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【SFL2022】ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2022を終えて次回大会への問題点と課題

SFL次回への課題を挙げてみる

SFL2022(ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2022)は前評判の高かったGood 8 Squadの優勝に終わった。

CC覇者のガチくん選手、WW優勝のぷげら選手、トパチャン・EVO優勝のカワノ選手に加え、前年SFL高勝率のどぐら選手がドラフトで加われば当然の結果ではある。
そもそもGood 8 Squadは前年も優勝候補だったが、GF2位に終わっていた。

SFL2022と同時に、ストVも終わる。スト6の発売が2023年に予定されているためだ。
スト6がどうなるか発売前の現時点では予想が付かないため、SFL2023がどうなるかを考えるのも現時点で余り意味がある事ではないだろう。
ただ、SFL2022の反省などから次回のSFLの課題や改善点を考えてみるのもいいかもしれないと思い、書き出してみる。

SFLの歴史

最初にSFLの歴史を簡単に振り返っておく。
SFLは2018年のAll-Star Leagueから始まり、2019年に現在につながるSTREET FIGHTER Leagueとなった。
当初は著名選手がリーダーとなり、チーム数も6と少なかった。
大会によって3人選手編成や育成枠もあった時代を経て、SFL2021から企業オーナー制度に移行する。
SFL2022でもほぼ同じレギュレーションが踏襲されている。
SFL2020までのキャラクターBAN制は不評のため廃止され、代わりにホーム&アウェイ事前オーダー制が採用された。

■2018年
RAGE STREET FIGHTER V All-Star League powered by CAPCOM
・タイトル:ストV AEver
・編成:1チーム3人/全6チーム
・制度:選手リーダー制
・特徴:リーグ初開催
・優勝:板ザンオーシャン

■2019年
STREET FIGHTER League powered by RAGE
・タイトル:ストV AEver
・編成:1チーム3人/全6チーム
・制度:選手リーダー制
・特徴:トライアウト・ビギナー育成枠あり
・優勝:イタザンオーシャン

■2019年
ストリートファイターリーグ: Pro-JP operated by RAGE
・タイトル:ストV AEver
・編成:1チーム3人/全6チーム
・制度:選手リーダー制
・特徴:キャラクターBANルール
・優勝:マゴスカーレット

■2020年
ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2020
・タイトル:ストV CEver
・編成:1チーム4人/全6チーム
・制度:選手リーダー制
・特徴:キャラクターBANルール
・優勝:ネモオーロラ

■2021年
ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021
・タイトル:ストV CEver
・編成:1チーム4人/全8チーム
・制度:企業オーナー制
・特徴:ホーム&アウェイ事前オーダー制
・優勝:v6プラス FAV Rohto Z!

■2022年
ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2022
・タイトル:ストV CEver
・編成:1チーム4人/全8チーム
・制度:企業オーナー制
・特徴:ホーム&アウェイ事前オーダー制
・優勝:Good 8 Squad

SFLの仕様

SFL2022の仕様は大きく以下となっている。

【チーム構成】
企業が母体となったチームが全8チーム参加し、1チームは4人の選手で構成される。
SFL全体では32人の選手が参加する。

【ドラフト制】
選手が4人に満たないチームは、リーグ前に開かれるドラフト会議で選手を指名し、補充する事が出来る。
ドラフト指名選手はJeSU公認ライセンスを持つ選手である。
各チームはトライアウト大会を主催し優勝者などはJeSU公認ライセンスが発行されSFLドラフト会議への参加資格を得る。
ドラフト会議で重複指名があった場合、司会者がくじ引きにより所属チームを決める。

【参考】企業オーナー制以降でドラフトしたチームと採用選手
SFL2021のドラフト採用をしたチームは3チームで、いずれも2選手を指名・採用した。(重複指名なし)
■Saishunkan Sol 熊本:NISHIKIN、ヤナイ
■Mildom Beast:YHC-餅、もると
■名古屋OJA BODY STAR:あきら、オニキ

SFL2022のドラフト採用をしたチームは6チームで、いずれも1選手を指名・採用した。(重複指名あり、くじ引きにより優先順位決定)
■v6プラス FAV gaming:鶏めし
■Good 8 Squad:どぐら
■名古屋OJA BODY STAR Mildom:ナリ君
■Saishunkan Sol 熊本:YHC-餅
■コミュファDetonatioN:うりょ
■広島 TEAM iXA:クラッシャー

