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『Telling Lies』時系列順ネタバレあらすじと感想

前書き

Telling Lies』(テリングライズ)は2019年8月24日発売のゲーム。170個の細切れな、全部で8時間35分ある実写映像をワード検索によって探していき、4人の男女に何が起こったかを知っていくゲーム。

タグ付けした動画を時系列順に並べ直すこともできるので、もし今からプレイする人がいるなら、出てくる動画全て手当たり次第にタグ付けすることを勧める。

制作者Sam Barlowが2022年7月24日に新作『IMMORTALITY』をリリース予定。発売を前に、そういやTelling Liesってどんな話だったっけな~プレイしたのだいぶ前だったよな~と思い、再プレイがてら時系列順のあらすじを書いてみた。あらすじというか、エピソード列記でかなり長いので、もう少し短く知りたい人は下の方の「シンプルあらすじ」まで飛んでほしい。
以下からはネタバレまみれ。

登場人物整理(ちょっとネタバレ有り)

デイビッド・スミス
メインの4人のうち唯一の男性。
FBI捜査官で正義感に溢れているが、メサイアコンプレックス(ヒーロー願望)が強く、我に正義有りと確信すれば苛烈な行為に走る危うさがある。
ある任務のために自宅から2千マイルも離れた場所で潜入調査を行っている。普段は髭を剃っているが、潜入中は伸ばしている。任務中はファーストネームはそのままに、苗字はジョーンズミラーと偽っている。

エヴァ・マーティン
パーマがかった黒髪に、浅黒い肌の女性。19歳とまだ年若いが、過激派もいる自然保護団体「A2」の、比較的穏健な支部に所属。ヴィーガン。潜入捜査員であるデイビッドを同士と信じて恋人になる。団体に入ったのはただ特別な何かをしたかったというだけで、確固たる信念があるわけではなく、次第に団体の運動よりも家庭を持って平和に暮らすことを望む。

エマ・スミス
ブロンドの女性。デイビッドの妻。看護師。まだ幼い娘のアルバの育児と、認知症の母ローラの世話に追われている。夫の捜査内容について詳しく知らされず、夫の身を案じている。

ミシェル
ストレートの黒髪に、白い肌の女性。セクシーな衣装を着て扇情的に振る舞うカムショー(アダルトチャット)配信者。語りが上手く、デイビッドが気慰みに通いつめる。

時系列順あらすじ(長い)

本編より十数年前、デイビッドが結婚に至るまで

 警察官一家で育ったデイビッドは、その環境からか「いつか誰かを助けたい」という漠然とした願望を育てていった。汗みどろの警察官よりも格好良くスーツを着こなすFBI捜査官の姿に憧れ、長じてFBIに入った。

 看護師のエマは25歳の時、会計士のポールと交際していた。ポールは手が早く、喧嘩による負傷で病院に来て知り合った。ポールの暴力癖はプロのテニス選手を志していたのになれなかったことにあり、かつて真剣にテニスに打ち込んでいた時期のあるエマは話が合った。
 エマが酔っ払った患者に怒鳴られていた時、同じく患者であるデイビッドが助けに入った。デイビッドは若きFBI捜査官の美男子で、エマは彼の勇敢さに惹かれ、ポールと別れ、デイビッドとの交際を始めた。
 振られた後でもポールはエマに電話をかけては愛している、あるいは嫌いだ、と酔っ払いながら語りかけた。エマは不安で眠れない夜を送った。
 それを知り、デイビッドは毎晩エマの住むアパートの前に車を待機させ、車内から彼女の安全を見守った。デイビッドが勝手にやっていることでエマには何も知らせていなかったが、エマは気づいており、彼がいるおかげで眠れるようになった。
 なお、ポールがテニス好きであることをデイビッドは知っているため、エマは過去のテニス経験を隠して自分はテニス嫌いだとデイビッドに嘘をついていた。

 エマとデイビッドがデートしていた時、「会いに行く」とポールから連絡があった。デイビッドが何か言ってくれればもうポールは諦めてくれるかもしれない、そうエマは思い承諾し、アパートへ向かった。
 デイビッドは何故かいつものように車へ向かい、エマをアパートに一人きりにした。現れたポールは興奮した様子で怒鳴り散らした末に泣き出し、エマは彼を抱きしめて慰めた。それは病院で患者が泣いた時に行う対応だった。ポールは落ち着きを取り戻した。
 そこに、ピストルを構えたデイビッドが現れた。彼は、怯えて後ずさったポールの胸を撃った。エマが止血しようとすると、「悪い奴は死なせたほうが良い時もある」と言ってデイビッドは止め、ポールは撃たれてから10分後に亡くなった。
 デイビッドは悪漢から恋人を守った勇敢な者として世間から讃えられた。

 エマとデイビッドは結婚した。「それが自然なこと」とエマは感じていたし愛してもいたが、「自分は一生デイビッドに怯えるのだろう」とも思った。
 デイビッドは車の中でいつも見守ってくれていたのではなく、自分がヒーローとして輝けるとびきりのタイミングを見計らい続けていただけなのだとエマは思った。

2017年8月-10月

8月15日、デイビッドは潜入捜査のために、自宅のあるテキサス州を離れ、ミシガン州アナーバーでの一人暮らしを始めた。
 そこで彼は「デトロイト生まれで自由人気質、28歳のデイビッド・ジョーンズ」という設定を作った。実際には生まれは違うし、年齢ももっと行っているようだ。「ジョーンズ」の両親は既に亡く、定職につかずフラフラと生きていたが、友人の死をきっかけに「世界をもう少し良くしたい」と考えるようになって自然保護に目覚めた……この設定で、自然保護団体「A2」に潜り込むのだ。
 A2はせいぜい無許可の公道デモを行う程度の団体で、最終的な目的は、より過激な抗議運動を行う自然保護団体「グリーンストーム」に潜伏することで、A2はその足がかり。

 A2に入って信頼を得るためには、A2メンバーのエヴァが手駒として使いやすそうだった。簡単にたらし込んで利用できそうな相手で、「デトロイト生まれ」というのも彼女がそうだから合わせた。この時点ではまだ、情報でエヴァを知り遠くから眺めるのみで対面はしていない。

デイビッドの上司でFBI捜査官のマイク

 デイビッドの上司マイクはノリが良く、「ジョーンズ」は脚フェチか胸フェチどんな設定でいく?などと軽口を叩く関係で、デイビッドと親しい。

デイビッドの娘のアルバ

 デイビッドの娘のアルバは最近乳歯が抜けてきた、まだ幼い子供。父娘はお互いにしばらく会えないことを悲しみつつ、ビデオ通話でこまめに連絡を取る。
 夫妻でちょっとアダルトなビデオ通話をしながらお互いに服を脱ぎだしていたら、アルバが無邪気に飛び込んできて中止というハプニングも。次に通話した際に「続き」をしようと持ちかけても、疲れている妻は応じてくれなかった。

