日本共産党第49回衆議院選挙公約(教育)
56、教育 2021総選挙/各分野政策 より教育分野抜粋
少人数学級化の加速など、コロナ危機のもとでも子どもをしっかり支える学校をつくります
学校は昨年の一律休校など政府の誤った対応もあり、行事がない、対人関係がつくれない、家庭環境により学力や経験の格差が広がるなど多くの困難をかかえています。うつ症状の広がりなど子どもの強いストレスも指摘されています。コロナ危機のもとでも子どもをしっかり支える学校をつくることは日本の教育の喫緊の課題です。
手厚い教育・・・緊急に教職員をふやし、来年度から少人数学級を加速させます
もともと日本の教職員は少なすぎ、長時間労働が社会問題になっていました。そこに、消毒や検温、オンライン併用授業、コロナ由来の子どものケアなどが加わり、負担は限界です。ところが政府は、来年度の教員定数を777人減らそうとしています。
――コロナ下の子どもを支えるため、数万~十万人規模の教職員の緊急増を行います。私学も私学助成増額で対応します。
――来年度以降、この緊急の増員も生かし、関係者の意見も踏まえ、小中高のすべてで、将来は20人前後の学級となるよう、少人数学級化を加速させます。
柔軟な教育・・・学習指導要領の押し付けをやめ、子どもの実態に応じた教育をすすめます
自公政権の学習指導要領押し付けのなかで、授業時間の確保を優先し、行事や休みを削るといった対応が各地で広がり、新たなストレスを子どもに与えてしまいました。子ども第一の対応を学校に保障します。
――学習指導要領の押し付けをやめ、子どもたちの実態に応じた柔軟な教育ができるようにし、授業で枝葉末節にこだわらず重要な事項を深く学べ、行事などの自主的活動や遊びも保障します。
――コロナのもとで、登校を見合わせたい、休校でも学校に受け入れてほしいなどのさまざまな子どもに柔軟に対応します。オンラインは、災害時の対応として、出席扱いできるようにします。
科学的な感染対策
科学的な感染対策を重視し、"リスクが少ない運動場の使用をやめる""クラスで陽性者が出ても1人も検査しない"などのちぐはぐな対応を改善します。
――教育委員会だけで感染対策の助言を学校に行うのは無理があり、小児科医師会などの科学的知見を教育にとりいれるため、医療・教育の連携の体制を都道府県等でつくります。
――陽性者が出た場合、濃厚接触者だけでなく、学級全体などでPCR検査ができるようにします。検査キットを教職員・子どもに配布するなど、定期的な検査ができるようにします。
――子どもたちとの新型コロナウイルスや感染のしくみについてのさまざまな学習と対話を重視し、子どもたちが納得して合理的な感染対策を選び、「部活動もこうやって続けよう」など創意工夫して学校生活を送れるようにします。
学校の民主的運営 上意下達の教育行政を改めます
上意下達の教育行政や学校運営は、コロナ下の対応を硬直化させ混乱をうみ、教職員・保護者・子どもらの気持ちも傷つけます。職員会議での合意形成を重視し、子どもの意見表明や保護者とのコミュニケーションを大切する学校の民主的運営を奨励します。
「安倍教育再生」の負の遺産をとりのぞき、教育の自主性を保障し、豊かな教育条件を整えます
自公政権は教育基本法改悪を前後して、学校にそれまで以上の競争と管理を持ち込みました。全国学力テストは各地で平均点競争を引き起こし、ドリルやテストが繰り返されるようになりました。政権がゼロトレランス(寛容度ゼロ)を推奨するもとで、子どもの行動に対する細かいルールがふえています。子どもの個性や多様性に反した教育施策が続くもとで、不登校の割合が7年間で1・7倍になっています(2012~2019年。その後、2020年の調査発表があり、過去最高を記録)。競争と管理が顕著にすすんだ大阪市の校長先生は「教職員は、子どもの成長にかかわる教育の本質に根ざした働きができず、喜びのない何のためかわからないような仕事に追われ、疲弊していく」と訴える手紙を市長に出し、反響を呼んでいます。「安倍教育再生」路線の失敗は明らかです。その負の遺産をとりのぞき、豊かな教育条件を整え、教育の自主性を保障する教育政策に転換します。
自公政権が教育に押し付けた「負の遺産」をとりのぞき、子どもを大切にする教育の自主性をとりもどします
――教員免許更新制、全国一斉学力テスト(悉皆〈しっかい〉)、ゼロトレランス(寛容度ゼロ)、教員評価制度、職員会議の形骸化など自公政権が教育に押し付けた「負の遺産」をとりのぞき、子どもを大切にする教育の自主性をとりもどします。
――大学入試共通テストへの、合理性がなく低所得層ほど不利になる、英語民間試験と「記述式」問題の導入の検討を完全に断ちます。
――安倍政権による道徳の教科化は、上から目線で「いい子になれ」「ルールに従え」と子どもに教え込むもので、基本的人権や個人の尊厳、多様性にもとづく市民道徳のあり方に反しています。教科化をやめ、学校生活全体が基本的人権と子どもの権利を大切にし、そのなかで子ども一人ひとりが自分らしい価値観形成をはかれるような市民道徳の教育にきりかえます。