【本節】
本節では各チームはホームとアウェイでそれぞれ7試合ずつ行う。(計14節)
試合には3人が出場し一人は待機選手となる。
先鋒・中堅・大将が相手の先鋒・中堅・大将と戦う。
試合は2本先取(大将戦のみ3本先取)で、勝つと先鋒・中堅が10点、大将が20点のポイントを得られる。
3人が各順番で一人ずつ戦い点数が総合的に高い方が勝者となる。
これは勝ち抜き戦ではなく点取り戦と呼ばれる。

【前年との違い】
SFL2021とSFL2022はほとんどシステムに違いはないが、一点違いがあるのは、SFL2022からは、20-20となった場合に延長戦で代表者が出て勝者が5点得られる。
どちらかが必ず勝者となるマストシステムになったため、この点だけがSFL2021と異なっている。

【プレイオフ・グランドファイナル】
本節優勝チームはグランドファイナルへ進出する。
本節2位から5位チームはプレイオフへ進出する。
プレイオフで勝ち抜いた2チームがGF進出。
GFで勝ち抜いたチームと本節優勝チームで戦って総合優勝を決める。

※総合優勝チームは日・米・欧のリーグ優勝チーム同士による「ワールドチャンピオンシップ」への出場が決まるが、ここでは取り上げず国内SFLのみについて考える。

SFLの課題と問題点

SFL2022で感じた次回大会への課題と問題点を大きく11点挙げた。

問題1.チーム編成の段階で強力な選手をいち早く囲ったチームが有利

チームメンバーに誰が参加するのか、ファンや視聴者に見えない(説明されない)形で、チームが編成される。
ドラフトが「可視化されたメンバー加入制度」だとすると、「不可視のメンバー加入制度」がもう一つ、裏にあるという感じだろうか。

例えば、SFL2021ではv6プラス FAV Rohto Z!というチームが参加した。
v6プラス FAV Rohto Z!というチームは元々存在せず、SFLのためだけに組まれたチームだ。
(というよりも、SFL期間中だけ存在するSFL専用チームと言った方が正確か。)
v6プラス~の中にFAVという名前が入っている通り、FAV gamingに所属するsako選手とりゅうせい選手がこのチームに加わっている。
この二人は、FAV gamingというプロゲーミングチームに所属する選手としてSFLに参加するので、問題はないだろう。

残りの二人だが、ときど選手とボンちゃん選手の二人が、v6プラス FAV Rohto Z!に参加する事となった。
Rohto Z!が付いているのはときど選手のスポンサー名だからだろう。

問題はときど選手とボンちゃん選手の二人が、本来ドラフトに回るべき所が、ドラフト回避してv6プラス~に所属になった点だ。
ときど選手はロートZ!、ボンちゃん選手はレッドブルのスポンサードを主に受ける選手で、特定のプロゲーミングチームには「普段は」参加していない。
そのため、本来なら二人はドラフトに回る選手という扱いになる。
しかし、二人はドラフトを回避してv6プラス~に加わっている。
加入に至った経緯の説明もないまま、本節が開始された。

同様のケースはSFL2022でもあった。
SFL2021に参加したMildom Beastは、SFL2022への参加が立ち消えた事で、Mildom Beast所属のウメハラ選手・ふ~ど選手の二人もチームでのSFL参加が消え、ドラフトに回る可能性があった。
最終的には、二人揃っての名古屋OJA BODY STAR Mildomへの所属となる。この時も、選手やチーム、運営側からの経緯の説明はなかった。

このように、有力選手がドラフトを経由せず、事前の何らかの取り決めによってSFL参加チームに一時的に所属する、という形で行われているのが現状だ。ファンや視聴者にとっては加入の経緯が不可視で、チームの編成が決まっている。
そういった経緯の説明も番組内やサイト内で一切された事はない。

以前の選手リーダー制時代には、リーダーは予め決まっており、リーダーが所属選手をドラフトなどで指名する形式だったため、可視化されていたとも言える。
が、企業オーナー制になり、このような視聴者に見えない段階での編成が行われるようになった。

このため何が起きたかというと、「リーグ前のチーム編成の段階で、強力な選手をいち早く囲ったチームが有利」という状況が生まれている。
実際に、SFL2021ではときど選手とボンちゃん選手を引き入れたv6プラス FAV Rohto Z!が優勝している。

