電帳法シリーズ① 改正された電子帳簿保存法 やっぱり誤解が多いなあという印象ですね
こんにちわ、皆様と一緒に成長していく公認会計士・税理士のガッツです。
昨日はオフでしたが、チャットで来た質問にはお答えしていました。
内容は、令和4年1月1日に改正施行された電子帳簿保存法での取り扱いでした。
このやりとりに限らず、他の方とやりとりしてても、誤解があるんだろうなあという印象です(いいように解釈されてますが、その扱い違うんだよなという印象)。
今日はそのあたりの誤解を紹介します。
1.新しい電子帳簿保存法が適用される事業者に対する誤解
■大きな会社だけ(上場会社とか)やってたらいいんでしょ
■青色申告の会社だけやってたらいいんでしょ
■売上1000万円を超える会社だけやってたらいいんでしょ
⇒小規模の会社はやらんでもいいんでしょという誤解。すべての事業者に求められます(小規模な会社で緩和される要件はあるものの)。
2.新しい電子帳簿保存法の対象となる資料に対する誤解
■電子でもらった請求書と領収書が対象なんでしょ。
■仕入の請求書や領収書が対象なんでしょ。
■EDIのデータだけが対象なんでしょ。
⇒わかりやすくいうために請求書や領収書を引き合いに出しているだけです。仕入だけではなく、経費も対象ですし、売上関係も対象です。
請求書や領収書だけではなく、取引の真実性を示す契約書や発注書や納品書なども対象です。EDIデータも対象です。
入金、支払に関する資料(通帳データなど)も対象です。
■電子の取引って、EDIとかであり、メールで授受する請求書とかは電子取引じゃないでしょ
⇒メールで授受するものも電子取引で位置づけられます。
3.新しい電子帳簿保存法における「できる」「しなければならない」の誤解
■(電子データで保存)「できる」なんでしょ⇒だから、今まで通りでいいんでしょ(うちは電子で保存したい希望はないし)
⇒「電子取引」と呼ばれる取引は電子データでの保存は必須です(「しなければならない」)。紙でもらった資料を電子データで保存することについて(「スキャナ保存」といわれています)は、要件を満たせば「できる」というものです(今まで通りでもいい)。
4.新しい電子帳簿保存法で求められる資料の保存方法に対する誤解
■タイムスタンプがいるんでしょ⇒そんな仕組み中小企業で入れろ言われても難しいわ
⇒タイムスタンプも要件充足の一要件に入っていますが、他の方法でカバーできていれば必ずしも必須とはならないです。
■パソコンの共有フォルダやグーグルドライブに入れといたらいいんでしょ(とりあえずファイルを)
⇒検索条件を満たすなどの一定の条件があります。
■楽●やアマ●●のデータはサイトをのぞけば閲覧可能ですよ。
■携帯電話代もド●モのサイトで確認可能です。
⇒サイトで閲覧できるだけではダメです。検索条件を満たすなどの一定の条件を満たした保存が必要です。
■紙でもらった資料を捨ててもいいんでしょ
⇒捨てていいです。しかし、電子取引と違い、紙でもらった資料を電子保存する場合(スキャナ保存)、電子取引より保存要件が重いです。その要件を満たせば、捨てて問題なしです。
■とりあえず1年間保管したらいいんでしょ
⇒紙だから、電子データだからで違いはないです。原則7年(原則としているのは10年の場合もあるから)保管がいります。
5.新しい電子帳簿保存法の意義に対する誤解
■電子取引を電子で保存しなければならないとか業務の負担を増やすような改正ばかりするけど、これって意味ないのでは(意味のない負担ばかり勘弁してほしい)。
⇒これについては、やり方によってはというところでしょうね。中途半端に対応すれば、確かに「あまり実効性がない」「業務の負担ばかり増える」という意見は一理あります。
⇒しかしながら、うまく業務プロセスを整理し、実行すれば、業務負担も減るなどの効果は得られないでしょうか。
例えば、
・今までメールで来た請求書を打ち出してファイルしてた⇒決めた方法で電子データ保存したらいいだけ
・外部から要請があった場合に大量にある紙資料を探してた⇒検索条件がちゃんとした電子データであれば検索が楽に
・紙やFAX中心のやり取りから電子データのやり取りに変えた⇒電子データを用いて仕訳などを行えるようになった。
今日は電帳法の誤解ということで紹介しましたが、インボイス制度同様、制度の本来的な説明が誤解の原因かと思います。
インボイス制度同様、シリーズで記事にしていきたいと思います。
https://advisors-freee.jp/advisors/69189
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