「Scene Investigators」DEMOの感想とネタバレ
公式の説明いわく「演繹推論ゲーム」「いわば本気な事件捜査ゲーム」。超能力も未来的ガジェットもない探偵役となり、事件現場を状況証拠から読み解く。デモをプレイしたら楽しかったので発売が楽しみ。デモでは行けない部屋など制限はあるものの、一つの事件の被害者と加害者、そして動機を知ることが出来る。
最初に提示される質問文。1)誰が5番の椅子にすわっていましたか? 2)誰が2番の椅子に座っていましたか? 3)クララのいとこは誰ですか? 4)誰が死亡しましたか? 5)誰が殺人犯ですか?
部屋の調査を終え、この質問に回答すると何問当たっているか表示され終了。初回では想像していた事件の構図が的外れで、2/5だけ当たった。
手がかりから推理(以降からネタバレ)
質問文はローテーブルに置かれているノートパソコンから見ることが出来る。パソコンの画面から抜けると、まず最初にテーブルの上に置かれている手紙に目が行く。プレゼントの大きな箱に添えられたものだ。手紙から読み取れる情報は「手紙を書いたのはジェイクで、クララに宛てられた」「クララにはヘンリーというパートナーがいる(彼氏?夫?)」「クララの誕生日を祝っての手紙」「ジェイクはかつてアルコール依存症だったが、クララの支えもあり克服した」。
本編開始前の説明文によれば事件現場は「ディナーパーティー」が開かれていたという。クララの誕生日会として食事会が行われた?
ダイニングテーブルには5人分の食器、そしてわかりやすく数字のふられた椅子がある。左奥が1番。1番だけ皿が汚れておらず、急遽欠席となったか。2~5番の4人が食事を終え、ワインを楽しんでいたときに事件は起きたようだ。2番と3番の間で誰かが倒れ、そのまま亡くなったらしく、チョーク・アウトラインが描かれている。
ダイニングテーブルそばのゴミ箱付近に一枚のレシートが落ちている。2003年2月14日に「ファンタジー アムール」の駐車場を利用したというものである。なんのお店だかは書かれていない。
玄関のそばにはゲストリストがある。お客として招かれたのはジェイク、エドウィン、ジェニーの三人。ジェイクは先ほども名前が出た元アル中の人。エドウィンとジェニーはここが初出。ホストは恋人or夫妻であるクララとヘンリーだろう。これで5人全員の名前がわかった。
チョーク・アウトラインへ近づく。被害者は吐血したようだ。あるいはワインを噴き出した? 毒物を混入され、死に至ったのだろう。とすれば、死者が座っていたのはグラスの派手に倒れた3番席? 3番席のポジションは俗に言うお誕生日席である。被害者は誕生日を迎えたクララの可能性が高い。
ワイングラスには口紅が付着している。被害者は少なくとも女性。
キッチンカウンターに手帳が置かれている。表紙には2003と書かれている。先程のレシートといい、事件当時が(多分探偵が推理している当時も)2003年なのだろう。クララの誕生日について記されており、日記の主はクララではないらしい。本人だったら「私の誕生日」といった表記が自然。日記の主は2月14日にどこかへ電話をかけ、3月13日に「リチャードソン医師」の予約を取った。手帳の主は体に気になるところがあるのだろうか。
手帳の横には財布がある。ヘンリー・ギブソンという男性の免許証が入っており、持ち主はヘンリーだろう。他に、エドウィン・ブリッグスという弁護士の名刺がある。また、中絶クリニックの名刺もあった。クリニックの医師の名前はテリー・チャールストン。
エドウィンの名刺があるのは弁護士としての彼に用があったからなのか、お誕生日会に呼ぶほどの関係だからその縁でもらっただけか。中絶クリニックの名刺はお誕生日会とは関係がなく、「ヘンリーが誰かに中絶を勧めるためコンタクトを取った」と考えられる。