ただ、これは単純な問題ではなく、各選手の所属チームやスポンサードの問題もある。
魚群のようにプロゲーミングチームとSFL参加チームがイコールの場合もあるが、そうでないケースでは、スポンサード会社がプロチームを持っていないため、SFLに参加したいがドラフトに回らずSFL参加チームに一時的に所属させてもらう、という裏ルートが存在している事が原因になっている。

■ケース①普段所属しているプロゲーミングチームがSFLに参加する
プロゲーミングチーム=SFL参加チーム
・例:忍ism Gamingの所属選手・魚群の所属選手

■ケース②普段プロゲーミングチームに所属しているが、チームがSFLに不参加
プロゲーミングチーム≠SFL参加チーム
・例:どぐら選手
※どぐら選手は所属チームのCAGがSFLに不参加のため、SFL2021では名古屋OJA BODY STARに参加。SFL2022ではドラフト選手としてGood 8 Squadに指名された。
・例:ウメハラ選手・ふ~ど選手(SFL2022)
ウメハラ選手とふ~ど選手は前年のSFLでは所属チーム=SFL参加チームだったが、SFL2022は所属チーム≠SFL参加チームとなったため、名古屋OJA BODY STAR Mildomに二人揃って籍を置いた。

■ケース③普段個人スポンサードを受けている、またはプロゲーミングチームに所属せず活動しているため、SFL期間中だけ別のチームに所属する
・例:ときど選手・ボンちゃん選手(SFL2021-2022)
※個人のスポンサード企業がプロチームを立ち上げていないが、ドラフトには回らず、SFL参加チームに一時的に籍を置く形態。

SFLが選手活動のメインなら、本来はSFL参加チームに正式加入すればいいだけの話だが、SFLが選手にとって活動の一部に過ぎない(個人スポンサード選手の受け皿になるSFL期間限定のチームが存在している)という事が、問題を複雑化している。

問題2.ドラフトの指名制の問題

SFLでは4人に満たないチームのため、JeSUライセンス所有者の中から各チームがドラフトで選手を補充する事が可能な制度になっている。
ドラフトに参加するライセンス所有者の中でも、どぐら選手のようにトッププロとそん色ない選手もいれば、競技タイトルから離れて実力が劣る選手もいる。

人気銘柄の選手に指名が集中し、しかもそれがv6プラスやGood 8 Squadのような上位チームが取った場合、他チームと更に戦力差が開く事は分かりきっている。
にも関わらず、前年の順位に関係なくドラフト重複指名のあった選手は司会者がランダム(くじ)で所属チームを決める制度になっている。

結果、SFL2022ではどぐら選手を指名したGood 8 Squadが本節を独走。
GFでも圧勝し優勝を決めた。
※どぐら選手は本節110ポイント(ランキング第6位)、11試合中9試合勝利(ランキング第2位)

本来であれば、前年本節1位のGood 8 Squadは指名巡がもっと後ろになるべきで、SFL2021本節8位(最下位)のコミュファDetonatioNから順次ドラフト指名をして決定していくべきだった。
※このような低順位のチームからの指名巡はウェイバー方式と呼ばれる。
ウェイバー方式により戦力の均衡化が図られる。

問題の1,2とも戦力的な不均衡を生じさせる要因になっているが、何れも放置されている。
しかし、戦力的な不均衡が生じたままだと圧倒的上位や圧倒的下位を独走するチームが出てくるため、リーグの興行的な面白さが欠けてしまう。

参考として、SFL2021とSFL2022両方に出場したチームの本節1位チームと本節8位チームのポイントを比べてみる。
ポイント的には175の差が付き、順位的には6位差が付いている。

・SFL2021本節1位:Good 8 Squad
・SFL2022での本節ポイントは380。(SFL2022本節1位)

・SFL2021本節8位:コミュファDetonatioN
・SFL2022での本節ポイントは205。(SFL2022本節7位)

SFL2022で各チームが採用したドラフト選手の獲得ポイントは以下だった。
・SFL2022ドラフト選手 Good 8 Squad:どぐら(ポイント110)
・SFL2022ドラフト選手 コミュファDetonatioN:うりょ(ポイント55)

