癒しの定義
私はティータイムに癒された事がない。
「コーヒーでも淹れて気分転換しようか?」
「お茶でも飲んで落ち着いて」
皆が一度は言ったこと、聞いたことがあるような事を私もこれまで沢山言ってきたし、聞いてきた。
SNSやらでティータイムの写真と共に
"ちょっと一休み! この時間最高〜"
"大好きなお菓子とお茶! 癒される〜"
こんな投稿を1日に3回は見かける。
しかし、私はティータイムで癒された事がない。
コーヒーやお茶、軽食やデザートは美味しいし好きだ。
でもそれは癒しと直結しない。
食品の美味しさを癒しとするなら、私はレバ刺しの方が好きだし
実際に消費した体力を回復する栄養的に見ても、レバ刺しの方がきっと多く含んでいる。
まずティータイムとは?
具体的に何分くらいがベストなのか?
仕事や勉強の合間であれば15分程度、ゆっくり時間の取れる時は30分程度だろうか。
(カフェで3時間程平気でおしゃべりしている陽気なグループは除く)
そして誰と、どこでティータイムを楽しむのかにもよってくるだろう。
ティータイムの癒し効果を、休息の具体的な"時間"と、"環境"だとすると
やはりそれにはなんの魅力もないように感じる。
時間は長ければ長い方がいいだろうし、理想の環境はどこにでもある訳ではない。
またおしゃべりは意外と体力を使う。
実際に私も先に言ったような言葉で家族や同僚を休憩に誘う事はある。
しかしそれは本当に小腹が空いた時や、コーヒーが飲みたいと思った時であって、癒されようとしたというのとはまた違う。
休憩したい時の言い訳、忙しい日常に染み付いた口から出まかせである。
では私は何に癒しを感じるのか?
それは恐らく"音"と"匂い" だ。
どれも特別に用意した者ではないもの。
あえて好きな音楽をかけるとか、アロマキャンドルを焚く事とは違うもの。
換気扇の回る音
爪がスマホの画面に当たる音
外から聞こえる自転車のベル
捲られたページの音
日に当たった布団の匂い
雨の日のフローリングの匂い
シャーペンの芯の匂い
母が玄関に飾ったユリの花の匂い
そんな事は忙しさにかまけている時には気にも留めないものだからだ。
そういうものに気付けた時は、心身共に解放されていて、柔らかい状態になっている。
ああ、本当の休息だ。と感じてとても癒されるのだ
理想のカフェを探し回る必要も、休息後の洗い物も出ない。
そんな些細な癒しをほんの少しずつ持っておく事が、私を日々のストレスから守ってくれているんだろう。
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