【ゲーム×医療 論文紹介】スーパーマリオ64が脳の可塑性を誘発させる

簡易要約

記憶を司る海馬などの増加が増えたことがみられました。ゲームで、脳を活性化するという話は昔から、言われていますが、それに関するエビデンスともいえそうです。

注)この記事は、論文の要約になります。そのため、少し難しい表現もあります。

要約

1日30分以上2ヶ月間スーパーマリオ64をプレイすると、右の海馬体、右背外側前頭前野、両側小脳で灰白質の増加が見られたことが、ドイツのCenter for Lifespan Psychology のS Kühnらによって報告された。
2013年の10月にnatureに投稿された論文。

方法

参加者
インターネットや広告によって48人の参加者が集められた。ビデオゲーム群では、スーパーマリオ64が割り当てられ、2ヶ月間毎日30分以上プレイするように指示された。

対象群では、特にタスクは与えられなかった。MRIでの撮影により、GMの絶対量(体積)の領域差を測定した。

結果

  • 時間×群の交互作用を示すクラスターを求めてGM体積の全脳解析を行ったところ、右海馬体、右背外側前頭前野、両側IV,V,VI小葉にまたがる小脳に有意な交互作用が認められた。

  • 事後検定のt検定の結果、右背外側前頭前野の灰白質体積はビデオゲーム群で明らかな増加を示し(t(46)=2.31, P< 0.05)た。

  • テスト後(2ヶ月のゲームプレイ後)では、ビデオゲーム群と対象群の間に有意差t(46)=2.28, P< 0.05が認められた。

  • また、海馬体ではt(46)=2.95, P< 0.01、小脳ではt(46)=2.11, P< 0.05と、テスト後に有意差が認められた。

考察

ナビゲーションの領域では、曖昧なナビゲーション情報の受信時に右外側前頭前皮質が動員されることが示されていた。
これは、スーパーマリオ64のゲームの特性である、参加者が画面上部の一人称視点の情報と画面下部の俯瞰視点での情報を統合する必要がある状況から生じる可能性がある。

限界

対象群に対しても、ビデオゲーム群に似た機会を渡すことで、ゲームプレイそのものでなく、ゲーム機器が効果を発揮した可能性を排除できる可能性がある。

原著論文

Kühn, S., Gleich, T., Lorenz, R. et al. Playing Super Mario induces structural brain plasticity: gray matter changes resulting from training with a commercial video game. Mol Psychiatry 19, 265–271 (2014).

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?