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Nintendo Switchなどの5.1chサラウンド音声を再生・録画・配信できる環境を作ろう!

この記事は、Streamer Advent Calendar 2024 12月8日の記事です。
前日の記事はドロップアウトボーイさんによる「DOB的、オフイベントの楽しみ方」でした。私は割と受け身で会話するタイプなので首がもげるほど頷きながら読ませていただきました…!

今回の記事は、いつかまとめようと思いつつ全く書いていなかった「Switchなどの5.1ch音声を再生・録画・配信できる環境」についてです。
実は8月にAVアンプとサラウンドスピーカーシステムを買ってしまいまして…結果、私の環境ではヘッドホン・スピーカーどちらもサラウンドかつ録画配信もそれでできる環境が整いました。
それを紹介しつつ、実は難しいサラウンド環境の話を書ければと思います。

サラウンドって何?

スピーカーやヘッドホンの形式の一つで、モノラル(1ch)・ステレオ(2ch)と同じチャンネル数の名称です。映画などで馴染みのある方もいるのではないでしょうか。
音のチャンネル数が他より多いことから音に包み込まれるような体験ができ、ゲームでもそれは臨場感や対戦時の音の方向による索敵などに役立ちます。例えばSplatoonシリーズは(BGMデカいけど)イカ移動の音・方向がわかったり、モンハンでは味方が武器をふるう音・回復音などがキャラのいる方向からリアルに聞こえてきます。

サラウンドにも5.1chと7.1chがありますが、SwitchやWiiUはHDMIでのみリニアPCMの5.1ch音声を出力できます。
小数点で1がついているのはサブウーファーというスピーカーが1つあるという意味で、これは他のスピーカーからは出せない迫力ある低音を担当します。(ステレオにサブウーファーを追加した2.1chのスピーカーも市販されていたりします)

筆者が買った5.1chのAVアンプ(AVR-X580BT)。3~4万円だがこれでもエントリークラスらしい…
(沼の気配)
5.1chの配置図(実際はこれにサブウーファーが追加される) Denon公式サイトより引用

Switchの出力形式の面倒さ

上記の文章でサラッと書きましたが、Switch/WiiUがサラウンド音声を出せるのはHDMI、かつリニアPCMというフォーマットのみです。
なのでSwitchにUSBやイヤホンジャックで繋ぐタイプのヘッドホンに書いてありがちな"サラウンド対応!"は嘘っぱちです…
しかもこのリニアPCMというのが非常に厄介で、Switchのサラウンド環境を構築する際の足枷となっています。

リニアPCMとは何か?

私も完璧に理解しているわけではありませんが、俗に言う「非圧縮音源」です。伝送上で圧縮などを行っていないため音質が劣化することなく再生機器に伝わります。
が、反面圧縮していないためデータ量が多く、ステレオまではともかくチャンネル数の多いサラウンドになると伝送量は相当に増えてしまいます(音声のファイル拡張子に.wavファイルというのがありますが、これはリニアPCMをそのまま記録したもの)。
そのため、昨今のハードではDolby Atomosなどで圧縮して伝送することが多く、それに対応した音声分離機などの専用機器も多いのですが…任天堂ハードはそれに対応していません。技術的な問題か、はたまたライセンス料の問題か…(64,GC等の過去ハードではDolbyのサラウンド技術を使用したタイトルもある)

Switchをテレビで使っている方は、テレビにARC(オーディオリターンチャンネル)という設定項目がある方もいるのではないでしょうか?
これは一度テレビ側でHDMIの音声を受けて、そこからテレビにHDMI経由で繋がっているオーディオ機器に音声データを送って再生してもらう機能です。
が、これもまたSwitchは非対応です。というか、ARC自体がリニアPCMの伝送をサポートしていません。後継であるeARC(エンハンスド・オーディオリターンチャンネル)であれば可能です。
(そもそも論としてゲームするのなら少なからず遅延のあるテレビはおすすめしませんけどね…いや最近はゲームモードあるやつも多いか)

Sony公式サイトより引用

ではどうすれば?

ここまで書いてどれだけ伝わっているのか定かではありませんが、とにかくSwitchのサラウンドは面倒です。スピーカーで再生するだけならAVアンプを挟めばよいのですが、録画配信・ヘッドホン出力まで考えだすと…
では、そのサラウンド音声を(スピーカー&ヘッドホンで)再生・録画・配信するにはどうしたら良いでしょうか?

