大洋州のアフリカ?! ソロモン諸島で開発のお仕事
ganasサポーターズクラブで定期開催するトークセッション【青空ゼミ】。10月はganasサポーターで元在ソロモン日本国大使館専門調査員のMさんより、「ソロモン諸島の経済開発~大使館のお仕事についても~」をテーマに発表していただきました。お話の中からいくつかをご紹介します!
■ソロモン諸島はどこにある?
ソロモン諸島、「聞いた事はあるけど、どこにあるのかピンとこない」という方もおられるでしょうか。古代イスラエル国の”ソロモン王”の黄金伝説が名前の由来といいますが、イスラエルとの関係はないようです。
ソロモン諸島は、970個あまりもの島々からなる群島国家で、オーストラリアの北東部、パプアニューギニアの東側に位置します。
首都ホニアラがあるのは、かつての第二次世界大戦の激戦地ガダルカナル島。今も戦闘機や戦車などの残骸や沈没した軍艦がみられます。日本の遺族が毎年のように遺骨収集や慰霊に訪れる島でもあるのです。
■みんな大好き “ココナッツニュース”
Mさんが勤務したときに上司から言われたのが「ココナッツニュースをチェックするように」という言葉でした。
おいしそうな名前の“ココナッツニュース”とは、ソロモンの人たちが大好物な地元のうわさ話。コミュニティ意識の強いソロモンの人たちは、事件や騒動が起こると噂となって広がり、時に脚色された話も加わって市中に出回ります。こうしたローカル情報を時折チェックするのも大使館員としての大切なお仕事の1つなのです。
■各国からの援助合戦?!
ソロモン諸島は、開発が遅れた”後発開発途上国”に分類されます。近隣のオーストラリアを筆頭にニュージーランド、日本、中国、米国から援助を受けてきました。
近年は中国からの接近が目立っています。2019年に中国と国交を樹立(台湾とは断交)し、2022年に安全保障協定を結びました。中国から国際スポーツ大会のためのスタジアムやホテル建設などの援助を受けたそうです。その影響からか都市と地域の経済格差が広がっています。
日本は限られた予算のなかで分野を絞って援助してきました。道路、貯水タンク、医療機材などを支援。今年9月からは高等教育(ソロモン諸島国立大学)へ漁業の研究と加工技術のための研究センター建設プロジェクトがこの始まりました。
ただ、国際援助が日常化するソロモン人たちに、Mさんは「何でもやってもらいたがり、援助慣れしている?」と感じることもあるとか。
■社会問題化する“ワントーク”
”ワントークとは“個人よりもみんなの利益を優先する、助け合いのセーフティーネット。
失業率が30%近いソロモンでは経済的に成功した身内を頼りにするのがわりと普通です。Mさんのソロモン人の同僚は8~9人くらいの親戚が頼ってきて一緒に暮らしているとも。
社会保障制度の脆弱なソロモンで必要な扶助システムではあるものの、身内や同郷の人を優先することで縁故や汚職がはびこり発展の妨げになるなど社会問題化しています。
■キャリア形成のお話
国際協力の道を志す方へ耳寄りなお話。国際協力の仕事を目指すのにあたり経験を積む方法の一つが、在途上国の大使館専門調査員という職業。そのためには関連分野で大学院卒業もしくは関連分野の経験3年以上というのが受験条件。論文と語学試験があるそうです。
Mさんは語学対策に、ganasが主催する語学プログラム「命のスペイン語レッスン」や「アフリカ流フランス語教室」を受講してくださっています。
高校生のとき授業で聞いた楽曲「We are the World♪」をきっかけに国際協力の道を志したというMさん。3年間の専門調査員が任期終了したこれからは、国連機関のコンサルタントとしてソロモン諸島の開発に引き続き関わっていかれるそうです! 素晴らしいですね!!
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途上国専門のメディアganasのパートナー/サポーターさんは色々なキャリアをもつ方が入会されていて、ここでしか聞けない体験・エピソードを聞かせてもらえる。ganasサポーターズクラブの醍醐味のひとつです。あなたも国際協力の経験者から直接お話を聞きませんか?
(事務局:福井貴久子)
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