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歯をなるべく削らない治療法について

多くの方は虫歯で歯を削って詰め物をした経験があると思いますし、あのキーンとした ドリルの音や歯に伝わる振動が苦手という人も多いのではないでしょうか。


しかし、音や振動もいやなものですが、実は一度歯を削って詰め物を詰めると、

詰め物と歯との境から虫歯が再発するリスクが
高くなり、歯の寿命を縮めることになる場合も
あるのです。


このため、痛みが強い場合や削らないと治せない大きな虫歯を除き、最近は出来るだけ歯を削らずに虫歯を治す『MI治療』という治療方法が行われるようになってきました。

歯をなるべく削らない治療法『MI治療』とは?


『MI治療』の ”MI” とは、ミニマムインターベンション(Minimum Intervention)の略で、直訳すると『最小限の干渉』という意味です。

つまり 『MI治療』 とは、『出来るだけ歯を削らないで治療する』という意味です。


従来までの虫歯治療では早期発見、早期治療が基本で、小さな初期の虫歯を見つけると削って銀やプラスチックの詰め物をする治療が行われていました。

ところが、そのような治療を行った結果、多くの方が虫歯が無い健康な歯を維持できたかと言うと、必ずしもそうではありません。

むしろ、虫歯を削って詰め物をしたことによって、
歯の寿命を短くしてしまった方も少なくないのです。

では、その歯を失うパターンを詳しく見ていきましょう。


従来までの虫歯治療をした歯のライフサイクル




従来までの虫歯治療は早期発見、早期治療が基本でしたので、小さくても虫歯を見つけたら、とにかく削って詰める治療を行っていました。

●6歳
大人の最初の歯は、6歳前後に生えてきますが、生えて間もない歯はとても柔らかいので、虫歯になりやすく、虫歯予防が大切です。

●6歳~
虫歯の早期発見、早期治療で、小さな初期虫歯を削って金属や プラスチックの詰め物をします。

●16歳~18歳前後
詰め物が取れたり、詰めた箇所から虫歯が再発したり、詰め物の 周りが欠けたりして、再び虫歯治療で歯を削り、金属の詰め物が 大きくなります。

●25歳前後
詰め物が再度取れたり、詰めた箇所から虫歯が再発したりして、 再び虫歯治療で歯をさらに大きく削り、もっと大きな金属の詰め物になります。

●35歳前後
歯がしみたり、再度詰め物が取れたりで、神経を抜き、歯を全体的に削って被せ物になります。

●45歳~50歳前後
被せ物が取れて歯科医院へ行くと、もう治療が出来ないので、抜歯になると言われ、歯を失います。
このように歯を削ると、歯の寿命が短くなる傾向があることから、痛みが強い場合や削らないと治せない大きな虫歯を除き、最近は出来るだけ歯を削らずに虫歯を治す方向に歯科治療技術は進んでいます。

虫歯を削らないで殺菌する歯を削らない治療法

ドックベストセメント治療



ドックベストセメント治療は、セメントに含まれる鉄(Fe)イオン銅(Cu)イオンのコンビネーションによる殺菌力により、虫歯を除去しないで、無菌化する治療方法です。
虫歯を完全に除去すると神経まで達してしまい、神経を抜くことになってしまう時などにドックベストセメント治療を行うと、