『眠れる森の美女』を演じる配信者

 妻にリモートセックスを断られた晩、8月23日0時過ぎ、デイビッドはカムショー(アダルトチャット)配信者のルームに入る。その配信者は、最初はベッドの上で眠る姿を見せていた。『眠れる森の美女』になぞらえたもので、そういうのが好きな客が多いらしい。デイビッドはハンドルネームを「白馬の王子様81」にしていた。「白馬の王子様」とはスパイ同士でのコードネームでもある。スパイらは童話になぞらえた呼び名を持っていた。
 配信者はニューヨークに住んでいるとのことで、背後からは都会の喧騒が微かに聞こえる。このチャットはある程度話がはずんだら配信者と客が二人きりになれる。客が一方的に配信者を眺めるだけでなく、双方向配信で互いの姿を見ることもできる。見せたがりの客も多いのだろう。
「セックスワーカーに対して男は常に正直よ。男は大切な人のために嘘を取っておくものなの。あなたが妻に話せないようなことも話せるわよ」
 配信者はそう語る。

 8月27日、デイビッドは初めてエヴァと接触。レコード店バイトの彼女に商品について訊ね、「音楽についてのこだわりを持つ、マニアックなことも語れる男」を演じて彼女に好感を持たせた。エヴァはかつては歌手志望で、音楽好きだ。
 8月29日にA2の集まりに参加。そこでエヴァと「偶然」再会。エヴァは共通点の多い人物だとしてデイビッドを気に入り、親密にビデオ通話するようになる。

 9月に入ってからもデイビッドはA2のミーティングに通って顔をなじませていく。A2の抗議対象は、「プロスペレン」という企業。天然ガスを運ぶためのパイプライン建設を行っているが、自然環境を汚す工事だとしてA2は反対している

 9月14日、妻のエマは、麻酔科医のスティーブンにデートに誘われたと報告。衛生的な問題で職場では結婚指輪をつけていないため、独身と誤解されたらしい。もちろんエマは断った。お互いに指輪をつけられない職業だが、不倫してはいけないと軽い調子で語り合う。

 デイビッドは時に甘く振る舞い、時に架空の友人の死を悲しく語り、エヴァの好感度を稼ぐ。9月15日には「あなたに惹かれている」とエヴァの方から打ち明けてきた。エヴァがビデオ通話でセクシーダンスを披露し、お互いに自慰をするリモートセックスを行う。
 通信しながら眠り、翌日は午後をすぎてから目覚めると、妻のエマはなかなか連絡が取れなかったことに怒っていた。

デイビッドの義母(妻の母)、ローラ

 エマの母・ローラが急に家に押しかけてきて、その相手をするのが面倒だとエマは愚痴る。夫が不在の間、働きながら一人で家事育児をするのは大変だろうとローラは気遣っているらしいが、エマには有難迷惑のようだ。

 デイビッドは以前に訪れたカムショーに何度か通い、10月10日にはファーストネームだけだが本名を教えた。代わりに配信者にも名前を聞き、ミシェルだと教えられた。ミシェルは名前の他にも、本業が何であるかなどを語る。デイビッドは彼女のトークの中に嘘が含まれていることに気づいた。嘘をつく仕事同士、似た者だと感じてデイビッドはリラックスしていた。警察官一家で育ったこと、ただの警察官ではなくスペシャルエージェントを志したことなどを正直に話した。

 10月30日のハロウィンの日、娘のアルバはオーロラ姫(眠れる森の美女)の衣装を着て大はしゃぎ。妻のエマは、子供にとって大事な行事に父が不在であることが不満で、感謝祭(2017年は11月23日)には一緒にいてほしいと言う。

フレディ・マーキュリーのコスプレをしたエヴァ

 エヴァはハロウィンにフレディ・マーキュリーのコスプレをした。私が髭を生やしたんだから貴方は剃ったら?、とコスプレのためのイメチェンを提案されるが、デイビッドにとって潜入中は髭を伸ばすという切り替えが大切なのか、断る。

2017年11月-2018年1月

 11月1日、デイビッドはエヴァと共に自然保護団体「A2」のミーティングに参加。ミーティングの行われる「ジャスミンセンター」に集まる一同は穏健で、活動内容のほとんどは話し合いとSNSでの啓蒙ぐらいだった。別の支部にはもう少し過激な者もいるらしい。その過激な者エリックはエヴァの友人だ。ジャスミンセンターの者がエリックを批判しエヴァが動揺しているのを利用し、デイビッドはエヴァと共に穏健な集まりを抜けてより過激な者たちと合流することにした。

 デイビッドはミシェルに自分の情報を素直に語ってしまう一方で、職業病なのかミシェルの虚言に目敏かった。ミシェルは、かつてあるバレエ団体に所属してパリである演目を踊ったと語っていたが、その団体がその演目をパリで演じたことなどないと調べてわかった。そう指摘されてミシェルは「本当の経歴」を語るが、それも胡散臭いとデイビッドは感じる。

 11月3日、妻のエマは母ローラが認知症かもしれない、時々奇行に走ると相談してきた。麻酔科医のスティーブンに相談したら専門の医師に見せたほうが良いとアドバイスされたという。
 スティーブンは、以前にエマを独身と勘違いし口説いた男だ。デイビッドは嫉妬から皮肉を言い、エマは怒ってビデオ通話を切った。

 11月4日、デイビッドはハロウィンのマスクを着けてA2の無許可公道デモに参加。抗議者の女性が警察官に手荒に扱われているのを見て正義感を燃やしたデイビッドは、派手に暴れて警察官の一人を殴り倒すも、自身も負傷して歯を折った。デイビッドは巧妙に逃れてきたが、A2から逮捕者も出た。
 心配したエヴァはデイビッドの部屋を訪れ看病。二人は肉体関係を持った。

 エマはデイビッドの顔を見て「危険な仕事じゃないと聞いたのに」とひどく心配した。
 エマは心労が重なっていた。母ローラに娘アルバのお風呂を任せたところ、認知症気味のローラは途中で別のことをやり出し、エマが気づいたときにはアルバは冷めきった風呂の中で凍えていた。幸いにも大事には至らなかった。デイビッドは彼女を慰めるが、エマは泣きそうだった。デイビッドは「愛している」と言う。

 デイビッドは、A2の他の支部の者たちもやってくる大規模なキャンプに参加することになった。その集まりにはエヴァの友人エリックと、またピーターという者も来るらしい。エヴァと一緒に行くことになっているが、キャンプについて話しているとエヴァは突然嘔吐した。精神的なもので、どうも彼女の嫌悪する人物も参加するせいらしい。
 キャンプ日程に11月23日の感謝祭も入っている。エマが帰ってきてほしいと言った日だ。もちろん帰れない。デイビッドは妻に謝罪の連絡をするも、彼女は怒った。

デイビッドとエヴァ

 感謝祭の日の0時、デイビッドとエマは「水は命だ」というA2のスローガンを語る動画を撮影しつつ、テントで一緒にすごした。
 その日、デイビッドはエマに機嫌取りの連絡をした。義母ローラは、認知症がかなり進んでいるらしく、デイビッドのことを夫のダニエル(エマの父)と勘違いしていた。

 11月27日、デイビッドはキャンプ中も遠出先のカフェからカムショーに入った。ミシェルに「私を驚かせて」と言われ、かつて一人の男を殺したと語る。エマの元彼であるポールについてだ。彼の肺を撃ち、応急処置すれば助かっただろうけど、彼は自らの血に溺れて死んだという。「クソ野郎」を殺したのは「正当なこと」だったと断言する。
 お返しにミシェルも語ることになり、処女喪失について話す。ミシェルの左胸には「Max」というタトゥーが入っているが、これはかつての恋人の名前を彫らされたものだと以前に語っていた。ミシェルは恋人のマックスにではなく、マックスに言われるがままに警察官を誘惑して処女喪失したと話した。

