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高齢者の肘頭骨折に対する手術治療(SOFIE無作為割付試験の結果から)Joshi MA, J Bone Joint Surg Am. 2025

Surgery for Olecranon Fractures in the Elderly (SOFIE): Results of the SOFIE Randomized Controlled Trial - PubMed

昨今、欧米では高齢者の上肢の骨折に対して手術治療をわざわざ行わなくてもいいのでは?みたいな流れになっています

上腕骨近位端骨折 

手術群と非手術群で差なし
Li Y, Zhao L, Zhu L, Li J, Chen A. Internal fixation versus nonoperative treatment for displaced 3-part or 4-part proximal humeral fractures in elderly patients: a meta-analysis of randomized controlled trials. PLoS One. 2013;8(9):e75464. Published 2013 Sep 16. doi:10.1371/journal.pone.0075464

橈骨遠位端骨折

Swedish Council on Health Technology Assessment. Treatment Options of Arm Fractures in the Elderly – A Systematic Review and Assessment of the Medical, Economic, Social and Ethical Aspects [Internet]. Stockholm: Swedish Council on Health Technology Assessment (SBU); 2017 Aug 22. SBU Assessments No. 262. PMID: 29369570.

本研究は高齢者の肘頭骨折で、無作為割付試験にて手術と非手術群での機能成績および合併症について検討した報告になります。


論文の概要

高齢化社会において、高齢者の肘頭骨折の治療に関する財政的・資源的負担は増加している。高齢者の治療成績についてのエビデンスは十分ではない。本研究は、高齢患者の転位性肘頭骨折において、手術治療が保存治療と比較して12ヶ月後の機能的転帰で優れているかを判断することを目的とした。オーストラリアとニュージーランドの24病院で行われた多施設無作為割付比較試験。75歳以上の転位のある単純肘頭骨折を呈した患者が対象。手術治療は、Tension band wiring法またはプレート固定による整復と固定。保存治療は、comfort slingの使用と耐えられる範囲での早期運動が実施された。主要評価項目は12ヶ月時点のDASH(Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand)スコア。副次評価項目は3ヶ月時点のDASHスコア、3ヶ月と12ヶ月時点での疼痛、生活の質、Mayo Elbow Performance Score(MEPS)、能動的肘関節可動域、合併症率。データはintention-to-treatに基づいて分析。実施された治療(as-treated)群を用いた感度分析も行われた。60名の参加者がランダム化され、手術群27名(平均年齢±標準偏差:83±5.8歳、女性22名[81%])、保存群33名(平均年齢82±4.5歳、女性23名[70%])が割り付けられ、ベースライン特性に有意差はなかった。主要評価項目である12ヶ月時点のDASHスコアの平均値は、手術群(12.3±14)と保存群(18.9±18)の間に有意差はなかった(平均差26.6、95%信頼区間-14.9~1.8、p=0.12)。12ヶ月時点での能動的肘関節伸展は手術群で有意に優れたが、その他の副次評価項目では12ヶ月時点で群間に有意差はなかった。本研究では、手術群と保存群の間で12ヶ月時点のDASHスコアに有意差を認めなかった。これは、高齢患者の転位性単純肘頭骨折において、保存治療が妥当な選択肢であることを支持する。

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