――「従軍慰安婦」など教科書記述への政府の不当な介入をやめます。愛国心に関する教育も、戦前の偏狭な愛国心をともなっておこなわれた植民地支配と侵略戦争の歴史の問題を伝えてこそ、世界の人々と共生できるものとなりえます。
――憲法19条(思想、良心、内心の自由)に違反する、「日の丸・君が代」の強制に反対します。入学式・卒業式は、子どもにとって最善のものとなるよう、教職員、子ども、保護者の話し合いをふまえて決められるようにします。合意によって「君が代」斉唱を行う場合でも、アメリカのように、斉唱を拒否する自由が生徒にも教職員にもあることを明確にして、内心の自由を守ります。
教育予算をOECD水準に引き上げ、大学学費半減・入学金廃止など重すぎる教育費負担を解消します
「バイトがなくなりお金がない」「1日1食」など、多くの学生が食事にも事欠くような困窮に陥りました。高い学費と劣悪な奨学金制度のために、アルバイトをしないと学生生活が成り立たない現状を、コロナ危機が直撃したのです。
ヨーロッパの国々は、学費無償か、ごく少額であり、日本の高学費は世界でも異常です。教育に予算をかけず、足りない分を国民の重い教育費負担でまかなっている結果です。日本の教育予算の水準はOECD加盟国で比較可能な38カ国中37位です(2020年9月OECD発表)。
教育は権利であり、経済的理由で制約されてはなりません。政府は「受益者負担」と言いますが、高等教育は、学んだ学生が社会の各分野の働き手になるわけで、社会全体の力として必要不可欠なものであり、無償化こそめざすべき社会のあり方です。
学費の半減――大学・短大・専門学校の学費をすみやかに半額に引き下げ、高等教育の無償化をめざします。
入学金制度の廃止――入学金制度をなくします。高額の入学金を払わせ、入学しなくても返金しないというのは合理性がありません。
奨学金の拡充――「自宅4万円、自宅外8万円」の給付奨学金を75万人(現在の奨学金利用者の半数)が利用できる制度をつくり、拡充していきます。すべての奨学金を無利子にします。奨学金返済が困難になった場合の減免制度をつくります。
コロナ対策の強化――学生支援緊急給付金の継続的な実施、休学や卒業延期した学生の学費補助など、コロナ対応の支援を抜本的に強化します。
「高校無償化」の拡充――私立高校の負担の軽減をすすめ、高校教育の無償化をすすめます。(詳しくは(6)私学の項目に)。公立高校の授業料無償化の所得制限をなくします。
朝鮮学校への無償化措置の適用――自公政権は、「高校無償化」や「幼保無償化」の対象から朝鮮学校を排除してきました。しかしこれは、内外人平等の国際人権規約などに違反した差別的な施策です。2019年には国連・子どもの権利委員会からも是正勧告を受けています。朝鮮学校に無償化措置を適用します。
義務教育での負担の解消――「義務教育は無償」を定めた憲法26条にそくして、学校給食の無償化をすすめます。義務教育で残されている教育費負担をなくします。
就学援助の拡充――就学援助制度は経済的な困難をかかえる子どもに義務教育を保障するための命綱です。ところが、「子どもの貧困」が深刻なときに、自公政権は制度への国庫負担を廃止し、各地で就学援助の縮小を引きおこしました。国庫負担制度をもとに戻し、対象を生活保護基準×1.5倍まで広げ、支給額も増額するとともに、利用しやすい制度にします。教育扶助の額も同様に引き上げます。
特別支援教育の拡充をすすめます
障害のある子どもの教育は、その子どもの成長し発達する権利を保障し、障害のある人々の「社会への完全かつ効果的な参加」を実現するものでなければなりません。その立場から、以下の政策の実現をめざします。
特別支援学校の教室・教員不足の解消――特別支援学校に在籍する子どもが急増しているのに行政が学校建設を怠った結果、各地で「特別教室が潰され普通教室に転用」「普通教室をカーテンで仕切って二学級が使う」など小中学校では考えられないような事態がおきています。運動で制定をかちとった学校設置基準を生かし、既存校にもきちんと適用させるなどして、特別支援学校を増設し、狭隘化・大規模化の解消を本格的にすすめます。学校建設への国の補助率を引き上げ、建設を促進します。
障害の重度重複化の実態に応じた教員増員など――子どもの障害の重度化重複化に対応するため、重度重複学級が制度化されていますが、この間、重度重複なのにそうでないと認定し、その分教員を目減りさせるという問題が起きています。その結果、学校現場では子どもへの支援が十分にできなくなるなど深刻な問題がおきています。重度重複の認定をきちんと行い、教員を増員します。スクールバスを増車し通学の負担をへらします。必要なすべての子どもへの寄宿舎の保障をすすめます。医療・福祉など専門機関とのネットワーク、巡回相談など地域全体の支援体制をつよめます。
