日本維新の会第49回衆議院選挙公約(教育)
日本維新の会政策提言 「4 多様性を支える教育・社会政策、将来世代への徹底投資」 より教育分野抜粋
教育
(1)無償化・予算措置
181.家庭の経済状況にかかわらず、等しく質の高い教育を受けることができるよう、義務教育の他、幼児教育、高校、大学など、教育の全過程について完全無償化を憲法上の原則として定め、給食の無償化と大学改革を併せて進めながら国に関連法の立法と恒久的な予算措置を義務付けます。
182.OECD 加盟国で最下位となっている教育予算の対 GDP 比を引き上げ、教育への公的支出を他の先進国レベルに向上させます。
183.教育バウチャー(塾代バウチャー)制度の導入・普及に努め、教育機会を拡大するとともに、多様なプレイヤーの競い合いによる教育の質と学力の向上を目指します。
(2)制度改革
184.大学入試改革における英語試験については、経済格差や地域格差、障がい者対応などに十分に配慮した上で、民間試験導入を進めます。
185.新型コロナを機に検討された 9 月入学制度については、海外大学と入学時期を一致させ海外留学を円滑化するとともに、優秀な外国人学生の確保による大学の国際競争力向上につながることから、引き続き導入に向けた積極的な議論と検討を継続します。
186.教育委員会の必置規則を見直し、教育行政制度について自治体の選択制とすることで、文科省を頂点とするピラミッド型教育行政から地方分権型教育行政への転換を図ります。
187.公設民営学校の設置等、地方の発意で多様な教育のあり方を可能にする制度を整備します。また学校設置基準を見直し、学校のあり方についても多様化を促進します。
(3)教員待遇
188.校務分掌や部活動の見直し、校務の情報化の推進などを通じて教員の負担軽減を図り、教育に専念できる体制を整えます。
189.教員養成課程・採用試験・兼業副業規定等の見直しなどを含めた教員免許制度の抜本的な改善を通じて、社会経験を経た多様な人材が教員として活躍しやすい環境を促進します。
(4)カリキュラム
190.学校での授業と企業等でのインターンシップを並行して進め、切れ目なく職業人を育てる「デュアルシステム」によるキャリア教育の導入と、それに柔軟に対応できる「飛び級制度」整備を推進します。
191.小中学校での必修科目に「ディベート」を設け、国際社会で活躍できるスキルの早期取得を促進します。
192.高校、大学における「飛び級」進学・入学や、必要に応じた十分な留年・再学習を認めると同時に、各種資格についても年齢要件を見直し、教育を年齢主義から修得主義とすることで、日本社会の根底にある年齢主義構造の改革を行います。
193.インターネットの発達などによる児童・生徒の性意識・性知識の早熟化に対応するため、性的リスクなどに対する知識を発達段階に応じて教えられるよう、教育現場における指導方法や教員の対応及び学習指導要領を適切に見直します。
194.特に若年層で政治への関心が低いことに鑑み、主体的に考えて議論し、意思決定を促す取組を含めた主権者教育(シティズンシップ教育)を充実・強化します。
195.地域の歴史に関する調査・教育活動を支援するとともに、教養・教訓的観点のみならず主権者教育の観点からも、近現代史を中心とした歴史教育のさらなる改善・充実を図ります。
(5)ICT 化
196.コロナ禍を契機として急速に進んだオンライン教育体制の効果・課題をしっかりと検討し、コンテンツの充実やきめ細やかな ICT 端末の有効利用を図り、学力格差の是正や教員の勤務環境の改善策を講じます。
197.デジタル教科書については完全無償化するとともに、個人情報に配慮しながらデジタル教科書を使用した生徒のビッグデータを活用し、最新テクノロジーを駆使した効率的・効果的な学習支援を行います。
(6)不登校・いじめ対策、特別支援
198.臨床心理士・公認心理師を始めとする常勤スクールカウンセラーの配置を全国的に促進し、いじめや不登校など学校内で生じる問題解決を図ります。
199.不登校児が通うフリースクールの単位参入認定を促進する等、現行の学校や教育に馴染めなかった児童・生徒に多様な居場所を提供します。
200.障がい児への学習・キャリア支援の改善に向けて、教員免許取得時のカリキュラム改善や部門別採用などを通じ、専門知識をもった教員の育成に努めます。
201.障がい児がライフステージを通じて一貫した療育支援を受けられるよう、療育(発達支援)施設の拡充など地域における療育支援体制を構築します。
202.教員から子どもへのわいせつ事件が後をたたない事態に重く鑑み、教職免許を再交付しないことを可能とする立法に続き、過去の性犯罪経歴の照会や無罪証明書の発行ができる「日本版 DBS」の創設を検討します。
(7)生涯教育
203.生涯にわたり学びと就労の機会を提供するため、リカレント教育の促進などを通じ、学校に行けなかった大人の再チャレンジを可能にする社会を実現します。
子育て・保育
(1)待機児童対策(※割愛)
(2)保育所・保育士待遇
208.保育士の給与について、官民格差の是正や正規・非正規職員間の同一労働同一賃金、私立保育園と無認可保育施設の保育士の処遇の大幅改善など、抜本的な処遇改善を行います。
209.長時間労働、サービス残業、持ち帰り残業を撤廃するなど保育士の働き方改革を推進し、保育士不足の解消に努めます。
210.保育所での重大事故を防ぐため、自治体に認可外を含めた事前通告なしの抜き打ち調査の実施権限を付与するとともに、重大事故から指導歴に至るまで情報公開を徹底し、保育の質の向上を図ります。
211.保育士やベビーシッターなど、子どもに関わる職種に就く者の性犯罪歴の証明届出義務化を検討し、子どもへの性犯罪被害を防止します。
(3)特別支援
212.医療的ケア児について、看護師らを車両に同乗させる通学支援の拡充や医療的ケア児対応型の保育園の増設など、当事者とその家族への支援を促進します。
213.自治体の支援が行き届かない多胎児家庭の実態を把握し、産前産後ケアの充実など適切な支援体制整備を促進します。
214.新たな社会問題となりつつある育児と介護のダブルケア問題解決のため、自治体に実態調査・把握を促すとともに、育児・介護の縦割りに阻まれない支援体制を整備します。
215.重大な児童虐待を撲滅するため、弁護士等の専門家を常駐させるなど児童相談所の機能強化と、ニーズに応じた機能分担を推進します。また、特別養子縁組の促進や里親委託率の向上のため、自治体や民間支援団体との連携を強化します。
216.児童相談所の一時保護所における混合処遇を廃止し、義務教育を受けられない保護児童は原則通学できるよう子どもの保護環境を改善します。
217.コロナ禍で特に困窮しているひとり親支援を拡充するほか、社会問題化している養育費の不払いについて、国が立て替えた上で不払い者に強制執行できる制度を創設し、子どもが両親の離婚によって経済的な不利益を被らない環境を整えます。