 11月28日、娘アルバのピアノのリサイタルがあった。エマに中継して見せてもらうが、アルバは演奏の途中で失敗して、ステージから逃げ去ってしまった。
 同日、エヴァはキャンプのステージで歌うことになり、成功を収めた。エヴァはかつては歌手志望で歌が上手く、これまでもよくデイビッドとのビデオ通話で歌っていた。
 A2に潜入しているスパイは他にも複数おり、キャンプ中にデイビッドは4人のスパイを見かけた。

 キャンプを通してデイビッドはA2内の過激派らともコネクションを持つようになり、2018年1月11日には、工事現場に異物を投げつけて妨害する行動に加わった。死人は出なかったようだが、射撃するような事態もあった。射撃技術の高さから、デイビッドは一目置かれた。

エヴァとピーター

 1月24日、A2の者たちで集まった時、ピーターは人目を盗んでエヴァの隣に座り、エヴァの頬にキスし、体をさわった。キスの前からエヴァはピーターに対し強張っていた。エヴァは彼を振り払い、デイビッドの方へ行きなんでもないふりをした。
 デイビッドはピーターのその振る舞いを直接見てはいなかったが、記録用カメラを設置していたため、後で知ることになる。

2018年2月-3月

デイビッドとエリック

 2月2日、デイビッドは、A2メンバーのエリックに、エヴァとピーターの関係を聞く。ピーターには悪癖があり、女性に薬物を飲ませて眠らせ、意識のない間に猥褻なことをして動画を撮影するのだという。エヴァがその被害に遭ったのは18歳の時だった。合意の上での関係ではなく騙されて薬を飲まされた。
 仲間内で問題になったが、もうその時期にはA2は警察からマークされており、下手に頼れば組織ごと潰されかねなかった。結局エリックたちは、ピーターが更生してくれることを願いながら彼の性犯罪を黙認した。エリックはそのことに苦しんでいるようだ。

 デイビッドはエヴァがピーターに襲われた件について、名前を伏せている以外はほぼそのまま配信者のミシェルに話した。ピーターを檻に入れるべきか殺すべきか悩めると話すと、「両方はダメなの?彼をこらしめて、檻に入れればいい」とミシェルは提案した。
 デイビッドはピーターを襲撃し、半殺しにした。途中で騒ぎを聞きつけて警察が来たが、逃げ延びた。

 2月14日、バレンタインだからとデイビッドは妻エマにプレゼントを贈った。中身はセクシーな下着で、ミシェルが配信で着ていそうなもの。エマは喜ばなかった。ビデオ通話する時に着ろとでも言うのか、と不満そうだった。エマの背後には、生けられた薔薇があった。職場の誰かが置いていったのだという。エマの職場には、エマに気を持っている医者のスティーブンがいるわけで、デイビッドは疑いの眼差しを向ける。
 エマは怒る。父が母に向けていた目と同じだと言う。エマの父母はあまり仲が上手くいっていなかった。母は夫から受けられない愛情を求めてエマに過干渉だった。エマは、自分の娘のアルバに同じような思いをさせたくないという。

 デイビッドはエヴァにもバレンタインプレゼントを贈っていた。連絡するが、エヴァはピーターへの勝手な復讐劇に怒り、まだ開封していなかった。猥褻事件でA2内の誰も味方してくれなかった経験から、エヴァは自業自得だと諦めてもう蒸し返してほしくないと思っていた。ピーターが音楽業界にコネクションを持っているため、親しくなれば歌手になれるかもと下心を持っていた負い目が彼女にはあった。
 デイビッドは、君は悪くない、君を守る、と言ってプレゼントを開けるよう指示した。中には、デイビッドの部屋の鍵が入っていた。エヴァを守るためにも一緒に暮らすよう誘い、エヴァは受け入れ、同棲が始まった。

 デイビッドは欲しい物リスト的な機能を使って、ミシェルにもバレンタインプレゼントを贈った。リストにはない彼の独自のチョイスで、赤毛のウィッグだ。

 2月16日、デイビッドとエマが会話。潜入先での、そのうち裏切ることになる相手に一体どうやって笑顔を向けられるのかとエマは聞く。本物の友人だと思って本物の笑顔を向けるのだとデイビッドは話す。
 エマは「誰かと寝た?」と聞き、デイビッドは否定。「誰かと寝た?」と全く同じ言葉で聞き返し、エマは否定。

妻のエマ

 2月18日、エマは濃い化粧をしており、目元は涙で滲んで崩れていた。
「麻酔科医が人を眠りにつかせるだけなら誰も大金を払ったりしないわ。最終的にはきちんと起こしてくれるから人は大金を払うのよ」
 エマは唐突にそう語り、以前に言い寄られた麻酔科医スティーブンと独身のふりして不倫していたこと、ついさっき別れを告げたことを明かした。デイビッドにも正直になってほしい、と彼女は促すが、デイビッドは嘘なんかついていないの一点張り。「嘘つき!」とエマは連呼。

 2月22日、上司マイクはデイビッドの仕事ぶりを批判した。デイビッドはA2の幹部メンバー数人をボコボコに殴り倒す事件を起こしたのだ。ピーターをボコった時についでにやったのか、その後に別件としてやったのか不明。エヴァへの性暴行を黙認していたメンバーらを許せなかったというのが犯行動機らしい。デイビッドはA2内で処分を受けたが、性暴行黙認への負い目を感じていたメンバーが多かったのか、追放まではされなかった。
 A2内にはスパイがデイビッドの他にも複数いる。そのスパイすら、デイビッドはボコった。同じく潜入中の捜査官カレンが一連の事件をマイクに報告した。
 マイクはデイビッドの暴力事件は不合理なもので、精神状態が大丈夫なのかと心配した。「普通は捜査官がこんな事件を起こすはずがない、だからこそ逆に信頼された」とデイビッドは笑う。

 2月27日、デイビッドはミシェルに本名は何かと聞く。ミシェルは「メリッサ」だと答えた。

 2月28日、デイビッドは「認知症の母の世話をしに行っている、普段は妹が看てくれている」と嘘をついて、しばらくエヴァと同棲する部屋から離れていた。エヴァはデイビッドに惚れ込んでおり、「私たちの間に秘密なんてない」と言う。

デイビッドが違法物資購入に使っている商人ハリー

 離れている間にデイビッドが何をしているかといえば、以前からの知り合いである、違法物資を取り扱う商人ハリーと接触していた。ハリー相手に使っている名前は「デイビッド・ミラー」である。隠語で「キャンディ」と「コーク」をハリーから購入。違法薬物のことらしい。

 3月3日、突然ピーターの家に警察のガサ入れが入り、大量の違法薬物が発見されピーターは逮捕された。デイビッドが薬物をピーターの家に仕込んだ上で通報したのだ。

スパイのドーピー(クリス)とデイビッド

 スパイの中に、ドーピーというコードネームの男がいる。由来は、ディズニーの『白雪姫』の小人の一人の名前か。その小人は「おとぼけな困りもの」というキャラ。ドービーは軍事請負企業「ブラックカイト・ロジック」の者で、FBIと協力関係にある。潜入中はクリスと名乗っている。
 デイビッドはドーピーに苛立っていた。彼は使用感のない真新しいシャツを着て、言動も詰問調で、演じきれずにスパイであることを滲ませていた。