このドラフトが仮に逆になったとして、ポイントを計算してみると、以下のようになる。
・SFL2022でうりょ選手を取った場合のGood 8 Squadの本節ポイント:325
・SFL2022でのどぐら選手を取った場合のコミュファDetonatioNの本節ポイント:260

・Good 8 SquadはSFL2022でプレイオフ進出ギリギリの325ポイントで、忍ism Gamingと同率5位。
・コミュファDetonatioNはSFL2022のプレイオフ足切りラインの325ポイントに不足しているため7位のまま。

このように上位を独走したGood 8 Squadも、ウェイバー方式の場合は本節5位となり混戦が見込まれた事が分かる。

問題3.大会上位常連の選手が固まっている

ストVに顕著なのは、トップ選手層が一部に固まっていて、上位とそれ以外の実力差が激しいという事がある。

ストVの大会上位常連の選手が大体決まっており、大半の場合その上位の選手層は動かない。
大会上位常連が固まったGood 8 Squadのようなチームは、毎年GFに出場して優勝争いを演じる事がほぼ規定路線になっている。

【参考】Good 8 Squad所属選手の戦績
・ガチくん(CC2018優勝等全シーズンで国内上位の戦績)
・カワノ(トパチャンとEVO優勝等後半シーズンで国内最上位の戦績)
・ぷげら(World Warrior優勝、SFL2021選手ランキング6位)
・どぐら(SFL2021選手ランキング3位)

また、ウメハラ選手・ふ~ど選手がいるMildom Beastの入るチームや、ときど選手とボンちゃん選手がいるチームが下位に行く事はほぼないだろう。
実際、ウメハラ選手・ふ~ど選手のケースでは、SFL2021ではMildom Beastとして、SFL2022では名古屋OJA BODY STAR MildomとしてGF2年連続進出。
ときど選手とボンちゃん選手はSFL2021でv6プラス FAV Rohto Z!に所属し優勝。SFL2022でもv6プラス FAV gamingとしてGFに進出している。

このように、一部のチームに大会上位常連の選手が固まり、上位と下位の選手の実力差が非常に開いているという、構造的な問題がある。
SFL2020以前では、選手リーダー制のため有力選手がリーダーになり(ウメハラ選手とふ~ど選手が別のチームになるなどで)比較的ばらけていたが、SFL2021以降は有力選手が同じチームに固まる傾向が強まったため、こうした構造的な問題が生じる事になった。

無論、これはストVで起きている話であり、スト6になると有力選手の入れ替わり等も予想されるため、今後どうなるかは分からない。

問題4.ラグのあった試合の扱いがあいまい

SFLではオンラインで試合を行っており、事前にラグチェック等を双方した上でスタッフがOKを出し試合を行っているにも関わらず、何度かラグで止まったような状態の試合が行われている。

SFL2022では、ラグの合った試合は第9節Day2などで何試合かあり、ラグの発生は報告されたが試合結果は変わっていない。
つまり、ラグが発生したとしても、今のところ誰にも責任の所在はなく、あいまいなままになっている。

「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2022」第9節 Day2
2:32:55頃から画面がコマ送りのようになりラグが発生している

ラグの発生について報じたPC Watchの記事
ひぐち復活でSaishunkan Sol 熊本が全勝の快進撃! ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2022 第10節 Day1レポート

オンラインなのでラグの発生は仕方ないが、頻繁に同じ選手で起きるのは問題だ。
ラグについては、一度発生(申告)した選手はイエローカードでの警告とし、2回目に発生(申告)した場合は、レッドカードでのペナルティとする、などラグに対して厳しく対応していくべきだろう。

ペナルティの内容は、ポイントを差し引くか、次回の出場を停止する(待機選手となる)等、それなりの措置を取ってもらいたい。
ラグの発生を抑える事は、興行側(主催者のカプコン)と、チーム、選手全ての責任だ。
特に、選手を管理するチームの責任は大きい。

問題5.優勝賞金が少なすぎて選手にとって魅力が薄い

SFLの賞金は1位500万円/2位200万円/3位100万円であり、チームに対しての賞金となっている。
1位でも選手が受け取る額は100万台であり、約半年間かけて行う国内のトップリーグの賞金としては余りにも額が少なすぎる。
これでは、賞金が大きいからプロを目指そうという若手選手も少なくなり、2年目以後の参加を見合わせるチームも出てくるだろう。