特別支援学級の定数を改善し、教員を増やします――特別支援学級に在籍する子どもたちの障害の複雑化に対応するように、教員定数を増やします。①学級編制基準を現在の8人から6人に改善②学級編制を通常の小中学校の複式学級のように2学年以内で行うことにより、教員を増員し、子どもの実情に応じた教員配置が行えるようにします。教員が特別支援教育についての専門性をもてるような採用、異動などのしくみを改善します。
通級指導教室の条件整備を進めます――通級指導教室は、数十万人と推定されている通常学級に在籍する発達障害の子ども、その他さまざまな事情から支援が必要な子どもの教育にかけがえのない役割をはたしています。とろこがその整備が遅れ「希望しても入れない」などの事態が広がっています。通級指導教室の潜在的ニーズを明らかにし、それに基づいた整備計画を立て、教室を増やします。「生徒10名に教員1人を配置」とするよう教員定数を改善します。
高等部卒業後の学びの保障――学校教育法の中に、学びの継続を希望する特別支援学校高等部の生徒や障害のある高校生に開かれた、専攻科の設置を位置づけます。
高校、大学などでの特別支援教育の体制の確立――高校や大学、専門学校などでも特別な支援を必要とする子どもや学生が増えています。そのために必要な教員や専門的支援員の配置などの条件を整備します。
過度の競争と管理を改善し、子どもを排除しない学校――特別支援の学校や学級の在籍数がふえ続けている背景には、子どもにあった専門的な教育を受けさせたいという保護者らの願いもありますが、「学力テストの平均点アップに汲々とする」「子どもを力で押さえつける」など過度の競争と管理によって、子どもたちが通常学級にいづらい状態が広がっている問題があります。過度の競争と管理を改善し、学校をどんな子どもでも排除されない、ゆったりとした人間的な雰囲気のある場にします。
インクルーシブ教育にふさわしい教育制度の検討――国連の「障害者権利条約」(08年5月発効)は、障害のある人が障害のない人と分け隔てなく人権を保障され、豊かに生きられる社会を実現するために、教育の分野で「インクルーシブ教育」(障害のある子どもが一般の教育制度から排除されず参加を保障される教育)を提唱しています。そのためには、子どもの「最大限の発達」と「社会への完全かつ効果的な参加」とが大切になれなければなりません。日本の教育制度がインクルーシブ教育にふさわしいものとなるよう、国民的な合意形成をはかり改善を進めます。そのなかで特別支援学校を小規模分散の地域密着型にすることなどを検討します。
教職員の超多忙化を解消し、専門職としての自律性を保障します
(詳しくは、「教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を 学校をよりよい教育の場に」)
教員定数の2割増によって、「教員1人1日4コマの授業」を保障――超多忙化の最大の原因は、学校の業務量にくらべてあまりに教職員が少ないことです。もともと所定の勤務時間で仕事が終わるように国が設定した「教員一人で1日4コマの授業を担当する」という原点に戻って、必要な教員を増やします。具体的には、小中学校で9万人の教員定数増を計画的にすすめます。同時に少人数学級を推進します。高校や特別支援学校も同様の計画をたてます。養護教諭、事務職員、用務職員なども増やします。カウンセラーやスクール・ソーシャルワーカーは、現在のようにたまにしか学校に来られない非常勤ではなく、学校に常駐できる常勤職員とします。
「教育改革」などで膨らんだ不用不急の業務の削減、部活動の負担軽減――①国・自治体は、現場に負担を与えている教育施策を削減・中止します。②学校で、教職員の話し合いに基づき、不用不急の業務を削減・中止するようにします。③部活動の負担軽減をすすます。
残業代ゼロの法制度の改革――残業代ゼロの法制度の破綻は司法からも指摘されるようになりました。残業代の支給が行われていないことが、労働時間を際限なく長くしている要因の一つであることは明らかです。教育公務員給与特別措置法のなかの残業代ゼロの部分を廃止します。
変形労働制の廃止――政府は「働き方改革」の名のもとに、公立教員への変形労働制の導入を可能とする法改正を強行しましたが、それはより長時間労働を強いかねないものです。わが党の国会質問で、その導入の条件すら現在の学校にないことが浮き彫りになりました。自治体での制度の導入に反対し、もとにある強行された制度そのものを廃止します
非正規教職員の正規化と待遇改善――①現在のあまりに低い給与を引き上げます。②病休・有休取得、職員会議の参加などでの差別を禁止します。③臨時教員急増をまねいた「定数崩し」の制度を見直し、フルタイム教員は基本的に正規雇用とし、正規化をすすめます。④自公政権が定数改善計画を廃止したことで、都道府県や政令市が正規採用の見通しをもてなくなっています。計画を策定し、正規採用がすすみやすくします。
