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ゲームの思い出:ドラえもん ギガゾンビの逆襲

 僕はドラえもんが大好きだ。一番好きな漫画は?と聞かれると躊躇いなくドラえもんと答えるくらいには好きだ。
一番好きなアニメの座こそ他に譲ってしまったものの大好きな作品ということに変わりはない。

 子供のころ、ドラえもん のび太の大魔境のビデオをレンタルビデオで借りた。初めて見るドラえもんの劇場版。
 毎週テレビでやっているドラえもんとは違う、のび太達が冒険に出かけてその先で出会う悪人と戦う物語だった。

 これを観て、僕はさらにドラえもんが好きになった。
僕も、あんな冒険に行きたい。そう願うのも仕方ないことだったと思う。
ビデオは録画できるものと知った僕は親にねだってビデオテープを買ってもらい、年に数度ある劇場版の映画を録画した。

 繰り返し繰り返し何度も見た。

 そんな頃だった。ドラえもんのRPGが出るらしい、と近所にお兄ちゃんに聞いたのは。

 僕の家はお世辞にも裕福とは言えない家庭であった。
サンタクロースは親で、親が頑張って捻出したお金でプレゼントを用意してくれていることは幼いながらにわかっていた。
クリスマスプレゼントこそ戦隊ロボとかそれなりのものを買ってもらってはいたが、毎月のおこづかいが学年×100円だったり、買い物についていっても大体はお菓子は買ってもらえない。プラモデルがついたお菓子を半年に1回買ってもらえるかどうかってぐらいだった。

僕はドラえもん達と冒険に出かけたかった。

 スーパーマリオを初めてプレイした時に何度も何度もねだって、この年のクリスマスプレゼントはファミコンになっていたが、ソフトはまだ決めていなかった。

 そして待ちに待ったクリスマス。ファミコンと一緒に買ってもらったのは勿論「ドラえもん ギガゾンビの逆襲」だ。

僕も遂にドラえもんと冒険に行ける!

この夜は眠ることが出来なかった。

 今でも覚えている。早朝4時過ぎ、どうしても我慢できなくなった僕はファミコンをテレビに繋いだ。
今と違って初代ファミコンは接続するのに少しの工作技術が必要で、刃物を使わなくてはいけなかった。
配線を剥いて端子を出し、機器をテレビのアンテナ線に取り付ける。苦労の末、なんとか繋ぐことができた。
ちょうど母が起きてきた時だった。
ファミコンが初めて我が家で起動した。

 刃物を勝手に使った事で母には怒られてしまったが、朝食を食べ、はやる気持ちでドラえもんのカセットをファミコンに突き刺す。

スイッチオン。

タイトル画面。

自分の名前を入力する。

ドラえもん 僕のギガゾンビの逆襲が幕を開けた!


 このゲームはキャラゲーの中でも最高峰のものである。
今でもここまで出来のいいキャラゲーはそう無いと思っている。
キャラゲーにおいて大体プレイヤーが操るのは原作のキャラクターだ。
 しかし、このゲームは違う。ロールプレイングゲーム。役割を演じるゲームということを忠実に、主人公はプレイヤー自身である。

あらすじはこうだ。

 かつてドラえもん達が戦った時空犯罪者ギガゾンビが脱獄し、再び世界の歴史を自分の好きなようにしようと暗躍。それに気づいたドラえもん達は再びギガゾンビを止めるためにタイムマシンでギガゾンビのいる時代に向かう。
しかしその途中、ギガゾンビに時空乱流を発生させられ、
ドラえもん達はそれに巻き込まれてしまい散り散りになってしまう。
元の時代に戻ってこれたのはドラえもんだけだった……。

と、冒頭からドラえもん史上最悪クラスの状況で物語がスタート。
ドラえもんのひみつ道具も四次元ポケット以外は殆ど時空乱流に巻き込まれたときに落としてしまい、ほぼ無い状態。
しかしギガゾンビを止めなければ世界はギガゾンビのものになってしまう。勿論のび太達も助けなければいけない。

 そんな時ドラえもんが頼って来たのはたまたまドラえもんが戻ってきた場所にいた自分。

快くドラえもんに協力を申し出た僕はドラえもんと共にのび太達を助ける冒険に旅立つ事となる

 ドラえもんといえばひみつ道具だが、ひみつ道具はどらやきを消費する事で使用することができる。お金の代わりもどらやきなので、他のRPGとはちょっと違ったリソース管理が楽しめる。開始早々にインフレしていくどらやきの数がなかなか面白かった。

 戦闘はオーソドックスなRPGのコマンド式。要はドラクエである。

 戦闘中にはひみつ道具を使う事が出来るが、当時のスペック的に使用アニメーションなんてものは存在しない。
けれど、大丈夫なのだ。そんなアニメーションなんて必要ないのだ。
ひみつ道具をどう使うかだなんて僕にはわかっているから。
頭の中でドラえもんが、のび太が、そして何より自分が道具を使うシーンなんて何回でも思い描いてきたのだから。

 本作は映画シリーズの後の物語で、映画を見ていなくともある程度は本編中で説明して貰える。本作のシナリオはサクラ大戦などで有名なレッドカンパニーが担当している。少し気になる部分もあるが、概ねドラえもん好きなら満足して貰えるシナリオだと思う。劇場版ドラえもんらしい話で、当時の僕は本気で映画化を望んでいた。

 このゲームは残念ながら続編が出なかった。このゲームのシステムに似たゲームが、ゲームボーイで一本出たくらいだ。

僕はこのゲームを飽きることなく何周も何周も繰り返し遊んだ。

ついにはセーブも出来なくなってしまった。

セーブが出来なくなってしまったソフトは今でも押入れの中の宝箱の中に眠っている。




ドラえもん ギガゾンビの逆襲 

ハード:ファミリーコンピューター

1990年9月14日発売。

発売:エポック社

※見出し画像は公式の物をお借りしています。問題があれば連絡をくださればすぐに消去します。


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