 3月4日、デイビッドは妻エマに連絡するも、彼女は不在で義母ローラが応答した。ローラは認知症によってデイビッドを夫ダニエルと混同しながら、エマの恋人のポールは紳士的ないい人よね、などと語った。ポールはかつてデイビッドが殺害したエマの元彼。また、「エマはテニスをしている」などと言う。過去の記憶との混濁が起きているにしても、エマはテニスが嫌いなのに、とデイビッドは不思議がる。

麻酔科医スティーブンが初めて姿を見せるが、顔は映らず

  3月10日、デイビッドは娘アルバとビデオ通話した。アルバが無邪気に語る背後には、医療用のベッドに横たえられた義母ローラの姿があった。ローラの健康状態は急激に悪化しており、容態について相談しながら泣くエマを、麻酔科医スティーブンが抱きしめて慰めていた。
 アルバは「おばあちゃんってもう死んじゃうと思う?」と言い、デイビッドは「大丈夫だと思うけど、はっきりとはわからないな」と返す。「それってみんなを安心させるために、パパがよくいう嘘なの?」アルバの言葉にデイビッドは動揺する。

 翌日もデイビッドはアルバと通話し、童話『ルンペルシュティルツヒェン』について話してあげた。妖精の名前を言い当てなければ子供をさらわれてしまう、という筋書きなのだが、名前当ての下りでアルバは「スティーブン!」と麻酔科医の名前を挙げた。こういう場で戯れに名前を出すぐらいには、アルバはスティーブンに親しみがあるらしい。

 3月12日、デイビッドはドーピーがブラックカイト社のスパイで本名はサイモン・マクミランであるとA2メンバーらに証拠付きで暴露した。ドーピーはA2から追放された。プロスペレン社によるパイプライン工事は第二段階に入っており、早急に中止させなければとメンバーたちは気合が入っていた。

 3月14日の午前4時頃、ローラが亡くなった。その報告を受け、デイビッドは忙しくて葬式にも出られないと謝罪した。もとより出席してもらえるなどとエマは期待しておらず、でも一度ちゃんと会って話さなければいけないと言いながら泣き、一方的に通話を切った。

エヴァの母メアリーと、その再婚相手バリー

 3月19日、エヴァの母親メアリーが誕生日を迎え、エヴァはビデオ通話でお祝いすると共に、デイビッドを母親に紹介した。結婚を前提とした関係であるかのように説明した。母親は再婚相手と共に、今はフロリダで暮らしている。エヴァは歌手を目指して頑張っているものだと思っている。

 3月20日、エヴァはデイビッド宛のビデオ通話に応答し、「ダディは?」と聞いてくるアルバと短い会話をした。デイビッドが子持ちだと知るには十分だった。
 3月21日、エヴァは「不倫されていた」と激怒し、同棲している部屋を出ていた。デイビッドは、アルバは確かに自分の娘だがその母親との関係はとっくに終わっており、でも責任があるからと送金とたまの連絡だけはしていると説明した。アルバの母親とよりを戻すことは不可能で、今愛しているのはエヴァだけだと言い、エヴァは納得してくれた。

 3月22日、エヴァはデイビッドの子供を妊娠していることに気づいた。

 スパイ活動中の秘密の会合に使える場所として、FBIは「リトル・マーメイド」と名付けられたボートをデイビッドに支給した。所有経歴などは不審に思われないよう工作済み。デイビッドは、いよいよ対面できることとなった過激組織「グリーンストーム」のメンバーリオーダンとの会合にそのボートを使うことにした。何故それなりに立派なボートを所有しているかについて、もっともらしい設定も制作済み。
 エヴァは船の名前がダサイと笑う。エヴァは歌手志望の頃にジェーン・ディーンという芸名を使っていたので、それにちなんでデイビッドは「ジェーン・ディーン号」と船を改名した。

右から、A2メンバーのウェスリー、グリーンストームのリオーダン、エヴァ、デイビッド、A2のエリック

 3月29日、ボートでリオーダンらと会合。パイプライン工事を遅らせることのできる「橋封鎖計画」をデイビッドが提案。話の途中でエヴァが体調不良(つわり)になり外の空気を吸いに行ったので、デイビッドが後を追って離席。デイビッドのいない間、残された者たちはデイビッドは怖いところもあるが優秀で信頼できると話し合った。その様子はデイビッドの仕掛けたカメラに録画されている。ピーター半殺しの件などは、リオーダンはむしろ好ましいと語る。

 リオーダンらが去り、二人きりになった後のボート内でエヴァは妊娠をデイビッドに告げる。父親になるのだから、リオーダンと組んでの過激デモなどやめてほしいとエヴァは頼むが、デイビッドは今更やめられないと拒む。子供ができて嬉しいと喜んで見せて抱きしめて誤魔化す。

2018年4月-5月

ブラックカイト社のスパイ・トムと

 4月7日、デイビッドはボートでブラックカイト社のスパイ・トムと話し合った。リオーダンは恐ろしい女で、スパイであることがバレたらドーピーのように追放されるだけでなく命が危ないかもしれない、ドーピーの時のような真似はするなとトムは言う。
 近く行われるリオーダンらとの会合に備えて打ち合わせを行う。橋を封鎖したところでせいぜい一週間しか工事を遅延させられないので「橋爆破計画」を会合で話したらどうだろう、とデイビッドは冗談めかして話し、トムはその案を持ち上げた。
 トムは、デイビッドがエヴァと恋人になっていることについて「役得だな」とからかい、デイビッドは本気で怒った。

 4月15日、デイビッドは会合に出かけた先からエヴァに連絡を取った。エヴァは、アルバの異母弟か妹を妊娠しているのだと思うと彼女に親近感を持ち、会いたいと言った。子供ができたのはキャンプの時で、「星の下で受胎したの」とエヴァは笑う。

 会合にてデイビッドは、「橋爆破計画」を提案した。破壊を伴う過激な行為を、A2のエリックは反対した。リオーダンも賛同してくれず、場の雰囲気は冷たかった。トムは助け舟を出すどころか、エリックに同調した。

 「トムはブラックカイト仲間であるドーピーを失脚させた件で俺を恨んでいるんだ」、とデイビッドはマイク相手に怒りを露わにした。事前の打ち合わせでトムが同意してくれたから橋爆破計画を提案したが、皆はそれほど過激派ではなかった。その意見が受け入れられるものだとばかり思っていたデイビッドの考えこそが行き過ぎていた。
 自然保護の集まりの中で立場をなくしてしまったかもしれない、と悩むデイビッドに、そろそろ「脱出」せよとマイクは言う。グリーンストーム潜入はブラックカイトが担当することになりFBIはもう手を引くという。デイビッドは納得いかない。

 4月23日、デイビッドはまだ「脱出」していなかった。マイクは催促し、そろそろA2過激派の一斉逮捕を行うと告げた。エヴァもその対象だ。エヴァはまだ10代の女性で、そんな人物でも過激なテロ行為に加担するのだと啓蒙するのにちょうどいい素材だった。エヴァはやめてくれ、とデイビッドは懇願する。
 同日、デイビッドはメリッサ(ミシェル)のカムショーへ行く。妻に離婚されそうで、愛人は妊娠したが別れなければいけない、と愚痴る。
「あなたの話が半分でも本当だったら、それはあなたが招いたことよ」
 メリッサの言葉にデイビッドは怒り、人を批判する資格なんかないくせにとなじる。メリッサが今まで語ってきたことを挙げ、不道徳な経歴を持つ人間だと責めた。メリッサは呆れた様子でカムショーからデイビッドをBANした。