教職員を専門職として尊重し、自主性を保障します――教員は専門職であり、上意下達では責任をもった仕事をすることができません。このことは「ILOユネスコ・教員の地位に関する勧告」にも明記された世界のルールです。教員を教育の専門家として尊重し、学校運営のみならず教育政策の決定でも重要な役割を果たせるようにします。
教員免許更新制の廃止、自主的な研修の保障――自公政権が導入した、教員免許を10年ごとにとりあげる教員免許更新制によって、少なくない教員が中途退職し、各地で深刻な教員不足を引き起こしました。ついに、文部科学省は制度廃止の方向を決めざるをえなくなりました。必ず廃止させます。ところが同省は、制度廃止の代わりに教員の研修の全面的な記録を行政が管理するなどの教員研修への新たな統制を行おうとしています。そうした統制を許しません。教員の研修とは、行政職員の業務効率化のための研修とはことなる、自主性が保障された「研究と研修」です。行政主導の官製研修を大幅に削減し、権利としての教員の自主的研修を保障します。「不適格教員」のレッテル貼りや「草むしり」「密室に座らせ続ける」などの「指導力改善研修」は、教員を人間として追いつめるだけであり、抜本的に見直します。なお、子どもを傷つける言動をおこなう教員には、子どもの安全と人間の尊厳を優先する立場から毅然と対処するとともに、問題をかかえる教員の人間的な立ち直りを促す支援を重視し、 そのための人員配置などの支援策をとります。
ICT教育
小中学校などでタブレット端末が配布され、その使用が始まっています。ICTは、感染症による臨時休校などの際に役立つ面があります。同時に、学校での日常的な使用は、子どもの発達と健康を第一にすえ、条件整備もふくめ、対応していくことが求められています。
保護者負担の解消……タブレットは義務教育段階では無償ですが、壊れた時や自宅で使う場合の通信費は対応がさまざまです。破損時の保障をはじめ保護者負担を生まないように求めています。また、高校ではタブレットそのものに自己負担があります。高校無償化の立場から、無償とすべきです。
どう使うかは教員にゆだねます……ICTを使えば必ずいい授業になるわけではありません。授業の質は、教員自身の深い教材研究や、子ども同士や子どもたちと教員との生きたやりとりにあります。ICTはあくまでその補助です。教員の得手不得手もあり、どう使うかは個々の教員にゆだねなければ、かえって授業の質が落ちかねません。タブレット使用が自己目的化し、一律の使用方法などを徹底するようなことは、本末転倒です。
ICTによる子どもの健康や発達への悪影響の研究と対策……多くの専門家がICTによる近視やネット依存症などの健康被害を指摘しています。また、ICTの使用によって深く考えるということがかえって阻害されることを指摘する研究者も少なくありません。ICTさえ導入すれば教育はバラ色になるという幻想にとらわれず、その積極的な面とともに、健康や発達への影響の研究と対策を重視します。
子どもの個人情報の保護……子どもがタブレットを使えば、練習問題の結果、日々の生活などが「学習ログ」としてクラウド上に蓄積されることになります。こうした保護されるべき個人情報が教育産業に流出することを防ぐ有効な手立てを進めます。
デジタル教科書について……健康被害の危険がある、マイナス面の検討含む教育効果の検討が十分でないという批判がおきています(④)。海外では、いったん導入しても健康被害と教育効果から紙の教科書に戻すケースもうまれています。日本共産党は導入を可能とする法案に、視力障害のある子どもに見やすいなどの点から反対しませんでしたが、全体的な導入には、多くの関係者による慎重な検討が必要です。
ICT支援員の増員……教員の多忙化は、「教師のバトン」の「炎上」にもみられるように限界に達しています。コロナ対策に加えICT導入の実務まで教員の負担となればいっそう深刻な事態となります。国の方針は支援員を二校に一人配置ですが、党は一校に一人の配置を求めています。
少人数学級などICTを教育に生かせる条件整備……もともと学校へのタブレットの性急な普及は経済産業省が推進してきたものです。そこでは「生徒達は…自分の好きな学習塾の先生などのオンライン講義動画をタブレットで見て、自分の進度に合わせて個別に学ぶのが一般的になる」(「未来の教室」第一次提言)と明け透けに教員不要の安価な教育が構想されていました。これに対し、文科省はICTを双方向型の「協働的な学び」に活用する方向を打ち出しましたが、「協働的な学び」を本当に行おうとすれば、教員の教授の自由と、20~30人程度の少人数学級が必要です。
私立学校
私学は憲法が保障する公教育のひとつであるとともに、建学の精神や独自の教育理念によって多様な教育を求める国民の要求にこたえる、かけがえのない役割があります。日本共産党は私学を応援し、その豊かな発展をささえます。