・リニアPCMの5.1chに対応した機器を使う

これに尽きます。大体の場合対応しているAVアンプを除いて、キャプチャーボード・ヘッドホンなどを調達しましょう。

HDMIキャプチャ

対応キャプチャーボードは列挙できるほどしかないので以下に書いておきます。()内は接続方式です。

Avermedia
・GC573(内蔵)
・GC570D(内蔵)
・GC555(Thunderbolt3)

BMD Blackmagic Design
・DeckLinkMini Recorder HD(内蔵)
・UltraStudioRecorder 3G(Thunderbolt3)
・DeckLinkMini Recorder 4K(内蔵)

Human Things
・Genki ShadowCast 2 Pro(USB)

内蔵型のキャプチャーボードはAvermediaの4K対応のものから、Recorder 4K以外はフルHDで比較的安価なBMDまで販売されているものがあります。

内蔵が厳しい方は外付けを選ぶしかありませんが、Thunderbolt3を使える環境は多くないので…必然的にShadowCast 2 Proを選ぶしかなさそうです。
(※追記:GC553G2はリニアPCMの5.1chをサポートしていないらしい...😱)

ヘッドホン

上記キャプチャーボードでPCに取り込めれば、ヘッドホンの接続方式は割と選択肢が出てきます。遅延が気になる?内蔵のキャプチャーボード買ってください…

さて、ヘッドホンは正直お好みで選んでください…(もったいないけど)バーチャルサラウンドも手です。
というのも、ヘッドホンで本当にサラウンド(リアルサラウンド)を実現している物はほぼ廃盤になってしまっています。なぜかって?以下の画像を見てください。

Razer Tiamat 7.1 v2

これは私も使っている、Razerが出していたTiamat 7.1 v2の写真です。
このように、リアルサラウンドヘッドホンには音のチャンネル数だけそれぞれのスピーカーが内蔵されています。

…必然的に重くなります。

チャンネル数が増えれば端子も増え、またそれに関する(詳しく知りたい人はバスリダイレクトで検索)設定も増え…と、接続が簡便で(たとえ紛い物だとしても)サラウンドっぽく聞こえるバーチャルサラウンドに淘汰されかけているわけです。

そんなわけで、リアルサラウンドヘッドホンで新品が現存するのはこれだけになってしまいました。これからも末永く売っていてくれBUFFALO…

例え中古でも良いからリアルサラウンドヘッドホンが欲しい!という人はキッチリまとめてくださっている方がいたのでこちらの中から探すと良いかも。

個人的に理想の環境

ではここで、私が考えた理想の環境の発表をしたいと思います。
モニターへのHDMIのパススルーなど、直接関係ない配線は図から省いています。

まずは理想の環境。というか私が使っている環境です。

キャプチャーボードの前にAVアンプを通してサラウンドスピーカーを鳴らし、パススルーでキャプチャーボードに入力しています。ヘッドホンはAvermediaの公式録画ソフト(Recentral4)のプレビューから音を出して解決しています。最近のAVアンプとGC573、ホントに遅延ないレベルなんですよね…!

AVアンプを省く

今回の趣旨からは少し外れますが、もし置き場所がないなどの理由でサラウンドスピーカーが必要ない場合、AVアンプの部分を省くことでかなり節約できます。
また、(5.1chではありませんが)サラウンドヘッドホンの接続に使うPCのバックパネルのイヤホンジャックにステレオスピーカー×2を接続することで4chサラウンドを構築できます。
足りないチャンネルの音声はダウンミックスされるので、どこかの音が欠けることもありません。

OBSの設定、配信サイト側の対応状況

多くの配信者が使っているOBSも、しっかりサラウンド音声に対応しています。

設定→音声→チャンネルから5.1を選択

この設定をした際には必ずOBSの再起動が求められます。
また、黄色文字で書かれている通り、配信サイトによってはステレオまでしか対応していないケースがあります。
とはいえ以下の公式ドキュメントを見る限り、youtube、twitchといった大手は対応している感じですね。

まとめ

・サラウンドは環境構築が大変だが、音に包まれる感覚が最高
・キャプチャーボードさえサラウンド対応であれば、PCを経由して意外と色々な音声出力機器が使える
・スピーカーが余っている人は4chサラウンド、お試しあれ
・次世代機はもっと楽にサラウンドにできたらいいな…

多忙では無いはずなのに全く記事を書けておらず、かなり拙い感じになってしまいました…
Switchでサラウンド対応しているタイトルは意外と多く、スプラやティアキンはサラウンドで遊ぶとまた違った世界が見えるのでとてもおすすめです!
今からキャプチャーボードを買うそこの貴方、サラウンド対応のキャプチャーボードを買ってみませんか?

Streamer Advent Calendar 2024 明日の記事はリプトン(適当君)さんによる「『配信視聴者』から『イベント物販スタッフ』『切り抜き動画担当』『ニコニコ超会議ブース出展』『企画動画の編集者』になるまで」です。
ニコ超ブース出展…!すごい人がアドベントカレンダーにいる…!
明日の執筆者にバトンを渡し、この記事を締めたいと思います。
それでは。

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