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個人的 読書 オブ・ザ・イヤー2024
2024年もいよいよ終わりを迎えるところですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
私は今年は激動過ぎる1年となりましたが、何とか元気に過ごしております。
今年は、去年よりもペースが落ちましたが、それでも、年間にして91冊(12/30時点)を読了することができました。
そして、今年は遅くなりましたが、今年も、私の読書オブ・ザ・イヤーを発表することができそうでございます。
個人的には、私と同い年の宮島未奈先生が『成瀬は天下を取りにいく』で本屋大賞を受賞されたのが特に嬉しかった1年だったなと思います。
本屋大賞が発表された時は物凄く興奮しました。
1年間、話題になり続けた成瀬さん。
あなたには本当に元気をいただきました。
そんなことを思いながら、今年の1年間の私の読書オブイヤーを決定したいと思います。
①地雷グリコ
情報を制する者がゲームを制する。
行われるゲームは「グリコ」、「坊主めくり」、「じゃんけん」、「だるまさんがころんだ」、「ポーカー」をアレンジしたゲーム。
果たして、あなたはこの奥深いゲームで繰り広げられる情報戦を目の当たりにして、ページをめくる手を止められるだろうか。
大体の駆引きのあるゲームを小説で読むと何やってるのかわからないという状況が多いと思うのですが、本作品は大体の人が知っているゲームのアレンジなので何をやっているのか想像しやすいのがよく、ルールの範囲でどうやって相手を出し抜くのか推理するのが楽しい。やられたぁもあるし、えっ?そんな感じでルールを逆手に取るの?と読むのが楽しいミステリーです。
純粋に推理を楽しむザエンターテイメントなミステリーだと思います。
②仕事のためには生きていない
ロックバンド活動を続けるためと割り切って働くサラリーマンの勇吉(35)は、会社のとある統括リーダーに任命される。
その任務がなんの生産性があるのか良くわからないクソゲーみたいな内容。
上司の圧力や残業で疲弊していく勇吉は、このクソゲーをクリアすべく仲間たちと奔走する。
これはサラリーマン全てに捧げた鎮魂歌なのかもしれない。
若い頃は、社会人になりたての頃はやる気に満ち溢れて仕事を頑張るぞーって思ってたかもしれませんが、定年までどれだけ仕事が楽しいとか頑張ろうというモチベーションを持てているだろうか?
私も、今、仕事はやってはいるもののやりたい仕事かと言われるとそうでもないし、生活をするために仕事をしているといっても過言ではないです。
とはいえ、時に仕事をやってて楽しいとかやってて良かったと思う場面もあるし、生活に影響するのはわかってても仕事なんてやめてやるという辛さを感じる時もある。
そんなことを読みながら感じつつ、こんな職場、こんな風に仕事できたら楽しそうだなと思えた作品です。
③死んだ山田と教室
クラスの人気者の山田が夏休みがあける直前の8/29(日)、飲酒運転の車に轢かれて亡くなった。
悲しみにくれる2年E組の生徒たち。
そんな中、山田がのり移ったのは、2年E組の教室のスピーカー!?
声だけは聞こえて会話もできる状態で2年E組と再会を果たした山田。
果たして山田は何故、声だけ復活したのか。
これは死んだ山田と教室の不思議な物語である。
死んで教室のスピーカーに乗り移った山田とクラスメイト達の会話がコント過ぎて爆笑してしまった衝撃、いや笑撃作です(笑)
ただそれだけではなく、死んでスピーカーにのり移ったまま年を取らない山田と、進級して、卒業してどんどん年をとっていく山田の同級生との隔たりはただただ寂しさは痛いほどよくわかる。
私もそういえば、高校時代に仲の良かった友達と疎遠になってるし、連絡先ももうわからない友達もちらほらいます。
死んでしまった山田の気持ちやその友達達の気持ちもいたほどにわかる作品で、面白いだけではないのが個人的には印象に残っている作品です。
④ヒカリノオト
シンガーソングライターとして先細りで遂にぞ音楽活動をやめると決意した染谷達也。
最後に残した『夢のうた』が登場人物達のもとに届き、広がっていく物語。
音楽とは何なのか。ただ、その時に好きな音を消費しているだけなのか。
いろいろなことを思うかもしれませんが、作中の音楽こそきっと素敵な音楽なんだろうなと思える作品です。
音楽ってなんだろうか?
