過去採用した会計処理をみだりに変えてはいけません
こんにちわ、皆様と一緒に成長していく公認会計士・税理士のガッツです。
年末になってきますので、ご自身で確定申告の準備のために記帳されている方も多いと思います。
今日のテーマとしては、過去に採用した会計処理をみだりに変えてはいけないということです。
1.会計処理の継続性に関するとあるお客様とのやり取り
Aさん:○○の処理について、昨年広告宣伝費としてたのですが、今年通信費に変えました。広告宣伝費であるべきなら元に戻しますが、いかがですか。
僕:システム利用料ととらえれば通信費とも取れなくはありません。しかしながら、もともとは商品のプロモーションのためにシステム利用料を広告宣伝費にあげてたのなら、広告宣伝費という理屈も通ります。その場合、昨年行った処理は継続すべきです(通信費に変えるべきではありません)。
おそらく、通信費のほうがしっくりくるからそうしたかったのだと思いますが、上記のようにお返ししました。
2.そもそも会計には継続性の原則というものが存在する。
会計の原則である企業会計原則には、継続性の原則というものがあります。
会計処理の原則や手続は毎期継続して適用し、みだりに変更してはならない
上記のやり取りはこの原則にならった回答です。
3.なぜ会計には継続性の原則が求められるのか
なんで、会計処理の継続性を求められるのか、このような理由が挙げられます。
■決算書の利用者の利用しやすさ:利害関係者が決算書を見るときに、毎期違う会計処理をされていると、利用しにくくにないでしょうか。例えば、勘定科目ごとの前期比較しようとしても、数字ブレが大きく、ブレが異常なのか、会計処理の違いによるものかはわかりません。
■利益操作の防止:毎期毎期、利益を調整するために会計処理を変えるようなことも起こりえますが、このような利益操作が起こさないために、継続性が求められます。
■間違えているのではないかという疑念:会計処理がぶれていると、第三者の立場からも「間違えているのでは」「不正しているのでは」と疑わざるをえません。税務署の税務調査なんかでも、理由もなく、前期ブレが大きいとなると、不正の疑いをかけざるを得ないということになります。
4.どういう場合、会計処理の変更が認められるのか。
「みだりに変更してはならない」とあるので、変更が一切認められないわけではありません。例えば、このようなケースは認められます(①②は認められるというより変更しないといけませんが)。
①そもそもこれまでの処理が間違えていた。
②法令が変わって処理を変更せざるをえなくなった。
③その事象の重要性が今年からあがったため、特有の処理をすることが妥当とした(例えば、昨年まで金額が低いから雑費にいれてたが、今年からその取引のボリュームがあがったから、雑費だったものを○○費として処理することにした)
④経営管理手法の変更など合理的な理由がある(店舗ごとの利益管理を、店舗ごとに比較できるようにしたい場合、店舗ごとにバラバラだった処理を統一するとか)
あくまでも合理的な理由が必要ということです。
僕も顧問先の記帳をみるにあたり、処理の継続性も見ています。
ただ、継続性も合理性があれば認められますから、そのあたりは顧問税理士らと相談しながら進めていくのがいいと思いますね。