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「有難さ」を記録しておくだけの日記

 偶には手記を。人に見られる前提の日記なんて書くことはないけれど、出会った人たちへの感謝の日記、を残しておきます。ネットの海の中でどこかで「自分のことかな?」と伝わることがあれば嬉しいです。その場で御礼は言えても、もっと伝わるような伝え方をしたいな、とか恐らくあなたが思っている以上に感謝していたんですと伝えたくなるのは悪い癖です。

 最近はAIエンジニアに感謝してばかりです。タイトル画像も数秒で作成したもの。ほぼ思い通りのイメージが出力できるようになりました。こうした顔の見えない相手には日々感謝しつつ、今日は顔の見える相手への感謝を残しておきます。

 広島で出会った「源蔵本店」の大将。食べ物の素材の中で私が世界一好きな「蝦蛄」が偶然広島駅の近くにあるというので寄りました。(蝦蛄は今や都内では食べられる場所が殆どなくて、江ノ島の小料理屋に1年に1度行って一尾食べられるかどうかなんです)

源蔵本店 9:30〜19:30まで営業とのこと

 蝦蛄をすぐ頼んだ後、土地のものが食べたいというオーダーをしたけれど、台風とその前の大雨の影響で鱧も細魚も小鰯もないとのことです。「ごめんね。」と大将は何も悪くないのに謝りながら「もしかして広島以外から来てくれたの?」という他愛ない話をしながら、「広島の味楽しめるように作るね」と話してくれて、どの料理も心がこもっていて美味しくも温かい味がしました。

丸々の蝦蛄が出てくるのは驚きかつ嬉しい

 帰り際、「今日は全然仕入れがなくてごめんね。代わりに、旅の道中でこれでも飲んで。」と広島の地酒を手渡してくれました。蝦蛄が食べられるだけで幸せだったのに、次広島に来る時はまた行こうと思う程、幸せな気持ちになります。「源蔵本店」の大将とスタッフさん、ありがとうございます。

 京都で出会ったエスニック系カフェの店員さん。14時からオンライン会議(社外秘でなく個人的なもの)が入っているのに、13時頃からスタバに行けば大丈夫だろうとタカを括っていたら、流石の京都で全く座れないし、座ってもオンライン会議ができるような混雑状況ではありませんでした。

 13時55分くらいに、絶対PCを広げるような雰囲気ではない超地元感あるアジア系の方々が殆どのカフェをなんとか探して。「1-2時間ここでオンライン打ち合わせをしても大丈夫ですか?」と聞いたら笑顔で『OK,OK』と答えてくれて、しかもBGMまで下げてくれました。結局、16時まで会議をしていて、全く嫌な顔せず、周りのお客様にも感謝です。ありがとうございます。

 西成のホルモン屋の店員さんも凄く気配りのできる方でした。「このホルモン鍋凄く美味しいですね!」と思わず声をかけると、笑顔で「これもサービスしますね!」「チャンジャは一人分でも結構量があるから、当てにこの日本酒あった方が絶対良い!」とまたサービスしてくれたり。(お金のないバックパッカーにも見えてるのだろうか。笑 実際お金はないけれど…笑)

ディープなお店は大体人情の厚い人が美味しい料理を出してくれる

 あいりん地区で出会った女性。旧知の仲に挨拶をしにあいりん地区へ。知り合いの店が詳しくは書けない場所なので伏せますが、そこで出会った方が本当に素敵な人でした。「神戸や大阪に来る時はまた絶対この人に会いに来よう」と思える人に出会えて、日本の中では割とデンジャラスな地域にも関わらず、温かい気持ちで去ることができました。その方は「めっちゃ良い香り!」とオリジナルの香水の香りを褒めてくれたり、「神戸と東京のハイブリッドなだけあってお洒落で格好良い!大阪にはおらん!」と文字にすると明らかな社交辞令なんだけれど、伝え方や表情から照れ臭くなるような褒め方をしてくれる人でした。そういえば、少しの間しか話せなくて名前を聞き忘れてしまったけれど、ありがとうございます。

