れてなくても、なぜか身体中がヒリヒリする。
ヤバイ、昼寝中に変な虫にでもさされたか。なんとか起き上がり、浴室の鏡で見てみると、上半身が真っ赤っかになっている。
いや、よく見て見ると、カメブラしてたところは白いままで、その他は水ぶくれ気味の爛れたような真っ赤かの日焼け状態に。ド変態みたいなカメブラのおかげで、最後の砦、両乳首だけは守ることができた。もしもノーブラだったらと想像するだに怖い怖い怖~い。
キャーキャー、染みる染みる染みすぎるぅ~と一人で大騒ぎしながら水シャワーでクールダウンをはかる。ちょっとしたヤケドみたいになっているから、タオルで体を拭くのも、半袖一枚着るのも一仕事だ。
なんとか着たら着たで、ちょっと動くだけで、熟々した日焼けに半袖の裏地が擦れて、もう痛くて痛くてたまらない。
散々カメラバックは命の次に大事と広言し、ずっとトレーニング兼盗難防止で背負い続けてきて今更なんですが、命の次の座にできたてホカホカの「重度の日焼けで超ヒリヒリしているのにクソ重くて肩に思いっきり食い込むカメラバックなんて背負えるか!」って思いがすごい勢いで台頭、あえなくカメラバックは三番目に降格の憂き目。
という順位変動があったので、20時に晴れてホテルの部屋にカメラバックを残し、夕飯を食べにいく。
ああ、すっげえ爽快だ。タイに来て初めてカメラバックなしの身軽な姿で歩く。まるで空を飛ぶが如く。タイにきて50日近く、地味ながらも過酷な修行をコツコツ続けてきた甲斐があった。自分でも驚くほど、目にみえるくらいの目覚しい成果だ。
これはもう、灼熱のタイで靴ズレ防止の厚手の靴下をはいて、トレッキングシューズを履き続けたおかげで、野良メス狂犬に噛まれても大丈夫だった事件以来の成果だ。野良メス狂犬の牙跡も今じゃ、オシャレなアクセント。
怖いくらいに俺の読み通りだ。日々の鍛錬の積み重ねがいざというとき、ここぞの一番でモノを言う。暑い最中でも、常に重い荷物を背負って、ブラブラする練習のおかげで、厚手の靴下&トレッキングシューズプレイもいい感じにこなれてきた。
これなら今すぐ、ジャングルを従軍してもガンガンいけそうだ。そんな目処は一切ないだけが残念至極だけどね。
そんなたゆまぬ修行の成果を一歩一歩ゆっくり踏みしめながら、てか、日焼けの修行は完全にサボっていたせいで、一歩歩くたびに日焼け痕が半袖の裏地にコスれて痛いよ~状態で、せっかく昼マックと夜8番ラーメンの特訓したのにメソトには行きたくもないタイ飯屋しかないから、夕飯は鶏肉と野菜炒めを御飯に乗せたのと、トムヤムクンスープと、コーラーで締めて58B。
なんか久方ぶりに飯をゆっくり食った気がする。今まで食事中はカメラバックを隣の椅子や椅子の下に置き、飯を食いながらも盗まれないようにいつも注意を払ってきた。
店が混んでいたり、あまりに床が汚いとカメラバックを背負ったまま食べたときすらもあったなあ。
今ふと気付いたのだが、食事しながらカメラバックを安全に守るために、マックだ8番ラーメンだの表面上は治安が良さそうで小奇麗な店に無意識のまま足繁く通っていたのではないか。もうホント無意識でも働きモノさんなんだから、俺ってばぁ~。
21時、食後にようやく少しひんやりしてきた夜気を思いっきり吸い込み、なんだかとっても気分がいいので日本の女にラブコールしてから、またセブンイレブンに立ち寄り、どうでもいいものを買い込み(63B)、ホテルに戻る。
部屋に入るなり、いきなり我慢の限界が訪れた。外にいるときはどこに誰がいるか分からない。常に気を張り詰めていたから、気にならなかっただけだ。
もはや体を動かさなくても、ファンの風が頭上から降ってくるだけで、身体中に激痛が吹き荒れる。いくら仕事とは言え、つくづく因果な商売だ。こんなひどい手負いを負っても、俺の代わりは誰一人いない。もはや休むことすらままならず、労災なんて夢のまた夢さ。
覚悟を決めて、ちょっと汗ばんだ体にへばりつき気味の服脱ぎ地獄を経て、キャ~キャ~と水シャワープレイ。水流が弱いのが救いだ。
風呂上り、ファンの下にパンツ一丁で立ったまま、おとなしく立ち読みスタイル読書をしばし楽しむ。
1時、またもや日焼け跡が段々と熱をもってきたようで、上半身がカッカとしてくる。仕方なく、また水シャワーをキャーキャー浴びて、ファンの下で身体を冷やしながら読書タイム。
試しにベットに横たわろうとするも、まだまだシーツにちょっと触れるだけで痛い痛すぎる。しかし、明日の月曜、遂に難民キャンプへ突撃しなくてはいけない。
コレも仕事仕事と言い聞かせて、日焼け被害の少ない背中をソロリソロリとベットの上に横たえ、腹にだけタオルをチョコンとやさしく乗っけて、なんとか目をつぶり、強引に就寝(昨日登場した2012年の俺は「メソトの二大事件の一発目が明日か明後日のどちらかに起こります」とか言ってましたが、今日ではなかったみたいですね。ド忘れ、記憶違い、勘違いとどれも仕方ないじゃん、コロっとお忘れかもしれないが12年も前の話だもん。ド変態なカメブラ姿でツーリングだ、日焼けが超痛いなんて事件じゃねえんだよ。じゃあ、明日ですね、一発目の事件は。まあ、最初から知ってたけどさ。続いて、2014年の俺から一言。途中から漫画化計画がどっかいっちゃったね。じゃあ、おやすみなさい、また来週水曜に!)。
○本日の出費、「計算するのが面倒臭いから、各々で適当にしといてよ」B。ついでに一日の流れも「いちいちうっとうしいから誰か簡単にまとめといて」ジャ~。
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