3年間を取り戻す
先日ようやく食事制限が終わりました。
2018年6月20日の入院から3年10か月。いろいろな制限をしながらの療養生活は続いていますが、大きな目標の一つが食事制限の解除でした。
私はGVHDで消化器官障害が強く出てしまったため、主治医が食事制限の解除にとても慎重で、免疫抑制剤が終わってもなかなか解除してもらえませんでした。
完全解禁前に少しずつ食べてよいものを増やしていきましたが、その都度何度かおなかの調子を崩したので、主治医の見立ては正しかったのだと思います。
ようやくクリアになったのが、先月の検査結果を踏まえてでした。
病気になってつくづく感じることですが、当たりまえの日常がどんなに幸せなことなのか。この食事に関わる部分が最も色濃く感じることです。
家族と気分転換で外出して、その出先で外食をしてから帰宅しようにも、まずは食べられるものを提供しているお店が近隣にあるのかを調べ、店舗の衛生状態を調べ、なるべく箸やスプーンは自分用に用意して、飲料水もペットボトルを持参。
さらに病気のことを店頭で説明して、持ち込みの許諾を得る必要もあり精神的負担も大きいので、どうしてもハードルが高くなります。
飲食店経営者の友人が何人かいるので、彼らのお店ならば時間帯を選べば安心して食事をとれるけれども、子供たちの希望と合わないことが多いので、いつもそこに行くわけにもいかないわけです。
安全に食事をするならば、すべてを理解している妻に作ってもらうのが安心ですが、妻が休まることがないので、非常に申し訳ない3年10か月を過ごしたわけです。
最近アンケート用紙や、ワクチン接種の問診表で年齢を書くことが何度かありました。
どうしても3年前の年齢を最初に書いてしまうという失敗をしていまして、どうやら妻も同じように3年前の年齢を書いてしまうようで、私たち夫婦は、私の病気によって失われた3年間の日常の時間経過と記憶が乏しいようです。
11月11日。今日は入籍記念日です。
完全復帰したわけではなく、テレワークをしながら、休みながらの生活なので、高級レストランでのアニバーサリーディナーや、記念のアクセサリーを贈る余裕はないですが、いつもより少しだけ贅沢に、デザート付きのランチを楽しんできました。
自家製の特製ソースを使った手作りハンバーガーとか、食べたかったけどずっと食べられなかったものです。
おいしいものを大切な人と一緒に食べる。本当に当たり前のことですが、私たち夫婦にとっては、何物にも代えがたいものだよね?と話しながらお昼のひと時を過ごしてきました。
二人の目下の話題は、失われた3年間を取り戻す、日常の小さな幸せ探し。
少しずつ仕事を増やしていくこと。近場に行きつけの食べ物屋さんを増やすこと。家族で佐渡に旅行をすること。近場でいいので温泉旅館に泊まりに行ってのんびり過ごすこと。こたつに入って、子供たちとゲームをしたり、パズルをすること。美術館に行くこと。映画をもっとたくさん見に行くこと。などなど。
再発リスクがゼロになったわけではないのでなおのことですが、病気の症状がほぼなくなって、落ち着いた今が貴重な時間であることはよくわかっていて、何があるかわからないからこそ、たくさんの楽しい時間、やりたいことを無理のない範囲で、でも全てやり切る気持ちで過ごしたいと思っています。
来月で移植から3年。
5年経過が一つの大きな節目になりますが、そこまでは体をいたわりながら、小さな良かったを見つけて、小さな幸せの積み重ねをしていきたいです。