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日本の歯科治療における現実


歯のトラブルが非常に多いことは、2011年の歯内療法学会誌の中で示された調査結果によってもわかっています。

その調査では、歯の根の治療に関する患者データをたくさん集めて分析しました。

すると、根管治療を行なったあと、同じ歯が病気に罹患している患者の割合は平均で60%程度だったというのです。

つまり、「日本の平均的な歯科医院での根管治療は、半分以上は失敗している」ことになり、患者さんの半分以上は治療のやり直しを余儀なくされていることになります。

しかも、これは遠い過去のことだけではなく、政府が公表している2018年のデータでも状況はほぼ変わっていないようです。

ちなみに、歯髄(歯の中の血管や神経、結合組織)を抜く処理を抜髄処置(根管治療の一つ)と言いますが、専門医制度のあるアメリカでは、その成功率は9割以上です。つまり、失敗は1割以下です。

その理由は、質の高い教育を受けた技術の高い優秀な専門医が揃っているということだけではありません。

アメリカでは、抜髄処置のために科学的に必要とされる環境を整えることが可能だからです。その結果、成功率は9割に至るのです。

しかし、日本の歯科医院の場合は、たとえ技術があったとしても、こうした環境を整えるのは難しいかもしれません。

参考文献
「あなたの歯の寿命、大丈夫ですか?歯医者さんとの賢い付き合い方」
著・石井宏
発行・コスモ21

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