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【マッチレビュー】ベティスVSレアル・マドリード

 皆さんいかがお過ごしでしょうか?

 ラ・リーガ第3節のベティス戦。ベニート・ビジャマリンでのアウェーゲームです。ベティスは今シーズン、EL(ヨーロッパリーグ)に出場し、古橋選手のいるセルティックとも対戦します。ペジェグリーニ体制2年目で、一筋縄ではいかない相手です。

 私はマドリディスタなので、今回もマドリー目線でマッチレビューを行います。また、戦術に関しては勉強中なので、戦術に関心のある人は他の人のマッチレビューをご覧になってください。

試合結果

 主審はラ・リーガでお馴染みのエルナンデス・エルナンデスで、両チーム合わせて9枚のイエローカードが出ました(試合が荒れていたわけではありません)。また、カゼミーロがエルナンデス・エルナンデスにスライディングタックルするという珍事もありました(故意ではないので、お互いに笑顔で握手して終わりました)。
 試合は、アウェーのレアル・マドリードが1-0で辛勝しました。

ベティス vs レアル・マドリード  0 - 1

スターティングラインナップ

 今節も変わらず、4-3-3です。中盤の構成は前節と同じです。前節2ゴールのヴィニシウスがアザールに代わって、左WGに入っています。また、ナチョがケガしたので、アラバが左CBに入り、左SBには、マドリーのカンテラ育ちのミゲルが入っています。そして、前節の後半途中から復帰したカルバハルが右SBに入っています。
 今節も、モドリッチとクロースがいない中で、どのように攻撃を組み立てるかが課題となります。また、昨シーズン終盤から、トップチームに合流し、素晴らしいプレーを見せた左SBのミゲルがどこまで出来るのか、そしてアラバはCBとしてどんなパフォーマンスをするのかにも注目です。

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ベンチ
GK ルイス・ロペス
   フイディアス
DF バジェホ
MF ルカス・バスケス
   ブランコ
FW アザール
   アセンシオ
   ヨヴィッチ
   ロドリゴ
新型コロナ
ルニン

ケガ
ナチョ・フェルナンデス
マルセロ
マンディ
クロース
モドリッチ
ダニ・セバージョス

ベティスの布陣

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 ペジェグリーニ監督率いるベティスは4-2-3-1のフォーメーションを組んできました。ベティスの生きる伝説ホアキンはベンチスタート、東京五輪にメキシコ代表で出場したライネスはケガでベンチ入りしていません。新戦力のGKルイ・シルヴァはEUROでも活躍したポルトガル代表の正GKです。

【前半】ベティスのボール保持

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 ベティスのボール保持に対して、マドリーは前線からプレッシングに行かずに、ブロックを形成します。マドリーの両WGは相手のラテラルを伺い、バルベルデとイスコの両インテリオールは相手ピボーテに付いています。このときのベティスのボール保持で注目してほしいのは、カゼミーロがマークする相手がいないことです。

 ベティスの狙いは、カゼミーロを無効化することです。ベティスはボール保持時に、CFのフアンミとトップ下のカナーレスがカゼミーロの周辺まで落ちることはせず、両ピボーテもイスコとバルベルデの背中を取ろうとはしないため、カゼミーロがつく選手がおらず、ボールを狩ることができません。そのため、ベティスのディフェンスラインやサイドでベティスの数的優位が生まれます。おそらく、アンチェロッティがバランスを重視し、カゼミーロを前に釣りださせないことを、ペジェグリーニは読んでいたのでしょう。
 そして、ベティスはカゼミーロを避けるかのように、サイドから数的優位を活かして前進します。そのため、ベティスがボールを支配する時間が続きます。マドリーはボールを奪う基準点が作れないために、ボールを自陣のかなり深い位置でしか奪えず、攻撃も少人数で散発的なものが多かった印象です。

 モドリッチとクロースの両者がいないマドリーの中盤はちぐはぐな印象が否めませんでした。特に、イスコはボールタッチが多く、攻撃のリズムが停滞気味になり、トップフォームでないため、ボールロストが目立ちました。クーリングブレイク後、イスコはより前のポジションでプレーしたことで、チームとしては流れや連携が改善されたと思います。その中で、前半唯一効果的だったのがフェデ・バルベルデです。

バルベルデの運動量

 フェデ・バルベルデの長所の1つとして、フィットネスの強さを活かしたダイナミックなランニングがあります。

ポケットへのランニング

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 バルベルデが落ちてきたベイルにボールを預け、自身は相手のディフェンスラインまで行きます。ハーフレーンで受けたベイルは相手のボランチとサイドの選手を少し引きつけ、サイドで優位な位置でポジショニングしているカルバハルにパスを出します。バルベルデがポケットに走り込み、そこにカルバハルがスルーボールを通します。バルベルデはクロスを上げますが相手に当たり、コーナーキックを得ました。

 縦のポジションチェンジとサイドを起点にして、相手の背後をとるという一連の崩しは、バルベルデとカルバハルのセットのときに今まで何回か見られてきましたが、もっと見たいプレーです。