 4月24日、A2メンバーらは、パイプライン工事妨害については諦め、平和的に環境保護を訴えるという方向で行くことにした。グリーンストームとも手が切れていた。デイビッドは橋爆破計画をいまだに主張していた。グリーンストームのリオーダンに気に入られるための計画で、リオーダンにすら受け入れられずに彼女にはもう袂を分かたれているのに、デイビッドはこだわっていた。
 そこへ、FBI捜査官のカレンが突然現れる。カレンはキャンプにも参加していたが、恐らくはA2の別支部担当者なのだろう、エリックやエヴァはカレンのことを知らない。カレンは「付近での用事のついでにデイビッドに会いに来た元カノ」という設定で振る舞った。早く脱出しろと圧をかけるためというのが本意だ。

FBI捜査官のカレン

 4月25日の朝8時頃、カレンとデイビッドがビデオ通話。カレンも潜入先で信頼を掴むためのセックスをしたことは数え切れないほどあるが、あくまでも仕事だ。相手にのめりこんだことなどない。だがデイビッドはそうなっていると指摘。
 カレンはダイナーにデイビッドを呼び出して直接話し、早く脱出しろと説得するが、デイビッドは応じなかった。

 10時頃、カレンと別れた後、路上でデイビッドはエヴァに連絡した。エヴァはアパートでまだ微睡んでいた。二人が恋人らしいトークを繰り広げていると、突然武装した警察官が部屋に乱入し、エヴァを拘束した。乱暴なその扱いに、エヴァは自分は妊婦だと泣き叫んだ。
 直後にデイビッドはマイクへ抗議した。エヴァの妊娠はマイクも知るところとなっていた。「自宅が警察官に襲撃された」となれば、後ろ暗い活動をしていた男が姿を消す理由には十分だ。早く脱出しろと促されるが、デイビッドは反発する。アパートへ戻れないが、エヴァを見限って自宅へ帰ることもできず、デイビッドはあてもなく車を走らせた。

大量の紙幣を持ったエヴァ

 5月4日、エヴァは釈放されてアパートへ戻っていた。A2は違法な道路占拠デモで警官ともみ合うなどの事件は起こしていたものの、エヴァはそれほど苛烈な行為をしていなかったので許されたのだろう。
 居場所も教えずビデオ通話するだけで会いに来てくれないデイビッドに対し、「私と子供を捨てないで」とエヴァは泣く。デイビッドは、なにかのためにと隠しておいた大金のある場所を教えるも、エヴァはますます泣く。

2018年6月-7月

髭を剃ったデイビッド

 6月18日、デイビッドは髭を剃った姿でエヴァに連絡した。こちらの方がデイビッドの通常スタイルのようだが、追手を逃れるためにこの姿をしているのだとエヴァに説明する。今どこにいるのかは聞かれても教えなかった。エヴァの方は、アパートを離れてタバーンという場所にいるという(どこ?)。
「あなたが残したお金。あれは私に対する侮辱」
 エヴァは始終涙をこらえて怒っていた。

 6月24日、デイビッドは結局「脱出」を果たして自宅に帰っており、アルバや同僚たちとバーベキューをしていた。エヴァたちA2のヴィーガンに付き合っていた影響でやたら豆腐料理を出すこと、同僚の子供たちにアルバと年の近い子がいないことから、アルバは退屈そうだった。
 エマはバーベキューに参加せず、母ローラ亡き後の実家の整理をしに行っていた。若い頃に獲得したテニス大会のトロフィーをエマはアルバに見せた。
(デイビッドは目を離していたが、やり取りを録画しているため後で見て、エマの「テニス嫌い」は嘘だと気づいただろう)

 6月25日、デイビッドはハンドルネームを「白馬の王子81」から「ナイト81」に改め、姿を映さず別人のふりをしてメリッサ(ミシェル)のカムショーへ接続した。ムラムラして自慰行為をしようと股間のファスナーに手を伸ばすも、自己嫌悪に陥ったのか、やめて電源を切った。

 6月28日の午前2時、デイビッドはマイクに連絡を取った。家の前に車が泊まっている、FBIが怪しんで俺を監視しているんだろう、とデイビッドは尋常ではない様子で問い詰める。マイクに心当たりはなく、激昂しているデイビッドをなだめる。精神を病んでいると判断され、デイビッドは療養休業を命じられた。

 7月3日、デイビッドはカムショーで顔を映し、以前にBANされた者だと名乗り出た。「俺たちは理解し合えていた、もう一度関係をやり直したい」と迫った。メリッサは鼻で笑い、本当のことなど何も知らないくせにといって、固定カメラを動かした。メリッサの背景は一見すると豪奢なベッドルームに見えたが、カメラに映る部分だけを整えたセットにすぎず、その横にはただ殺風景な部屋があった。いつも聞こえていたニューヨークの喧騒はそういうBGMを流しているだけで、本当は静かな郊外に暮らしている。真実など何も語っておらず、メリッサが本名だというのも嘘だという。
 一方でメリッサは、デイビッドが何者か調べていた。彼は自分語りをやりすぎていたので、FBIの者だと既に知っていた。これ以上言い寄るならば、録画していた今までのやり取りを全て世間に暴露するとメリッサは脅した。

 7月15日、デイビッドは自宅を追い出されているようだった。ホテルからアルバに連絡を取り、アルバは寂しがり帰ってきてほしいと言うも、二人の会話に気づいたエマは、アルバに無断で連絡を取るなと言って通信を切った。
 エマは、かつて元恋人のポールを二人で死なせてしまったことが今でも重荷になっていると伝えた。この一年ほどを、アルバは父親不在でも暮らしていけた。もうデイビッドがいなくてもやっていけると言う。
 ポールがエマのアパートへ来た日、車からデイビッドが様子を伺っていたが、すぐに来なかったことについてエマは語る。
「私を救うためにあなたは待った。キラキラと光る鎧に身を包んだナイトになりたかったのね」
 エマの中にはずっとデイビッドへの恐れがあった。だが、ビデオ通話の小さな画面の中にいるデイビッド相手に何度も話しているうちに、その恐れも小さくなっていった。エマは別れを告げた。

 7月19日、デイビッドは以前に薬物購入した商人ハリーに、メリッサの居所を調べるよう依頼する。ハリーにはスーパーハッカーな友人がいるため引き受けてくれた。この時のデイビッドは浅く早い呼吸で、見るからに精神状態がおかしい。

 調査の結果、メリッサの本名はマキシン・ウィリアムズで、胸のタトゥーのMaxが元カレ由来というのは大嘘で、愛称マックスは彼女自身のものとわかった。
 カムショーでのやりとりを削除させなければ身の破滅だと、マキシンの個人情報をちらつかせて削除を要求した。

マックスの撮影部屋

 7月24日、事前に予告した上でデイビッドはオハイオ州クリーブランドにあるマキシンの撮影部屋を訪れた。削除したか確かめさせろと詰め寄るデイビッドに、動画はとうに然るべきところに送りつけたと言って、マキシンはデイビッドの脚を撃った。殺意はなく、事前に通報してあるので、じきに駆けつけた警察官がどうにかしてくれるだろうと告げる。
 警察官にデイビッドはFBIの身分を提示し、捜査のために来ただけだと嘘をついた。だが、マキシンは隠しカメラで一連の会話を録画していた。