※Mildom BeastはSFL2021に初参加したがSFL2022は不参加。
※賞金とは別途でリーグ参加選手に運営から報酬が支払われている可能性はある。

参加した選手からは(練習やキャラ対策などで)余りにも過酷なリーグと言われるSFLだが、長期に選手の活動を縛っている事も事実なので、優勝チームの賞金はもっと増やすべきだろう。

【参考】個人大会のCapcom Cup 2018の優勝賞金は25万ドル(約2800万円)

問題6.リーグの日程が長すぎてだれる

毎週のように試合が見れるのは面白いが、さすがに半年は長すぎる。
リーグが長すぎると視聴している側もだれる。
リーグ期間は精々、3ヶ月から4ヶ月にするべきだろう。

SFL2022は比較的消化試合が少ないため良かったが、もし早々にプレイオフ進出チームが決まり消化試合が多くなると、期間が長いだけで見所が少ないリーグになる。

改善案としては、
8月末:1on1トーナメント
9~11月:本節
12月2週:プレイオフ
12月末:グランドファイナル
等のように、日程をコンパクトにしてもらいたい。

【参考】SFL2022の実際の日程
2022年8月:開幕戦 1on1トーナメント
2022年9月:リーグ本節 第1節試合
2022年12月:リーグ本節 最終試合
2022年12月29日:プレイオフ
2023年1月21日:グランドファイナル

問題7.大将戦のポイントが多過ぎるため大味

これは面白さにつながっている可能性もある為、一概に否定出来ないが、SFLでは大将戦が20点もあり、試合に対してのウェイトが大きすぎる。

先鋒戦・中堅戦の2試合で稼いだ点と、大将戦1回で稼ぐ点数が同じであり、加えて20-20の場合、延長戦で勝てば5ポイントが入る仕組みであり、一人が強ければ勝ち越せるシステムになっている。

この5ポイントの攻防を巡り、SFL2022では第2節のボンちゃん選手対マゴ選手のような悲喜交々のドラマが発生したため、そういう面白さはあるものの、やはり一人が強ければあと3人は被せや対策のフェイク要員という感じになってしまう。

直ぐに対案を出すのは難しいが、現状では大味なシステムのためもう少し練って欲しい所だ。

問題8.オーナー企業側に内在する問題

これも企業の意向があるため一概に否定出来ないが、ドラフト選手を取るオーナー企業が選手の強さを分かっていない、または強さを分かっていたとしても、(その選手が地域に在住するなどの理由だけで)勝利を度外視して取るため、結果として戦力の不均衡が生じてしまう点がある。

例としては、SFL2022では名古屋OJA BODY STAR Mildomのドラフトで指名されたナリ君選手だが、本節4試合で未勝利で0ポイントとなった。
またプレイオフとグランドファイナルでも一度も出場機会が無かった。

ナリ君選手は現在名古屋に在住のため、名古屋のゲームコミュニティを盛り上げるためにも地元の選手として指名があったと予想するが、結果としてトッププロとは実力差があり、数試合に出場したが未勝利に終わった。

ナリ君選手はトライアウトで準優勝しJeSUプロライセンス発行を受けており、SFLへの参加資格は得ている。
とはいえ上記のような結果になってしまうのは、「3.大会上位常連の選手が固まっている」で挙げたように、SFLで凌ぎを削るトッププロと、ライセンスを持ち参加資格があるトップ以外の選手との間に、大きな実力差が開いている(可能性がある)という事でもある。
オーナー企業は選手をドラフトで指名する際は、この点に注意しなければならない。

地域のコミュニティを盛り上げてくれる選手だからという理由で指名するのは構わないが、その選手がリーグでどの程度活躍出来るのかも考えてもらいたい。

SFLは格ゲーのトッププロ達が凌ぎを削る世界であり、そこで勝てないようなら、折角指名した選手もずっと待機選手のままリーグを過ごし、チームは3人だけで戦い抜く必要に迫られてしまう。

問題9.トライアウト大会に優勝してもSFLに出られない選手が多い

SFL参加チームが4人に満たないチームが自らトライアウト大会を主催し、優勝者と準優勝者にJeSUライセンスが発行され、ライセンス付与選手はドラフトへの参加資格が与えられる。
ドラフトで指名されればSFLに参加可能になる。