ハーフレーンでの推進力

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 大外でミゲルがボールを受けますが、相手のWGが前からプレッシングに来ています。平行気味で受けようとするイスコは、窮屈であることを理解し、前のスペースに走りこみます。ミゲルは中へドリブルし、バルベルデへパスを出します。ベイルとカルバハルが大外のレーンに立っているので、バルベルデがボールを受けたハーフレーンががら空きです。
 ここで、バルベルデはペナルティーエリア前まで一気にドリブルでボールを運びます。最後は、カルバハルにパスし、カルバハルがクロスを上げ、コーナーキックとなりました。
 ベンゼマは左寄りにポジショニングすることが多く、右WGが大外のレーンに立てば、バルベルデがハーフレーンでドリブルするスペースが空きます。第1節のアラベス戦も、このコースをバルベルデがドリブル突破したことで、3点目が入りました。

 ただ、この2つのプレーは、1回しか見られませんでした。攻撃のオプションの1つとしては面白いと思うのですが、再現性のあるプレーではありませんでした。

後半からの修正

 後半開始からの一番の変化は、マドリーの前からのプレッシングとハイラインです。前半マドリーは、ボールを奪われると、引いてブロックを形成し、かなり重心が低くなっていました。アンチェロッティは、後半開始から、チームの重心を高くし、押し込む展開へ持っていきました。

 その効果は、後半開始早々に現れました。ベンゼマが相手GKまでプレッシングに行き、両WGも相手CBを見て、カルバハルとミゲルが相手のラテラルまでついていき、結局カゼミーロがボールを回収しました。そのままショートカウンターからベイルがクロスを上げ、ベンゼマがヘディングシュートという惜しいシーンがありました(オフサイドでしたが)。

 その後も、マドリーは前でボールを奪い、人数をかけて攻撃し、相手を押し込んだことで、相手のクリアも拾い、2次3次攻撃に繋げました。アンチェロッティの修正力は流石だなと感じました(前半から押し込んでほしいところではありますが)。

1点目(61分)カルバハル

 ゴール前での2対1という大ピンチからミゲルがパスカットし、そのままドリブルでボールを運び、イスコに渡す。左の大外のレーンにベンゼマが立ち、イスコは自分と同じレーンのヴィニシウスにパスし、ヴィニシウスがそのまま縦にドリブルするが、ゴールラインのギリギリで斜め後ろのベンゼマへパス。ベンゼマは中へドリブルし、逆サイドに上がってきたカルバハルへ絶妙なクロスを上げ、カルバハルがスライディングボレーでゴール。

 ベティスがホームで攻撃的に、オープンな展開で攻めたことによる恩恵をマドリーが受けた得点です。
 マドリーが押し込んだところから、カウンター気味に、ボールがフアンミに渡ったところからです。フアンミはミリトンとアラバをなぎ倒し、ゴール前で2対1の状況を作りますが、ミゲルにパスを読まれてしまいます。

 カウンターからのカウンターなので、カルバハルは上がってきたと言うより、やや攻め残っていたと言う方が正しいかもしれません。クロスを合わせるカルバハルのシュート技術も、ベンゼマの空間的な認知とクロス精度の高さも、どちらも一級品でした。
 1プレー1プレーの技術の高さを観れるのが、私がマドリーのフットボールが好きな理由の1つにあります。

押し込むベティス

 マドリー先制後、ベティスが押し込み、マドリーが引く展開となりました。昨季までのジダンマドリーでは、このまま引いて勝つという手堅い(あるいは退屈な)試合をしていましたが、アンチェロッティは、攻めの姿勢を選手に促しているように見えました。
 ただ、ベティスはホームですから、長身のボルハ・イグレシアスを投入し、攻勢に出ます。本来は、こういう状況では、モドリッチやクロースが落ち着かせるように、ポゼッションをすることで、マドリーの流れになるのですが、両者ともいないので、ベティスの攻撃に耐えることになります。

 ゴール後、イスコに代わってアセンシオ、ベイルに代わってルーカス・バスケスが入りました。ただ、インテリオールに入ったアセンシオは、ボールを保持するよりも、攻める(仕掛ける)ことの方が好きなタイプなので、サイドチェンジを含む大きな展開で相手を揺さぶることはできませんでした。

 後半終了間際に、危ないシーンがありましたが、今季初めてのクリーンシートとなりました。ベティスの攻撃があまり迫力がなかったこともありますが、ミリトンとアラバは終始安定したプレーを見せていました。

ミゲルとアラバの躍動

 ミゲルは相手のプレッシングに対して、中へドリブルして、相手のプレスを回避していました。ボールロストが少なく、良いクロスボールも上げていました。もっと積極的に仕掛けてもいいと思いますが、十分な仕事をしたと思います。マンディが帰ってくれば、出場機会が減少するかもしれませんが、貴重なカンテラーノなので応援しています。

 一方、アラバはバイエルン仕込みのフィットネスで、1対1の強さを見せ、予測に基づく賢いポジショニングで、素晴らしいカバーリングを見せました。緩慢なトランジションとカバーすべきスペースの広大さにアラバは驚いているかもしれませんが、これがマドリーです。
 まだ、ジェラール・モレーノ、イアゴ・アスパス、エンネシリのようなラ・リーガ屈指のアタッカーとマッチアップしていないので、まだ評価を下すことはできないですが、中堅以下のクラブならアラバのCBは問題ないかもしれません。

総評

 インターナショナルウィークを前に勝ち点3が取れたことが一番の収穫です。終わってみれば、アウェー3連戦を2勝1分けの勝ち点7で終えるという上々の結果です。次節は改修したベルナベウでのセルタ戦です。前線のタレント力がリーグ屈指です。マドリーの守備力が問われる試合になるかもしれません。

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