 A2メンバー集団逮捕の報を聞き、7月28日にデイビッドはマイクに連絡した。通話の時点で既に全員釈放されている。もうA2は歯牙なき存在で、「デイビッド・ジョーンズ」も死んだものとして処理してあると説明された。マキシンとの一件も既にマイクは知っていた。
 マイクはデイビッドのことを、「なまった」だけでまた研げば復帰できる、だから療養するようにと言った。

2018年10月-11月

 10月20日、デイビッドは髭を伸ばし「デイビッド・ジョーンズ」としてA2メンバーらへビデオメッセージを送った。臆病さから身を潜め逃げていたがまたプロスペレンと戦う覚悟だ、「水は命だ」と話す。

デイビッドとエヴァの娘

 11月1日、デイビッドはエヴァと連絡を取った。エヴァは娘を出産していた。生まれる子供が女の子だったらジェーンと名付ける、以前そう話していたので「ジェーン」とデイビッドは呼びかけるが、エヴァは違う名前をつけたという。その名を教えてはくれない。
 エヴァは同棲していたアパートを出て現在エリックと共に暮らしており、別に男女の関係というわけではなくエリックは信頼できる親友だという。警察の襲撃があった時、エリックは逃げずに大人しく捕まり二週間拘禁された。その一件でもうA2は瓦解した。「あなたは私たちにはもう必要ないわ」とエヴァは告げる。

 11月5日、エヴァは女友達と一緒にベビーカーに娘を乗せて歩いていた。エヴァがふと離れた隙にデイビットは近づき、ただの子供好きのふりをして女友達に赤ちゃんの名前を聞いた。スターという名だ。キャンプの星空の下で受胎した子供だからだ。エヴァはデイビッドに気づき、近寄らないでと叫んで警官を呼ぼうとした。デイビッドは慌てて逃げた。

 11月6日、デイビッドはただの「ゲスト」としてマキシンのカムショーへ入室。マキシンは相変わらずニューヨーク在住のふりをしていた。デイビッドは時々くすっと笑ったりしつつ、無気力そうに横になって画面を眺めていた。

 11月7日、デイビッドは商人ハリーに「友達のパーティで使うから」と大量の花火を求めた("花火"は恐らく隠語)。ハリーの友人のスーパーハッカーによれば、マキシンについての書類が警察に上がっていたのを見かけたが、翌日には抹消されていたという。恐らくはマキシンがカムショーのやり取りについて通報していたが、FBIがもみ消したのだろう。

 11月20日、デイビッドは娘アルバと通話した。エマが情けをかけて取り次いでくれた。以前にも話したことのある『ルンペルシュティルツヒェン』を聞かせてあげた。
(嘘をついたら大事になったという内容の童話で、そちらはハッピーエンドである)

髭を生やし結婚指輪をつけたデイビッド

 11月21日、デイビッドはエマに見せるためのビデオメッセージを撮影した。映像の中でデイビッドは時々泣く。
「みんなに嘘をついていた。だが真実は、真実はやがて明らかになる」
 かつてポールを殺害した時のことに触れる。エマに指摘された通り、ヒーローになりたくて、ポールがエマのアパートへ向かうのを確認した後、5分数えて後を追った。ピストルを構えながら姿を表した時、エマはひどく怯えた表情でデイビッドを見た。その時の顔がずっと忘れられなかった。
「アルバには俺が善良な男だと思いながら成長してほしい。それでたとえ君が嘘をつくことになっても」
 過ちを正すためにやるべきことがある、そう言ってデイビッドは撮影を終えた。

 11月22日、デイビッドはどこかへ向けて映像配信をした。エマ、エヴァ、マキシン、そしてアルバとスターに向けて感傷的な言葉を送る。
 プロスペレンのパイプライン計画は自然環境を汚す、子供たちに希望ある未来を残すためにそれを破壊するという。商人ハリーから爆弾を得ていたデイビッドは、それで橋を爆破するつもりだった。スイッチを押してから間もなく爆発する仕組みで、彼は死ぬつもりのようだ。「水は命だ」と言い残し、デイビッドはスイッチを押し、激しい爆発によりカメラは止まった。

2019年6月とその後

パソコンのモニター(ゲーム画面)に映るカレン

 2019年6月23日、デイビッドの同僚だったカレンは、NSA(アメリカ国家安全保障局)が所有していた、デイビッドが生前に残した大量の動画を入手した。潜入捜査で色仕掛けもお手の物だったカレンは、NSAの男をたぶらかしたのだ。
 このゲームは、カレンがデイビッドの残した動画を辿る、という構造なのである。カレンはある程度の動画を閲覧してデイビッドに何があったのかを理解した後で、それらの動画をインターネット上にアップロードして公開した。

タバコを吸うカレン

 情報漏洩に気づいた追手を逃れてカレンは屋上でタバコを吸い、どこか晴れ晴れとした様子。だがこの後でカレンは捕まり、処分を受けることとなった。報告書ではカレンの捜査官としての身分には「元」とつく。辞めた後であの行動に走ったのか、捕まって辞めさせられたのかは不明。

日本語版だとカレンが動画を入手した時期が2018年6月になっているが、誤り
英語版だと2019年6月

 カレンが誰の動画を特によく閲覧したかによって、エンドが3つに分岐する。エマエンド、エヴァエンド、マキシンエンドである。それぞれがその後どのように生きたかがわかる。三人とも、勝手に死んだデイビッドのことなど気にかけないようにして、それぞれに人生を生き、エマやエヴァは子供を慈しみ、マキシンは本当にニューヨークに引っ越し、配信者のための小さな会社を興した。

比較的シンプルなあらすじ

 FBI捜査官のデイビッドは強い「ヒーロー願望」を持っていた。妻エマとの交際も彼女を酔っ払いから守ったのがきっかけ。エマが元カレに絡まれた際、デイビッドはその必要もないのに元カレを銃殺した。正義感は強いが、敵とみなした相手には苛烈に走る面もあった。
 天然ガスのパイプライン工事に反対して違法な公道デモなどを行う自然保護団体がある。デイビッドはその団体へ任務で潜入することになった。より自然に振る舞うため、エヴァという団員女性をたらし込み恋人になった。
 エヴァは団体の仲間に薬を盛られて猥褻行為をされた過去があった。警察に睨まれている団体所属の負い目から、法の助けは求められず泣き寝入りしていた。デイビッドは正義感に燃え、加害者の男を半殺しにした。任務を超えた、彼のヒーロー願望を満たすための行為だった。
 デイビッドは潜入先から妻エマや娘とよくビデオ通話をしたが、まさか仕事で若い女をたぶらかし肉体関係を持ったとは言えずに嘘を重ねていた。エマにもエヴァにも嘘をつく生活に疲れ、カムショー(アダルトチャット)配信者のミシェルに癒やしを求めるようになり、一対一の会話の中で彼女には込み入ったことも包み隠さず話した。
 自然保護団体を過激な方へ誘導して一斉逮捕を仕掛けるための工作として、「橋を爆破して工事を妨害する」という案をデイビッドは提案した。過激すぎて団体メンバーらの賛同は得られなかったが、デイビッドはその計画に固執した。環境保護のために大企業と戦う、それはデイビッドのヒーロー願望とマッチしており、のめり込んでしまっていた。