神経を抜かないで済む確率が高くなります。


また高温のプラズマにより、

痛くなく麻酔も必要ない状態

で健康な歯を傷つけることなく、虫歯のみを除去できるプラズマレーザー治療機ストリークを併用すると、より確実な治療効果が短期間に得られる場合があります。

●ヒールオゾン治療


ヒールオゾン治療は、塩素の7倍と言われるオゾンの高い殺菌力を利用して、虫歯菌の殺菌を行う治療方法です。

ヒールオゾン治療では、

初期虫歯であれば、虫歯をほとんど削らずに治療でき、虫歯や歯周病の予防も可能です。

虫歯のみを除去する歯を削らない治療法

プラズマレーザー治療『ストリーク』

プラズマレーザー治療 『ストリーク』は、高出力レーザーと特殊な酸化チタン溶液から作り出される高温のプラズマにより、

健康な歯を傷つけることなく、虫歯のみを除去する
最新治療です。

また上記のドックベストセメント治療と併用することにより、より高い治療効果が期待できます。


高温のプラズマと聞くとなんだか怖いイメージですが、酸化チタン溶液水の冷却効果によって、患者さんはほとんど痛みを感じることがないため、

ほとんどの場合、麻酔も必要なく、どなたでも
治療が受けられる
ような患者さんに優しい安全な
治療です。

歯の耐酸性を増して歯質を強化する歯を削らない治療法

プラズマレーザー治療『ストリーク』


歯の表面では、歯が酸によりエナメル質が溶け出す「脱灰(だっかい)」と、唾液が歯のミネラルを補給する「再石灰化」という自然の修復メカニズムが日々繰り返されています。

ところが、このメカニズムのバランスが崩れて、脱灰の方に傾くと、

再石灰化が追い付かなくなり、虫歯になってしまいます。

プラズマレーザー治療機器 『ストリーク』 は、高出力レーザーと特殊な酸化チタン溶液により高温のプラズマを作り出し、その熱エネルギーによって歯の表面のエナメル質や内部の象牙質の耐酸性を高めることが出来るため、

脱灰が起きにくい強い歯質にすることが可能です。

歯を再石灰化させて強化する歯を削らない治療法

MIペースト

MIペーストは、私たちの歯の構成成分であるカルシウムリンのミネラルを豊富に含む薬用ペーストで、

歯の再石灰化を促進させ、歯を強化する働きがあります。

MIペーストを歯磨き後に毎日使用すると、

初期虫歯であれば、その再石灰化作用により、ある程度の治療効果も期待できます。

歯を削らない歯の白い斑点(ホワイトスポット)の治療法

ホワイトスポット治療


歯の白い斑点ホワイトスポット治療 ホワイトスポットには、歯の表面のエナメル質が酸性になることによって、エナメル質のカルシウム成分が少なくなり、脱灰という虫歯の初期症状を起こして、白濁してしまうものと、エナメル質形成不全という歯ができる時に起こる白濁の2種類に分類されます

従来までのホワイトスポットの治療法は、白い部分を削ってプラスチックで詰めるか、カルシウムを補う歯磨き粉を使用して、時間を掛けて自然治癒を待つなどの方法しかありませんでした。

しかし現在では、

初期虫歯とエナメル質形成不全のホワイトスポットのそれぞれに、削らないで治療する方法があります。

歯を削らない4種類のブリッジ治療


ウェルデンツ


一般的なブリッジは歯が無い部分の両隣の歯を大きく削って、繋がった被せ物により作られていますので、場合によっては健康な歯を削ることも多々ありました。

しかしウェルデンツは

入れ歯のようにバネで固定するタイプですので、両隣の歯をほとんど削ることなく製作が可能です。

接着性ブリッジ

ウェルデンツとは別の素材を使用した、

取り外しではなく、固定式の歯を削らないブリッジです。


取り外しではないので、見栄えや使い勝手は良いですが、基本的には

前歯と小臼歯(前歯から数えて4番目、5番目の歯)が適応症になります。

3DRブリッジ


歯を削らない取り外せるブリッジ、3DRブリッジは、一般的なブリッジのように周りの歯を削ったり、インプラントのように顎の骨を削ることなく、

しっかりとした噛みごたえを実現できる最新式のブリッジです。


また、従来までの一般的な入れ歯と違い、

人口の歯茎がないため、違和感もかなり少なくなり、口の中では周りの歯にしっかり固定されますので、食事中に動く事がなく、しっかりとした噛みごたえを実現できます。


ヒューマンブリッジ


ウェルデンツに比べると、ヒューマンブリッジは

歯の表面をわずかに削って浅い溝やくぼみを作る必要がありますが、取り外さない固定式のブリッジを作ることが可能です。

歯にとって一番大切なエナメル質を残してブリッジを作ることが可能なため、

歯へのダメージが少なく、将来的にブリッジの下が虫歯になるリスクも低くできます。


また、

骨の量や全身疾患、手術が怖い、期間が掛かるなどの理由でインプラントが出来ない方、入れ歯の見栄えや噛み心地に満足できない方などにも応用可能です。


この記事が少しでも皆さんのお役に立てたら幸いです。

今日も素敵な一日をお過ごしください。

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