「私学コロナ対策補助金」の創設――現在の、私学側の負担がなければ一円も出ない「二分の一補助方式」では、大災害に匹敵するコロナ・パンデミックに対応できません。全額補助方式の「私学コロナ対策補助金」を創設し、①消毒(委託を含む)や検査などの実額補助、②コロナ対策のための上限500万円の人件費補助(現行50万円)ができるようにし、必要に応じて何度でも補助するようにします。感染対策に欠かせない養護教諭の配置も公私間格差があります。私学助成の拡充で公立並みに養護教諭を配置できるようにします。
私立学校の少人数学級化――多様な子どもの個性を支えるためにも、感染症対策のためにも、今こそ少人数学級に踏み出すときです。私学助成を抜本的に増やし、私学も少人数学級化の時代にします。
非正規の教員の専任化――卒業後何年たっても先生に会えるのが私学の魅力です。ところが非正規の教員の割合は増えるばかりで、その割合は約4割にものぼります。専任教諭と同様に働きながら、身分は不安定で年収も低く、退職金もありません。私学助成の拡充で専任率を高めます。
私立高校の学費無償化――国の私学予算の増額により、①自公政権が行った所得制限をやめ、すべての生徒に公立高校の授業料と同額の授業料補助を行います。②授業料実質無償化を年収910万円以下の家庭まで拡大します。③入学金、施設設備費も無償化の対象にします。④国の奨学給付金を拡充し、通学費や生活費まで保障できるようにします。
私立中学生への学費支援制度の充実――国がはじめた支援制度をより実態にあったものに改善し、家計急変などで学校をあきらめることのないようにします。
私学経常費助成の拡大――生徒一人当たりの財政支出が公立の約三分の一という公私間格差を是正します。当面、経常費1/2助成の早期実現、校舎などへの助成の実現をはかります。
「私学の自由」の擁護――私学は、建学の精神やより自由な発想で教育をすすめることで日本の教育全体を豊かにする点に大切な役割があります。こうした観点から、私学を公教育の一つとして位置付け、公財政で手厚く支援するとともに、「私学の自由」を保障し、私学の自主性を守ります。2007年に自公政権が強行した「教育三法」改悪は、私学にたいする権力統制に道をひらく危険があります。日本共産党の国会質問にたいして、政府は「私学の建学の精神尊重」を認めるとともに、教員評価・学校評価を私学助成の交付要件にすることを「考えていない」と答弁しました。こうしたこともふまえ、私学の自主性を守るために力をつくします。
教育諸条件の整備をすすめます
クーラー設置、トイレなど学校施設の整備――学校施設は、子どもたちの安全や健康はもとより、地域の避難所、防災拠点ともなることからも、十分に整備される必要があります。①非構造部材を含む耐震化、②遅れている体育館や特別教室などのクーラー設置、③トイレの洋式化、④老朽化校舎の整備⑤避難所・防災拠点として必要な水や燃料、毛布などの整備、⑥エレベーター設置などのバリアフリー化などをすすめます。そのために、学校施設整備の予算を増額し、補助率と補助単価を引き上げます。
学校給食の充実――安全性やアレルギー対応、質の確保の上で問題の多い民間委託やデリバリー方式を見直し、安全で豊かな学校給食のために給食の地産地消、自校方式、直営方式などをすすめます。中学校給食、高校給食をひろげます。学校給食費の未払いをすべて保護者の責任にするのではなく、無償化を検討するとともに、生活の実態に応じて、必要な免除措置をすすめるようにします。また、学校栄養職員・栄養教諭を一校に一名配置します。
一方的な学校統廃合反対――自公政権は、教育予算削減のために学校統廃合の推進を打ちだし、各地で一方的な統廃合が強行されています。しかし、小規模な学校は子ども一人ひとりに目が行き届くなどの優れた面があるとともに、地域の維持と発展にとってかけがえのない役割があります。統廃合は、地域の教育力の衰退、子どもの長時間通学、いざという時の安全面の不安などでもデメリットがあります。子どもの教育を後退させ、地域の存続を危うくする一方的な統廃合に反対するとともに、小規模校を地域に残して充実させ、地域づくりを進めるとりくみを支援します。
小中一貫校、中高一貫校について――小中一貫校、中高一貫校導入は様々なケースがあり、子どもの成長・発達にとってどうかから、その是非を判断します。自公政権のすすめる「小中一貫校」構想は、学校統廃合をすすめることが最大のねらいです。しかも小学校高学年の自覚などこれまであった子どもの成長に有益なものが失われる、学校がマンモス化する、中学のテスト体制や厳しい管理が小学校に拡大するなど多くの問題をかかえています。この間すすめられてきた「小中一貫校」、「スーパーハイスクール」などは同じ公立学校でも破格の予算がつけられています。こうしたやり方は、教育格差を助長しかねません。すべての学校の教育条件の向上を重視します。
外国人の子どもへの教育条件の整備――このほど国は、日本に居住する外国籍で義務教育年齢にあたる子どもたちのうち、学校に通っていない子どもたちは約2万人にのぼることを明らかにしました(文科省推計)。内外人平等を保障した国際人権規約、子どもの権利条約にもとづき、公立学校への受け入れ体制の整備、外国人学校への支援、日本語教室設置、公立高校への入学資格の改善など在日外国人の子どもの教育を保障します。子どもの生活のためにも、外国人の賃金未払いや劣悪な労働条件の改善、福祉・医療を受けやすくするとともに、地域での共生をすすめます。