薬や犯罪、殺人だけは許せるものではない

 「赤線」が引かれていた場所には今でも独特の日本文化が存在していて、あいりん地区もその周辺。スマホを見ながらゴロゴロ過ごすような人たちとはまた一線を隠した、文字通り「必死」に生きている人からは、東京のビジネス街で「必死」に生きている人とはまた違う匂いがします。(生の香りは「匂い」と表現するのが適切な気がしています)アングラな雰囲気が好きな上に、私はそうした血を受け継いで生きてきたんだなぁと思わされるくらい、落ち着くことがあります。文化を守ってくれてありがとうございます。(悪いことはしちゃダメですが)

 8月に入ってからは今年も戦前戦後の日本のことばかり考えていたので、こうした風土の中で素敵な御仁にお会いできたのは嬉しい限りです。またきっと会いに行くので、その時はお互いの仕事のお話でもしましょう。

いまだに戦後の雰囲気が残る景色が多い

 「複雑なものや時間をかけないと成し得ないことに自分なりの価値を見出して愛でる」にぴったりなカルチャーを知っている!と思っている場所も、大体先人の賢人に先を越されてしまうので悔しい限りです。30代はアートの作り手になります。

 広島市現代美術館の皆さん。都内のどの美術館よりも素敵なスタッフさんと学芸員の皆様でした。アルフレドジャー展の感動は先日記した通りです。

 そこで出会った佐々木さんという学芸員の方と、3月から働き始めたばかりというスタッフさんがとても素敵な対応でした。スタッフさんとはサウンド・オブ・サイレンス(2006)の展示前で少しお話をして、一生懸命さと真摯な対応に居心地が良くなりました。

 佐々木さんは素晴らしいアートへの洞察があり、私の面倒な質問にも対話的にお答えいただき、普段一人で鑑賞をすると共有の喜びは欠けてしまうのですが、佐々木さんのお陰で満ち足りた気持ちで去ることができました。ヘラルボニーのこともご存知とのことで嬉しかったです。

 ショップの店員さんも、シャツでヘラルボニーと気づいてくれたようで、「応援しています!」と温かい言葉をかけてくれました。ありがとうございます。

 店員さんと言えば、京都の「Gion Duck Noodles」の店員さんも温かい人柄で気遣いができて、待っているお客さんのマナーもきちんとしていて1時間待っても嫌な気持ちひとつしませんでした。お客さんの質も良いのは店員さんの普段の接客や店内の細部までこだわる意識があってこそのものだといつも感じます。良いサービスを受けると偶にもう一度エプロンを着けたくなってしまうので不思議なものです。店員さんも、あの時あの場で居合わせたお客さんも、ありがとうございます。

ひとり旅の良いところは待ちたい時間待てるところ

 キーホルダーを拾ってくれた少年。帰りの電車で、私の大切にしているバスキアのキーホルダーが落ちたのに気づきませんでした。そうしたら小学生くらいの男の子が「はい」と渡してくれて、何かと思ったら私のキーホルダーでした。「ありがとう!」と伝えたけれど、「とっても大切にしているものを拾ってくれて」ということを言葉にしたなかったのは悔やまれます。本当にありがとう。

 泊ったネカフェの店員さんも丁寧だったし、神戸サウナ&スパというカプセルホテルはその辺のホテルよりホスピタリティと清掃が行き届いていました。この1週間足らずで、たくさんの人の温かさに触れました。ありがとうございます。

 福島で出会った「丸信ラーメン」の優しい若大将。乗り換えの30minくらいで食べようとしたので、「間に合いますかね?」と聞いたら「すぐできます!」と急いでくれて、本当に1分くらいで出てきました。「今度はゆっくり来てくださいね」と送り出してくれて、余裕のある食事が出来ました。ありがとうございます。

 また行こうとか、来年も行こうとか、いつか行こうとか、全て信用していません。明日とは言わずとも来週には自分も相手もいなくなってしまうかもしれないし、普通に会う、話すことすら当たり前でなくなるかもしれない世界線で生きています。

一人でいると心の赴くまま良い場所に出会えたり出会えなかったりする偶然性が楽しい

 ありがとう、とその場で伝えることができても、互いに忘れてしまうことのないように。どこかでまた生きている相手が思い出せるように、手記として残しておきます。当たり前のように、会社や、社会を維持してくれている生産者と消費者、みんなに感謝しながら生活しながらも、明日死んでしまっては何も変わりませんが、明日も生きている限りは何か良い変化を起こせるように。

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