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大腿骨頚部骨折に対するセメント人工骨頭で、セメントの圧入は必要?(Farhan-Alanie MM, J Orthop Trauma. 2025)

Shall We Not Pressurize It? Effects of Bone Cement Pressurization on Mortality and Revision After Hip Hemiarthroplasty for Neck of Femur Fracture Patients: A Comparative Cohort Study - PubMed

セメント人工骨頭の手技の一つにセメントの圧入があります。このセメントの圧入がなかなか難しい。

むやみにかけると血圧低下するし、トロトロのセメントにステムを入れると微妙なレントゲンになりますし。

本研究は高齢者ならあまり気にしなくてもいいんじゃない?という内容になります。


論文の概要

目的:本研究は、大腿骨頚部骨折患者に対する人工骨頭置換術において、骨セメントの加圧の有無による術後30日死亡率、および無菌性大腿骨コンポーネントのゆるみと全原因による再置換について比較検討することを目的とした。

方法:後ろ向きコホート研究として、レベルIの外傷センターにおいて実施された。60歳以上のOTA/AO 31B骨折で、2007年12月10日(データベース開始)から2023年11月15日(検索日)までにセメント人工骨頭置換術を受けた患者を対象とした。骨セメント加圧の有無による術後30日死亡率、無菌性大腿骨コンポーネントのゆるみによる再置換、および全原因による再置換について比較を行った。

結果:骨セメント加圧群402人(406手術)、非加圧群713人(722手術)が対象となった。平均年齢は加圧群83.1歳、非加圧群84.3歳(P=0.018)で、女性の割合は加圧群72.2%、非加圧群68.6%(P=0.205)であった。術後30日死亡率に差は認められなかった(7.2% vs 8.2%;HR 0.89, 95% CI 0.46-1.73, P=0.727)。全原因による再置換にも差は認められなかった(HR 1.04, 95% CI 0.27-4.04, P=0.953)。無菌性ゆるみによる再置換は両群ともに認められなかった。術後10年生存率は加圧群15.3%(95% CI 11.46-19.64)、非加圧群12.6%(95% CI 7.67-18.82)であった。

結論:骨セメント加圧の有無による術後30日死亡率に差は認められなかった。また、骨セメント加圧は再置換率に関して利点を示さなかった。これは部分的に、高い死亡率と術後10年以降の低い生存率に起因する可能性がある

論文の詳細と管理人のコメント

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