公立夜間中学の開設の推進――夜間中学は、戦争の混乱や経済的な理由により教育を受けられなかった多くの人、不登校の子ども、障害者、中国帰国者・在日外国人らにとってかけがえのない義務教育の場となっています。ところが公立夜間中学は全国にわずか34校しかありません。2016年12月に成立した教育機会確保法を生かし、全県での協議会設置と公立夜間中学開設を急ぎます。また、就学援助の年齢撤廃、夜間中学の教員配置と研修保障、在校生の八割を占める外国籍の生徒に対応した日本語指導教員等の配置、バリアフリー化、自主夜間中学への公的支援の実施をすすめます。
社会教育の拡充――図書館、博物館、公民館などの公立社会教育施設は、教育の中立性、継続性、安定性の確保の観点から教育委員会が所管してきました。ところが先の国会で(2019年5月)、地方自治体が条例を制定すれば、図書館などの所管を政治的中立性などがもともとない首長部局が所管できるよう法改悪がされました。社会教育は住民の学習権を保障するとともに、地域のコミュニティーの形成、子どもや親への支援など多くの役割をはたしています。そうした役割が発揮できるよう、社会教育施設の首長部局への移管を許さず、社会教育予算の削減や施設の有料化、公共施設再編計画の下での社会教育施設の廃止再編をやめさせ、公民館などの増設をすすめるとともに、社会教育主事など職員の増員をはかります。住民の学習の場である社会教育には表現の自由、学習の自由が不可欠であり、その侵害につよく反対します。減少の続く児童館を増やします。
子どもの権利の擁護を、学校の最重要課題に
子どもの権利の擁護を、学校と教育行政の最重要課題に位置付け、子どもの権利条約を子ども、教職員、保護者に周知します。子どもの権利委員会は、日本政府に「極度な競争的教育制度」の是正や子どもの「意見表明権」の保障などを求め続けてきましたが、自公政権はそれらを無視し続けています。そうした姿勢を転換し、「子どもの最善の利益」「意見表明権」「余暇・休息、遊び、文化の権利」「市民的自由」など子どもの権利をあらゆる教育の場で生かし、法令や制度を見直します。
いじめ問題の解決、訴えの無視や隠ぺいの根絶――いじめは相手に恥辱や恐怖を与え、思い通りに支配しようとするもので、ときに子どもを死ぬまで追いつめます。多くのいじめ被害者は、その後の人生を変えてしまうような心の傷をうけます。いじめはいかなる形をとろうとも人権侵害であり、暴力です。そうしたいじめが全国の学校に広がっていることを社会全体の問題として重視し、以下の方向で学校関係者、国民と力をあわせます。
学校の対応として、①いじめへの対応をぜったいに後回しにしない命最優先の原則の確立(安全配慮義務)、②ささいなことでも様子見せずに対応するため、教職員・保護者の情報共有を重視する、③子どもの自主的活動の比重を高め、いじめをとめる人間関係をつくる、④被害者の安全を確保し、加害者にはいじめをやめるまでしっかり対応する、⑤被害者家族の真相を「知る権利」を尊重し、学校側がつかんだ情報をかくさない、を提案します。
行政側の条件整備や対応として、①教員の「多忙化」解消、少人数学級推進、養護教諭・カウンセラーの増員、いじめ問題の研修、②深刻なケースに対応できる全国的なセンターとして「いじめ防止センター」の設立、③厳罰主義などいじめ解決に逆行する方向でなく、子どもの安全に生きる権利を保障する方向で「いじめ対策法」を運用する、④いじめ解決に逆行する、「いじめ半減」などの数値目標化、教職員をバラバラにする上からの教員評価などの教育政策をあらためる、を提案します。
被害者側が訴えても無視したり、あとになって事実関係を隠ぺいするなど、被害者の尊厳を二重三重に傷つけることが残念ながらあとをたちません。関係者の意見もふまえ、再発させないための措置を講じます。
詳しくはこちらを→
「いじめ」のない学校と社会を 日本共産党の提案(2012年11月28日)
いじめ問題に関わる法制化についての日本共産党の見解(2013年6月3日)ジェンダー平等の視点の重視、LGBTなど多様性の尊重――ジェンダー平等、リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)に基づく科学的な性教育、互いを尊重し合う人間関係を築くための考え方やスキルなどの包括的な性教育を学校教育で発達段階に即して一貫して行われるようにします。男女別制服の強制の解消、生理用品の無償配布など学校生活の全体をジェンダー平等の視点で見直すとりくみを奨励します。