SFL2022においても、トライアウト大会は計5回開かれている。
優勝者と準優勝者(計10名)にJeSU公認ライセンスとSFLドラフト参加資格が与えられた。
しかし、この10人の中で実際にドラフト指名されたのは3名(うりょ選手、ナリ君選手、鶏めし選手)のみだった。

名古屋OJA BODY STAR Mildomと6プラス FAV gamingはトライアウト主催チームが自チームのドラフト選手を指名しているため大会の趣旨に沿っていると言えるが、Good 8 Squadはトライアウトを主催したものの、指名した選手はフリーのドラフト選手のどぐら選手だった。
(広島 TEAM iXAも同様)

このように、トライアウト大会を各チームが主催する意味が現状では希薄になっている。

【参考】SFL2022のトライアウト主催と優勝・準優勝者
■名古屋OJA BODY STAR Mildom主催大会
第1回 優勝:うりょ 準優勝:Sunny
第2回 優勝:しとね 準優勝:ナリ君

■Good 8 Squad主催大会
優勝:サバ太郎 準優勝:Nyanpi

■広島 TEAM iXA主催大会
優勝:Tony 準優勝:ササモ

■v6プラス FAV gaming主催大会
優勝:きんちょーる 準優勝:鶏めし

問題10.ライセンス所有選手がSFLに出られる枠が少ない

ライセンス所有者に関するもう一つの問題として、JeSU公認ライセンス選手がSFLに出られる(チームに所属出来る)選手の枠が少なすぎるという事がある。

SFL2022のチーム編成段階で、ストリートファイターVチャンピオンエディションのライセンス所有者が72人。
それに対して、SFLに出られる選手数は8チーム掛ける4で計32人。
実際にはドラフト前に辞退を表明した選手もいたが、実に半数以上がライセンスがあってもSFLに出場出来ない状態になっている。

トライアウト大会を頻繁に開催する事は、公認ライセンス選手を増やす事につながるが、SFLの枠が32から増えない以上、ライセンスを持っていてもリーグに出られない選手が増えるだけという状況になる。

これを解決するには1チームの参加選手を増やすか、または参加チームを増やすしかないが、そうすると試合数が増加し消化試合も増える。

また、トッププロ以外の選手も相応に混ざってくるため、一方的な試合が増えたりクオリティが大きく下がる懸念もある。
試合の雑味が増えると、視聴者離れを誘発し兼ねない。

クオリティを維持しつつ参加チームを増やす方法としては、上位リーグと下位リーグの2部制にして、1部と2部のチーム入れ替えを行うなどが考えられるが、何れにしろ大幅なリーグ運営の見直しが必要になる。

問題11.毎節同じ選手が待機選手になる

4人チームで毎節の試合が3試合しかないため、待機(リザーブ)になる選手が必ず出る。
それは仕方ないが、「毎節同じ選手が待機選手になる」ケースがこれまでのSFLでは多い。
例としては、SFL2020のストーム久保選手、SFL2021のもると選手・キチパ選手、SFL2022のナリ君選手のように、出られる試合が少なく待機選手となってしまう事が多かった。

待機選手は本来「体調不良者などが出た場合の控え」用の制度だと思うが、毎試合同じ選手ばかり待機になるため、本当にこの選手いてもいなくても関係ないんじゃないか、という状態になっている。

特に3人と他の1人の実力が乖離している場合は、他の1人は最も有利なホームの被せですら出られず、常に3人で試合を回すしかないという状況に陥りやすい。

これを是正するためには、
・前半節で一度待機選手になった選手は後半節で出なければならない
・20-20の決定戦では待機選手が出なければならない
等にルール改正する必要があるだろう。

終わりに

以上、次回のSFLの課題を書き連ねてみた。最初3つだけ書く予定だったが、色々書いていると11個にもなってしまった。
毎回不評だった部分が改善され、新たなシステムが導入されるSFLだがSFL2023も開催が決定した。
更に、競技タイトルがスト6に変わるという大きな変化を迎える。
SFL2023がどのようなチーム構成やルールになるのかはまだ分からないが、一視聴者としては、今回挙げたような課題や問題点が是正されている事を願う。

注意事項
個人が自分の考えで書いたものです。必ずしも内容が正しいとは限りません。
読まれる際はご理解をお願いします。

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