そんなことを考える作品ってあんまりなかったなと思いつつ、確かにその時の好きな音楽、流行りの音楽って違うよなぁと感じます。
しかし、流行らなかった音楽も好きだなと思う音楽が常に誰かのそばにあって、その音楽のおかげでいろんなことができたりするんですよね。
私も受験のときに聞いた曲、パートナーに勧められて一緒に聞いた曲、仕事で吉野の山奥へビビりながら車を運転していた時に聞いた曲、いろんな曲があって、でもそれが流行りの曲だったり、流行っていた曲だったり、全然誰も知らない曲だったり、いろんなシーンにいろんな曲があったなと思い出させてくれた作品です。
そして、音楽が時を超えて波紋のように広がっていく感じがステキだなと思いました。
⑤東京ハイダウェイ
主にあるIT企業で働く従業員達のそれぞれの悩みを描いた6編からなる短編集。
1編1編に悩みながらも東京で生活する登場人物達が出会うハイダウェイ(隠れ家)。
立ち向かわなくても良い、逃げても良いということはこういうことなのか?と思わせられる本作品。
惑いながらも隠れ家に逃げ込んでも生きていればきっと何か転機が来るかもしれないし、何かに気がつくかもしれない。
そして、自分が変わればまわりは変わる、まわりが変われば自分も変わる。
そんなことが優しさと苦さをもって語られる作品だなと思います。
本作品のよさは実はハイダウェイ(隠れ家)は身近なところにあって、お金がかからないというところが良いなと思ってます。
東京に住んではいないですが、都市部って本当に自然がないですよね。
緑はほぼないし、夜空を見上げても周りが明るすぎて星なんて見えない。
芸術なんて大体興味はないし。
でも、探してみれば意外とあるものだと。
プラネタリウム、植物園、個展などなど、実は目を向けていないだけで、意外とあるもんだなと思いました。
そして、実はそんな隠れ家を見つけられることこそ、少し余裕が生まれるのかもしれないなと思わせてくれる作品です。
⑥個人的 読書 オブ・ザ・イヤー 2024
さて、今年は私の印象に残っている作品は以上の5作品です。
そして、その中でも私が今年の読書オブ・ザ・イヤー2024として選んだ一冊は…
『東京ハイダウェイ』です。
6篇からなる短編集なのですが、感想にも書いたように、自分が変われば周りは変わる、周りがかわれば自分も変わるという良い変化を感じられる作品でもあり、嫌なことからは隠れ家で息抜きも必要と教えてくれた作品。
特に、その隠れ家がお金がかからない上に自分だけの逃げ場所だったり、自分なりの逃げ方というのが良いなと思いました。
嫌なことからは逃げても良いし、逃げ続けていてもいつかは逃げていることは遠ざかったり、逃げる必要もなくなるかもしれない。
都会って砂漠だなぁと思いながら潤いがないまま生きていても良いけども、実は探してみれば意外とオアシスがあるかもしれない。
ギャンブルやったり、筋トレしたり、飲み屋で飲む、カラオケで絶叫などでストレス解消も良いけども、それって本当に心の潤いになっているのか?というと、ただ、なんとなく一時的に発散しているだけで、実は違うのじゃないか?
本当のストレスや嫌なことがあった時はあなただけの隠れ家を見つけてみてはいかがでしょうか。
そしてあなたの隠れ家は意外と近くにあるかもしれませんね。
私も2025年は自分の身近なハイダウェイを探してみようと思ったそんな作品で、今年の私の読書オブ・ザ・イヤーとさせていただきました。
今年もたくさんの本と出会い、面白いなぁと思った本ばかりで、今年も読書を1年間楽しむことができました。
中には私には早すぎた作品や遅すぎたかもなと思った作品もありましたが、読み終えた本は全部私のかけがえのない読書体験をいただけたなと感謝しております。
また来年も健康に過ごせれば、来年の今頃はまた読書オブ・ザ・イヤーを選べるのだなと思うと、心身ともに健康でいるのが1番だなと思いました。
読書オブ・ザ・イヤーに選定した作品の中にも心技体というけども、体が先で技が身について、最後に心が整うというようなことも書かれていて、確かに心の健康や勇気というのは体があってこそだよなと思います。
来年は何冊読めるかわかりませんが、また、当たり前のように来年の今頃もここで何事もなかったかのように個人的読書オブ・ザ・イヤーを書けるようにしたいと思います。
読んでいただいた方が、来年も健康に過ごせることを願いながら、締めたいと思います。
それでは
さよなら
さよなら
さよなら…