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胸腰椎骨折後の自然経過。Thoracolumbar FractureA Natural History Study of Survival Following Injury.J Bone Joint Surg Am. 2025 

JBJS (←クリックすると雑誌のページに飛びます) 2025年1月号からです。


胸腰椎骨折は、他の外傷と同様に、年齢分布において二分化しており、高齢者では低エネルギー外傷として、若年患者ではより高エネルギー外傷として発生します。

胸腰椎移行部の損傷は神経機能を脅かし、運動性に影響を与える可能性があるため、受傷後の罹患率が上昇するリスクが高く、生存率にも悪影響を及ぼす可能性があります。

ほとんどの研究は高齢者の骨粗鬆症性圧迫骨折(OCF)かまたは、脊髄損傷(SCI)を伴う骨折に焦点を当てており、胸腰椎骨折後の患者の自然経過について十分な理解は得られていません。

同様の形態を持つ骨折でも、大きく異なる受傷機転から生じる可能性があります。例えば、破裂骨折は従来、高エネルギーで起こるとされていましたが、低エネルギー外傷による高齢患者でも見られます。

本研究の目的は胸腰椎骨折の成人における胸腰椎骨折後の生存に関する自然経過を明らかにすることです。

研究の概要

背景:胸椎・腰椎の骨折は増加傾向にあり、これらの骨折が短期的な罹患率を上昇させることは知られているが、受傷患者の自然経過は十分に解明されていない。研究チームは胸腰椎骨折で治療を受けた患者の自然経過を特徴づけ、生存に関連する臨床的・社会人口統計学的要因の解析を行った。

方法:2015年から2021年の間に急性胸椎または腰椎骨折の治療を受けた患者を特定した。診療記録と管理データから臨床データ、画像データ、死亡データを収集し、カプランマイヤー曲線を用いて生存を評価した。交絡因子を調整しながら、多変量ロジスティック回帰分析で生存に関連する因子を評価した。

結果:717人の患者が対象(年齢中央値66歳、59.8%が男性、69%が非ヒスパニック系白人)となった。死亡率は受傷後3ヶ月で7.0%(50人)、12ヶ月で16.2%(116人)、24ヶ月で20.4%(146人)であった。調整後の分析では、受傷後1年以内に死亡した患者は、より高齢(OR=1.03)で男性(OR=1.67)が多く、より高いInjury Severity Score、より低いGlasgow Coma Scale score、より高いCharlson Comorbidity Indexを示した。最終モデルは生存の変動の81%を説明した。

結論:これまで見過ごされていた事実として、胸腰椎骨折は大腿骨骨折と同程度の死亡リスクがあることが判明した。死亡リスクは高齢患者と複数の併存疾患を持つ患者で最も高い。

論文の詳細と管理人のコメント

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