冷蔵庫にメモが貼られている。誕生日会の用意についてホスト同士で伝言しており、クララからヘンリーへと思われる。「イトコはワインが飲めないのでオレンジジュースを出す」「エドは左利き」との情報。
ワインが飲めないといえば、単に好き嫌いとも思えるが「かつてアルコール依存症だったため避けている」と推測もできる。そうだとすれば「クララのイトコ=元アル中のジェイク」。「エド」は「弁護士のエドウィン」。
ワインではなく一人だけオレンジジュースを入れられている5番がジェイクの席。向かいの1番は、ナイフとフォークが左右反対に用意されており、恐らく欠席している、エドウィンの席。
玄関のそばに、女性もののショルダーバッグがある。中には「ファンタジーアムール」のマッチ。レシートの店だ。他に化粧品なども入っている。また「ニコチンパッチ」もある。バッグの持ち主の女性は禁煙中。
ヘンリーが持っていた中絶クリニックの名刺と結びつく。バッグの持ち主は妊娠したために禁煙した。そしてヘンリーは彼女に中絶を勧めている、と想像できる。誕生日会の場にいる女性はクララとジェニーの二人。どちらがバッグの持ち主なのか。中絶なんて踏み込んだことを勧める相手は、普通に考えればパートナーのクララだろう。でも、被害者=クララだとすれば、クララはワインを飲んでいたことになる。妊娠しても酒タバコを特に気にしない人もいるが、バッグの持ち主は禁煙を始めており、ならば酒も断つのではないか。
クララは妊娠しておらず、バッグの持ち主=ジェニーで、ジェニーが妊娠しているのではないか。ヘンリーが中絶を勧めたとすれば、ジェニーの経済的事情などを鑑みて友人として? あるいは不倫していて子供の父親がヘンリーだったり?
窓際の棚の中に封筒が入っている。宛先の名前は「クララ・ギブソン」。クララの名字はヘンリーと同じ。二人は同棲カップルではなく、結婚している夫妻だとわかる。
封筒の中身とおぼしき手紙も棚の中に入っている。母親からクララへの手紙。母はクララに離婚を勧めているようだ。「彼とのことはもう終わらせるべき」「あなたはもう十分耐えた」。ヘンリーには何か問題があった、周囲が離婚しろと言うほどの……DV・浪費、そして女癖が思いつく。ヘンリーは友人であるジェニーに手を出して妊娠させ、婚外子など欲しくないと中絶を勧めた?
玄関そばの棚の中にレストランガイドの紙が入っている。電話番号から、手帳の主が2月14日に予約連絡をしたお店が「ファンタジーアムール」だとわかる。当日予約でいいのなら超絶人気店というわけでもないようだ。
バッグの持ち主であるジェニーも行っていた店。彼女が行ったのは一人で? 不倫相手のヘンリーと二人で? 予約を入れたのはジェニーかヘンリーか、手帳の主はどちらか。
レストランガイドの棚の上にはカレンダーがある。4月22日はクララの誕生日、3月13日に医者の予約、2月11日~17日にクララがロサンジェルスへ。
ジェニーがレストランへ行ったとおぼしき2月14日はクララが不在。不倫カップルのヘンリーとジェニーが気兼ねなくいちゃつける日だったのか。とすれば、やはりレストランへは二人で行った? 2月14日にヘンリーがレストランに予約の電話をかけ、ジェニーと二人で食事に行き、ジェニーはレストランのマッチをもらった、という流れだろうか。
3月13日の医者の予約は手帳の記述と一致する。手帳の持ち主はヘンリーで確定。ヘンリーの財布のすぐ横にあることだしな。妻も見るカレンダーに堂々と書けるのだから、中絶クリニックなどの不倫関係ではなく、ヘンリーの持病かなにかの病院だろう。