同性愛や性同一性障害などを含む性的マイノリティ(LGBT)の子どもへの適切な配慮を求める国の通知(「児童生徒が自認する性別の制服・体操着などの着用を認める」「標準より長い髪型を一定の範囲で認める(戸籍上男性)」「着替えの際に皆とは別に保健室の利用を認める」「修学旅行で1人部屋の使用を認め、入浴時間をずらす」)をさらに多様性尊重の見地から発展します。教職員や子どもたちが理解をすすめることを重視します。
「ゼロトレランス(寛容ゼロ)」の撤回、体罰や「指導死」の一掃――安倍政権が導入した、「ゼロトレランス(寛容ゼロ)」(学校の「決まり」を問答無用に子どもに強要し違反者を問答無用に罰し続ける)は、それを導入した学校で子どもを深く傷つけ、学校に不可欠な温かな人間関係を破壊しています。国の指導助言として撤回します。
「指導」の名のもとに暴力や暴言で子どもを追い詰め、死に至らしめる「指導死」も各地でおきています。こうしたことをなくし、子どもも教職員も、人間として大切にされる学校をめざします。
肉体的な苦痛や恐怖で子どもを服従させることは、成長途上の子どもの体だけでなく、心に複雑で深い傷を残します。法律で明確に禁じられているにもかかわらず、少なくない学校で教員による暴言や暴力がいまだにあることは、日本の教育の大きな問題です。ところが自民党など政界の一部に体罰を容認する潮流があります。日本共産党はこうした風潮を許さず、なぜ体罰がいけないのかを多くの人々と根本から考えあい、学校から体罰をなくすために全力をつくします。
安全配慮義務の徹底――学校での子どもの事故が絶えず、命を落としたり、後遺症に苦しむ子どもがなくなりません。その対策の中心は、学校では子どもの命を守る「安全配慮義務」が何より優先されることを、教育行政、学校、教職員に浸透させることです。「安全配慮義務」を明記するなど、子どもの「安全に教育を受ける権利」を保障する「学校安全法」「学校安全条例」の制定を支持します。
不登校の子どもの学び・居場所への公的支援――不登校の割合がこの間再び急増し、7年間で1.7倍になりました(2012~19年。その後、2020年の調査発表があり、過去最高を記録。それを含めると2012~20年の8年間で1.9倍)。これは、学校が子どもにとっていかに息苦しい場となっているかを示しています。その背景に、安倍政権以降の子どもの個性や多様性に反した教育施策があるのではないでしょうか。不登校は、社会や教育のあり方を背景にしたもので、本人や家庭の責任とすることは誤りです。
子どもたちの、学校強制でない教育への権利、安心して休む権利、自分らしく生きられる権利などを保障する立場から、以下の政策を進めます。①子どもと親とが安心して相談できる窓口を拡充する。②子どもの居場所として、学校復帰を前提としない公的な施設を拡充する。③学校以外のさまざまな学びの場(フリースクール、フリースペースなど)をきちんと認め、公的支援をおこない、学校と同等の支援をめざす。④不登校の家庭の子育てを支えている親の会などへの公的支援をおこなう。⑤学校をすべての子どもにとって〝安心して休める学校〟にし、子どもを緊張感から解放する。⑥「不登校を三年で半減」「不登校ゼロ作戦」など学校復帰を前提とした、子どもや親をおいつめる施策を是正する。⑦「教育機会確保法」の運用を、子どもや親をさらに追い詰めないようにするとともに、不登校の子どもを支える多様な場への公的支援を拡充する方向での運用と見直しをすすめます。
高校生などの子どもの政治活動の自由――憲法はすべての国民に政治活動の自由を保障しており、高校生にもとうぜん政治活動の自由があります。じっさい高校生たちは、平和や環境問題など様々な政治課題について、多彩なとりくみに参加しています。ところが国は、高校生だけ政治活動を禁止・制限する通知(2016年10月)を出し、一部には集会参加や演説会を聞くことすら届け出制にしている高校まであります。このような憲法違反の制限に反対し、高校生などの政治活動の自由を一般市民と同様に保障します。
教育基本法などの再改定の着手
憲法26条は、国民の教育を受ける権利を定めています。憲法が規定する教育とは、教育をおこなう側の権能ではなく、子どもの学習し成長する権利がまずあり、それを満たすための社会全体の営みです。戦前のように〝教育は国家のためにある〟として時の権力が教育を左右することは、憲法の精神と相容れません。ところが、自公政権はこの間、教育基本法を改悪して「愛国心」などを盛り込み、教育への乱暴な政治介入を強めてきました。憲法や子どもの権利条約の精神に基づいて、改悪された教育に関する法律や制度の見直しを進めます。
憲法と子どもの権利条約に基づいて、教育基本法を改めます――教育への国家的統制を進める改悪教育基本法(2006年)を、憲法と子どもの権利条約に基づいて再改正するための国民的討論を進める場を設けます。そのなかで、戦前の教育を反省し、教育の目的を「人格の完成」にすえた、戦後初期の教育基本法(1947年)の精神を受け継ぎ、発展させることを重視します。