 一年ほどの潜入工作で家族と離れている間に、妻エマの心は急速にデイビッドから離れていった。元カレを殺された日から抱えていたデイビッドへの恐怖心は、ビデオ通話の小さな画面の中にいる相手には持てず冷静に考えられるようになった。刻一刻と成長していく娘のそばにいてくれずにヒーロー願望を追求してばかりのデイビッドと別れるつもりだった。
 エヴァが妊娠していることがわかった。そんな時に、自然保護団体メンバーへの一斉逮捕が入ることになり、エヴァも捕まった。デイビッドの上司は、デイビッドが団体活動に傾倒していることに気づき、任務を解きもう脱出するよう言った。
 脱出するも、デイビッドは妻に拒絶され、家に帰れずホテル暮らしを始めた。エマとの関係が修復できないため、釈放され出産したエヴァへ連絡を取った。エヴァは逮捕された自分を見捨てて逃げたデイビッドを見限り、もう会いに来るなと突き放した。
 エマとエヴァを失い、デイビッドはこれまでに何度も二人で話したカムショーのミシェルにすがる。だが彼女は商売で相手をしてくれていただけで、デイビッドが勝手にあると思っていた信頼関係などなかった。デイビッドは彼女の居住地を調べ上げて会いに行くが、脚を銃で撃たれて終わった。
 三人の女に捨てられた惨めなデイビッドがヒーローになる方法は、橋爆破を遂行することだけだった。自然保護の大切さを訴え、三人の女と二人の子供へ別れを告げる映像を配信しながら、橋もろともデイビッドは爆死した。
 三人の女たちはそのメッセージビデオを敢えて見ずに、デイビッドのいない人生をそれぞれに幸せに送った。
 デイビッドの同僚だったカレンは、デイビッドの生前のビデオ通話や隠し撮りなどの全ての映像を入手し、世界に向けてアップロードして物語は終わる。

もっとシンプルなあらすじ(一行だけ)

妻子のいる男がスパイ任務先での偽りの恋人に入れ込んじゃったけど、妻にも恋人にも捨てられてヤケクソ爆発自殺する話。

感想とか

カレンは何がしたかったか

 最初に思ったのは、最後のビデオメッセージによって「自然保護を訴えるテロリスト」として一定の支持を得てしまったデイビッドの神格化を防ぎ、ただ色恋沙汰に失敗してヤケクソ自殺しただけの男だと示すため。

 ただデイビッドが本当に死んだかはわからない。生存説もある。末期の彼の壊れっぷりを見れば本当に自殺してそうだが、わかりやすく爆発によって肉片が吹っ飛び体が焼け焦げ……みたいなグロテスクな姿が映ったわけではないので、フェイク疑惑が浮上する。デイビッド・ナントカという新しい名前でどっかで新しい人生送ってそうな気もする。
 その場合はカレンの動機も変わってくる。カレンの登場回数は少ないがデイビッドとは同僚としてそれなりに打ち解けてはいたらしい。デイビッドが居場所を全て失い、どこかで新しくやり直したいともしカレンに打ち明けたとしたら、その協力ぐらいはしてくれる可能性。「デイビッドは自業自得だけど、追い詰められきって死んじゃったんですよ」と、死の説得力をより出したかったのかな~と。
 でもデイビッドとカレンはそんなに仲良しに見えない気もする。カレンに相談しにいったりとかしなさそう。マイクになら相談するかもしれない。で、マイクに頼まれてカレンも乗ったと。

 英語版での宣伝だと「大きな嘘が隠されている」みたいな文言があったらしい。みんな嘘をついているが、「デイビッドにはスミスやジョーンズなど二つ(以上)の顔がありますよ」ってのが大きな嘘に該当するのだろうか? でもそれってプレイしていけばけっこう早めにわかったと思う。敢えて「大きな」とつけるならば、それは「死んだのは嘘」じゃないか。物語のオチであるはずの「死」が嘘だったら、他の様々な嘘より一際大きなものとしてふさわしい。

 デイビッドについて生きてるか死んでるかとはともかく、カレンの告発はFBIに大損害を与えるものだ。「一人の男を破壊するような非人道的なスパイ作戦を命じたFBIを糾弾する」という趣旨でカレンは動いたのかもしれない。
 カレンはスパイ先で肉体関係を持っても入れ込まずにクールだった。でもそんな職務内容は大っぴらにできる倫理的なものではないし、人を騙せば良心は痛む。A2もグリーンストームも、活動は違法性を帯びてはいたがそこまで凶悪集団でもなかった。大掛かりに騙して思想活動を弾圧するほどの正当性があったとは思えない。
 過激な団体に所属する馬鹿な男が一人で勝手に死んだんじゃない、FBIが非人道的な仕事を彼に命じた末にあの事件を引き起こしたのだ、と世界に知らしめたかったのかも。

カレンの動機まとめ
1.「自然保護を訴えながら死んだテロリスト」としてのデイビッドの神格化を防ぐため説
2.実は生きているデイビッドの偽装された死に説得力を付与するため説
3.非人道的なスパイ計画を実施したFBIを告発するため説

童話ネタと「眠り」について

 見返していて気づいたのは童話ネタの多さ。なにか意味があるのか? こじつけてみた。

・デイビッド→白馬の王子様
 コードネーム。多分スパイの男の中で一番容姿が良かったから。
 女の子向けの童話では「王子様」とは個性が薄く、あらゆるヒロインに対応できる単なる勝利のトロフィーとしての属性。3人の女と関わる立場を表したか。でもみんなトロフィーなんていらないと拒絶される。
ルンペルシュティルツヒェンでもあるかもしれない。女性にメリットを与え、見返りに子供を望む。でも最終的に子供は得られない。アルバやスターと引き離された姿が重なる。

・エマ→マレフィセント
 
ハロウィンでアルバにそのコスプレをして欲しかったと言われる。
 マレフィセントはディズニー版『眠れる森の美女』における悪役だがスピンオフで主人公となり、かつては愛する男がいたが裏切られ、オーロラ姫に母性を抱くという設定。デイビッドに裏切られた母、というポジションが重なるような。

・エヴァ→白雪姫
 
捜査官らが呼ぶのに使っているコードネーム。
 人種差別的発想かもしれないが、肌の浅黒い純白人ではない彼女が持つには違和感のある名前。特に由来は作中で語られない。
 「おバカさんで騙されて毒りんごを食らわされて眠るけど、最後には目が覚める」というのが、騙されて恋に落ちて痛い目を見たけど最後には恋から冷めたというところにかけられているのか。

・ミシェル→眠り姫
 
カムショーでの言及。
 彼女と眠り姫というのはあまりしっくりこない。エヴァが嘘から始まった結果的に実りのない恋をしていた期間が「眠り」だとするなら、「眠り」とは「嘘」であり、ミシェルは真実などろくに語らずにエロチャットの客になんか嘘ばかりついていたからかなー。

 「眠り」はやはり「嘘」とか、もっと関連付けて言うなら「甘い夢」を指しているんだろうな。
印象深いエマの台詞→「麻酔科医が人を眠りにつかせるだけなら誰も大金を払ったりしないわ。最終的にはきちんと起こしてくれるから人は大金を払うのよ」
 エマはデイビッドが潜入捜査による仮初の人間関係を本物にしてしまっている危うさに気づいていた。いわば彼は眠りから覚められない状態になっていた。エマの方だって「独身」と嘘をついて不倫していた。でも彼女はそれを一時の甘い夢だとわかっていた。夫と違って自分はちゃんと覚められると証明するために別れたわけだ。そして、不倫のことなんかしらばっくれても良かったのに敢えて不倫していたこと、ちゃんと別れたことを明かしたんだ。でもデイビッドは自分が眠っている自覚なんてなかったから覚めることもできない。