キッチンのゴミ箱に薬の空き瓶が捨てられている。薬の成分の名前は架空かな? 薬を適用量以上飲み、更にアルコールも併用すると重度の肝障害が起きて嘔吐や内出血を起こすという。クララに仕込まれた毒物がこれか。処方した医者は「R・J・ハイス」。「R」が「リチャードソン」で、ヘンリーの主治医? ヘンリーが持病のために処方された薬を、誰かがクララに飲ませた。
誰がクララを殺したか。エドウィンは当日欠席or遅刻なので外れる。ジェイクには動機がない。アルコール依存の時に支えてくれたクララに感謝を寄せている。実は横恋慕して云々と妄想できなくもないが、そんなピースは無い。
クララを裏切り不倫していたヘンリーかジェニーが犯人と考えられる。薬の持ち主であるヘンリーは怪しい。でも、不倫夫が妻を亡き者にする理由は普通に考えれば「新しい女と結ばれたいから」 であり、ならば新しい女に中絶を勧めるだろうか。中絶を勧めたのは、ヘンリーが「新しい女」を切り捨ててクララとの夫婦生活の維持を選んだからだ。なのにヘンリーが妻を殺すだろうか。
ジェニーが殺したというのが自然ではないか。不倫相手ヘンリーの持病や薬の副作用を、聞かされたり調べたりで彼女は知っていて利用した。
並々とワインが注がれ、恐らく一口もつけていないだろう2番は、妊婦であるため飲酒を避けるジェニーの席。クララはきっとジェニーの妊娠を知らない。クララにとってジェニーは誕生日会に呼ぶほどの親しい友人で、ジェニーが飲める口というのは知っていた。妊娠を隠すジェニーは不自然にならないよう形だけワインを注いだ。
2番の向かい側、ワインが少し減っている4番は、ごく普通にワインを嗜んだヘンリーの席。本来なら1番でエドウィンもワインを飲んでいた。ジェニーはエドウィンには怨恨はないはずなので、彼まで巻き込もうとはしないだろう、ワイン瓶自体に毒を仕込んだのではなく、クララの食器や食事にのみ混入したと思われる。お誕生日会なのでメインのクララに給仕させず祝う側のジェニーが中心的に盛り付けなど行ったとしたらその隙はあった。
結論
1)5番の椅子に座っていたのはジェイク 2)2番の椅子に座っていたのはジェニー 3)クララのいとこはジェイク 4)死亡したのはクララ 5)殺人犯はジェニー
動機:ジェニーはクララの夫であるヘンリーと不倫し、妊娠した。しかしヘンリーは離婚してジェニーと再婚する気などなく、中絶を勧めた。ジェニーの憎悪はクララへ向けられた。
初回は「不倫が理由っぽいなー」と思ったが色々と手がかりを見逃して「クララが夫を殺したんじゃね?」と思ったが違った。
気になった部分。ジェニーの椅子が派手に倒れている。この場に殺意を持った者がいるなどと知らなかったジェイクやヘンリーの椅子だって乱れてはいるが、それでもジェニーの動揺が一番伝わる。多分、即死するとは思わなかったのだろう。「あんたもちょっとは苦しみなさいよ」と殺す気はなく嫌がらせしたい程度だったのか、明確に殺意があったかはわからないが、飲んだその場で死ぬのは想定外だったのだろう。
あるいは、お腹の子供を守ろうとして機敏に動いたのかもしれない。クララはジェニーの方に向かって倒れ込んだ。クララの体がお腹に当たってしまうかもしれないと、ジェニーは大きく避けた。……書いててこちらの方が正しそうな気がしてきた。
人物の顔も声もないのに良い意味で生々しく嫌な気分になれるデモだった。本編もやりたい。いろんな事件が登場するらしいが、この事件についてもデモでは開けられない扉の先にまだ拾われていないピースがあるのだろう。デモだけだと不倫被害者が逆恨みで殺されてクララ可哀想だよクララと思ったが、そこからどんでん返しもあるかもしれない。元々はヘンリーとジェニーの方がカップルだったのに寝取り婚して高圧的に振る舞う嫌な女クララという姿が見えてくる可能性も。どっちにしろヘンリーがダメ男なのは覆りそうにない。日本が舞台の事件もあるらしいので気になる。