教育委員会制度の見直し――教育委員会制度も、安倍政権によって住民代表の教育委員の力を弱める方向で改悪されました。その結果、東京都では教育委員会を構成する6名中4名がパラリンピックの子ども動員に反対したにも関わらず、動員が実施されるという事態までおきています。教育委員会が子どものために政治から独立して職権が行えるよう、制度の見直しにとりくみます。
安倍政権の「教育委員会改悪法」に反対する国民的共同をよびかけます 2014年4月18日
被災地の子どもと教育への支援
東日本大地震から10年目を迎えましたが、被災地では教育上も解決すべき問題が今なお多く残されています。現在進行中の福島第一原発事故による放射能汚染への対応も不十分で、子どもの被曝への心配もやみません。その後の熊本、北海道などでの地震による被害も深刻です。子どもは復興の希望です。その子どもたちの成長や安全が保障されるよう全力をつくします。
被災者の教育費や生活への支援――震災による保護者の生活基盤の破壊は、進学の断念、生活の困窮によるネグレクトなど子どもに深刻な影響をあたえます。復興の大原則として生活基盤復活を求めるとともに、被災者への返済不要の「給付型奨学金」(程度に応じて月数万円から10万円)を創設、被災者への私立高校、専修学校・各種学校、大学等の授業料減免の拡充、被災地の給食費、教材費等を復興まで不徴収とするための国庫補助、保護者の生活を支援するスクール・ソーシャルワーカーを中学校区に最低一名以上配置するなど教育の面から子どもの教育費や生活の心配をなくす手立てをとるようにします。震災によって親を失い、孤児となった子どもへの支援の体制を拡充します。
学校再建・教育条件整備の全額国負担――震災・津波など大規模な災害の場合、学校再建を全額国の負担ですすめるようにします。また、機械的に「原状復帰」という法令に固執せず、地元の要望にもとづいた再建を可能にします。震災に乗じて行政が学校統廃合を一方的に進めることに反対します。私立学校や専修学校・各種学校の再建や修繕も公立学校と同様の措置をとるようにします。
被災地教員加配、被災児童生徒就学援助支援事業の継続――災害公営住宅への転居など住環境や家庭の経済状況の変化は子どもの心に大きな影響を与え、不登校の増加もふくめ、困難を抱える子どもが増えています。原発事故のあった福島県では、多数の子どもが他県に避難するなどより困難な状態が続いています。被災地の教員加配、就学支援事業を、実際に復興が終わるまで継続、拡充します。子どもの「学力テスト」の点数アップをもって教育上の震災復興とすることは間違っています。深く傷ついた子どもの心に寄り添った教育とケア、そして震災体験をくぐりぬけた豊かな学びこそが震災復興の教育です。
原発と被曝についての科学的な教育の保障――自公政権は2002年から、原子力発電所立地を目的とするエネルギー特別会計を使っての偏った原発推進教育をすすめていました。すでに「原発安全神話」が書かれた副教材「わくわく原子力ランド」等はわが党の追及で「見直し」となりましたが、それにかわって発行された副教材も、原発事故や安全神話への反省がなく、放射能や被曝の過小評価を子どもに与えるような内容となっています。こうした原発推進教育の影響を一掃して、原発や被曝に関する科学的な教育が自主的にとりくめるようにします。
校則を子どもの尊厳と基本的人権の視点から抜本的に見直します
「下着や靴下の色は白」「ツーブロック禁止」などの校則のあり方が社会問題となっています。子どもの尊厳と基本的人権にかかわる問題であり、教育に必要な子どもと教職員の信頼関係を損なうことも憂慮されます。
日本共産党は今年、校則アンケートを実施し、中高生・保護者・教職員・市民約3,000人の声を聞きました。中高生は、頭髪や服装などを細かく指定する校則について「監視されているようで窮屈」と訴えています。回答した保護者・教職員・市民の九十数%が校則の見直しに賛成でした。今こそ、校則の抜本的な見直しに踏み切る時ではないでしょうか。
子どもの尊厳と基本的人権の尊重を、校則に関する国の基本姿勢とします
子どもの権利条約は「学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる」(28条2)と定めており、欧米の校則には基本的人権に属する服装や頭髪への規制がほとんどありません。
ところが、文部科学省の生徒指導に関する基本文書『生徒指導提要』は、校則や学校の規律に関して、子どもの尊厳や人権には一言もふれていません。校則を「社会規範の遵守」と位置づけ、校内規律に関する指導の基本を「規範意識の醸成」としています。これでは人権を著しく制限する校則でも、"規範だから遵守させよ"と言っているようなものです。『生徒指導提要』も改め、子どもの尊厳と基本的人権の尊重を、校則に関する国の基本姿勢とします。
教職員と子ども、保護者の話し合いで見直しをすすめます
校則は子どもの人権にかかわる性格を有すると同時に、教育活動の一環です。各学校での具体的な見直しを、憲法や子どもの権利条約もふまえて、教職員・子ども・保護者が話し合ってすすめることを大切にします。