 麻酔科医との不倫をデイビッドが疑い出した時は、オイオイ言いがかりよせよ~と思っていたら本当で驚いた。

元ネタっぽい現実の事件

 steamコミュニティーで元ネタっぽい事件があると言及されていた。本当にこれらの事件から着想を得たのか、あるいは潜入捜査先でのやらかしは現実でもしばしば起こってしまうだけなのか。イギリス警察による90年代の潜入調査について2010年頃に大きく取り上げられ、いまだに関係者が裁判中。

 「リクレイム・ザ・ストリーツ」(Reclaim the Streets)という自然保護団体が存在する。道路を占拠して踊り狂ったり、非暴力主義ではあるが、時には道路を破壊し、アスファルトで覆わずに自然に還そうぜと訴えたりする。車社会に反対しており、意図的に流通を妨げ、迷惑で危険なところもある組織だ。
 イギリスの覆面捜査官ジム・ボイリング(Jim Boyling)という男性はその団体に1995-2000年の5年間潜伏した。その間に三人の女性と関係を持ち、そのうちの一人には子供まで産ませた。任務を解かれてからもその女性と会い、真実がバレてからも愛していると言い寄り、だが彼女には拒絶された。また、覆面捜査官が女性と関係を持ってしまうのはよくあることだが規則の上では禁じられており、子供まで作ってしまっては許されないとジムは解雇された。

 子供まで作った例としてはジムが有名らしいが、単に「潜入の一環で女性と関係を持った覆面捜査官」としては同時期に活動していたマーク・ケネディ(Mark Kennedy)がより知られているらしい。同姓同名が複数いて調べるとややこしいが、Wikipediaにページもあった

 ケネディは、ターゲットの女性と出身地が同じであると偽るなど、別人としてのプロフィールを事前に作り上げていた。潜入捜査の中で10人ほどの女性と関係を持ち、そこで得た情報によって100人以上の活動家を逮捕させた。真相発覚後には「欺瞞により女性を食い物にして、不当に彼女たちの感情を操作した」と非難され、多額の賠償金を女性に払うよう裁判所に命じられている。
 任務にあたった時にケネディは既婚者だったが、結局妻に捨てられる形で離婚した。ケネディは任務の中で「真実の恋」に落ちたことがあり、偽りの身分の上での恋愛関係に苦悩していたという。任務中にそのことを訴えても何もしてくれず「目をつぶることを選んだ」警察組織に対して裁判を起こしている。ケネディは任務によるPTSDだと診断されている。

 今作が「Her Storyと比べたらビミョー」って評価されるのは、Her Storyはバラバラの動画形式に意味があったけど、今作は必要性が薄いせいかな。検索して動画を探して端っこの方から少しずつ物語の全体像を作っていく……って作業自体が楽しいからそこに意味を求めなくてもいいのだが、ゲーム性とストーリーが噛み合っている方がゲームとしては良いに決まってる。
 ビデオ通話の小さな画面の中にいるデイビッドが云々、ベッドルームに見えるけど少し動かしたらただのセットだとわかる、とかはこの形式であることを活かしてると思った。

 ゲームとしての形式は置いといて、ストーリーだけの良し悪しはどうなのか。プレイ中面白かったので「良し」だと思うが、ここも悪評が多い。そして悪評にもけっこう同意できる。
 メインだけで登場人物が四人もいるのに、デイビッド一人がアホで勝手に暴走してるだけに思えた。他のキャラも少しずつ悪いところあるけど、デイビッドの迂闊さがあまりにも重く釣り合わず、「そういう人なんだな」ってよりシナリオの走狗として支離滅裂に動かされてる血の通わぬキャラのようだ。元ネタっぽい事件についての記事を色々読んでいたら、まあ「そういう人」は現実にもいるみたいだが。

 デイビッドの女たちへの依存について。救世主願望を満たしてくれた存在であるエマとエヴァについてはわかる。でもエロチャットの女にまでなんで心許して個人情報垂れ流しにしてるんだよ!!!!
 大切な女には嘘をついてしまうが、行きずりのセックスワーカーには気安く本音を見せてしまう、とマキシンは語っており、まあそういうことなんだろうけど……。恋人や妻とのセックスは相手を思いやった忖度セックスで、本当にやりたい変態プレイは風俗嬢とやる、なんてのはありふれてるだろうし。でも変態性欲の発露と、個人情報セルフ開示は違うよなー。
 マキシンはミスリード要員かな。はじめの頃、「任務中にエロチャットなんかやるわけないだろ。外部に盗聴されててもバレないように、エロ会話してるふりして諜報員同士で隠語でやりとりしてるんだろ」と思いこんでいた。だって「白雪姫」とか任務の中で出てくるワードが登場して、めちゃくちゃ怪しかった。本当にエロチャットしてるだけだった。まあ本当(?)のエロチャットってもっと脱いでて色々丸出しになったり淫語まみれのものだろうから、言うほどエロチャットじゃないけど。

 ゲームを開始すると最初に検索欄に打ち込まれている文字は「愛」。一番上に表示されている動画は、潜入先で使う「デイビッド・ジョーンズ」としての設定を固めているシーン。プレイヤーはこの時点では、ジョーンズが偽名か本名か知らないし、彼の語る「設定」が大嘘なのもよくわかっていない。この動画の中に「白雪姫」というワードが出てくる。エヴァのことである。
 意味深で重要ワードっぽそうだから「白雪姫」で検索すると、マキシンの動画が出てくる。この流れだと、マキシンがただのエロチャット相手ではなく、「隠語を共有している、事件に大きく関わってくる重要キャラ」のように見えてしまうのである。この仕掛けは面白い。

 カレンはなんで一番最初に「愛」と打ち込んだか。クールに任務をこなしていた彼女には、色恋であそこまで身を持ち崩したデイビッドが理解できず、知りたいと思って入れたのかな。
 カレンは最初に「BR」と入れた後で打ち直して「LOVE」と入れたという演出がある。そのため「brotherと入れようとした、デイビッドとカレンは兄弟なんだ!」という説も見たが、そんな片鱗は本編にないよな。

 エヴァとエマがわかりにくい問題。英語だとAvaとEmmaだから文字で混同することはないだろうけど、日本語だと一文字違い。英語圏の人だと耳で聞いても違う音だとわかって似てると思わないのだろうか。日本語じゃ、AもEも同じエだ。
 マキシンがスパイ関係者っぽいと怪しませるのと同じように、「名前が似ててわかりづれえええ」とプレイヤーを撹乱するためにわざと近い名前なのか?

 肩透かしのリオーダン。グリーンストームって危険な地下組織で、その中でも偉い人っぽいリオーダンってすごいんだろうな、裏切り者は粛清したりするんだろうな、そんな風に思っていた時期もあった。「橋爆破とか引くわ……」とまともだった。
 外国人の名前はよくわからんが、個人的感覚としてはリオーダンもアルバも男っぽい名前に聞こえる。

 IMMORTALITYの発売が楽しみだ。タイトルが『不死』だから、ファンタジック要素入ってそう。


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