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2021年世界の終わりではない日にあそびたいゲームたち

年の瀬はいかがお過ごしでしょうか、今年も振り返ると沢山の作品がでました。
そんな中で、今年を後々振り返るときにgotyとは違う視点で見るべき作品を、game gameのメンバーに依頼して文章として残しておきたいと思い。

今回の記事を作成しました。ランキングではなく、今年の記憶として残しておきたい作品群です。

『スーパー野田ゲーPARTY』文:仲村海斗


FLASH全盛期のような手作り感溢れるグラフィックに、野田本人のボイスが響く奇妙なゲーム群。プレイするたび程よい脱力感が身体を包んでくれる……そんな素敵なゲームがこれ、『スーパー野田ゲーPARTY』だ。

実際にプレイするまでは『バイトヘル2000』のようなゲームかと思っていたが、それ以上にくだらなく、それでいて人を楽しませようとする姿勢がすごい。すべてがWindowsのペイントで描いたようなグラフィックかと思えば、急にイラストレーターが描いたものに差し替えられたり、実写がいきなり挿入されたり、背景がきれいな水彩画になったり……。

少しでもプレイヤーに楽しんでもらおうと、あの手この手で笑わせにかかる姿勢がプレイしていて実に楽しい。麻雀の牌をひたすら避けたり、バスの停車ボタンを早押しするだけだったり、迷路を移動しながら早押しクイズをしたり。どのミニゲームもクオリティこそチープではあるが、Hip-Hopで言うならノリアキのような……友達が俺たちのために一生懸命パソコンで作ってくれたような、どこか温かみと優しさが味わえるミニゲーム集でもある。

動画でも見て気に入ったなら、少しでも君に遊んでもらいたい。きっと気に入ってくれるだろう。

仲村海斗
色々試行錯誤中のフリーライター
最近ゲーム熱が再燃してきた
Twitter:https://twitter.com/WalpurgisN
Pixiv:https://www.pixiv.net/users/14105560

『サイバーパンク2077』文:シンジ:SHINJI-coo-K(池田伸次)


『サイバーパンク2077』は物量という意味で津波のような作品だ。うまくミッションや戦闘とそれにおける武器の選択、アパレルの意味もある防具の服装、ハッキングのためでもある身体拡張といった情報の取捨選択を乗りこなせれば極上のサーフを味わえるだろう。

オープンワールドの舞台となるナイトシティはあらゆる事象が押し寄せてくる………ただ歩いているだけでも人々からの通信が絶え間なくやってくる。周囲の光景はネオンの洪水だ。かと思えばスラム街では色彩を失いその落差に驚かされ、そのバリエーションに揺さぶられる。

 本作はビデオゲームにおけるプレイヤーの立場、そしてヒーローの存在を再定義する。かつてのナイトシティの革命家、英雄的ロックバンドのフロントマン、現在の主人公V(ヴィー)の意識に幻視のように存在する「ジョニー・シルバーハンド」によって。

本作は彼らのバディもののように進んでいくが、正義は1つではないし、お互いがお互いを妥協して受け入れていくさまはきわめて人間くささがある。ナイトシティは人種のるつぼだが、主人公に彼らを据えたことによってある種のダイバーシティが確立された。本作の醍醐味とは彼らのやり取りにあり、主役は街を活かしたクエストなのである。

シンジ:SHINJI-coo-K(池田伸次)
videogame enthusiast http://bit.ly/2TOXM6K and hip-hop beatmaker (+plural genres composer)http://bit.ly/2Dax1EI Twitter:https://twitter.com/SHINJI_FREEDOM

『FANTASIAN』文:ヒロック

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「JPRG面白いけど何百回と繰り返す雑魚戦が苦手。特にターンベースバトルはだるいわ」

game gameのメンバー内で何度かそのような議題で盛り上がったことがある
そのたびにJRPG好きとして被告の弁護にまわるのだがこの裁判思い返すと全て敗訴で終わった気がする

なぜなら私自身も心の奥では怠いと思っているからだ。
本作はそんな誰もがだるい(?)JRPG雑魚戦問題を解決するディメンジョンバトルと呼ばれるシステムがある

これはクレジットカードの決済のようなシステムでエンカウントした雑魚敵を異次元に飛ばしてストックしておくことでまとめて戦うことができる
まとめて戦うと効率的にレベル上げもできるし十数体いる敵を全体攻撃で一掃する快感も生まれ雑魚戦のストレスがかなり軽減されている。
さて、憂いは晴れただろうか?

ではFF生みの親坂口博信による新作JRPG『Fantasian」を是非ともプレイしてみてほしい!

ヒロック
JRPG大好きゲーマー
Twitter:https://twitter.com/hirock36

『NKODICE』文:シンジ:SHINJI-coo-K(池田伸次)

『NKODICE』。それは、社会通念上で発話できない言葉を美麗な3Dグラフィックスとアニメーションによって表象させられうる、自慰を覚えた15歳の魂の博打だ。

オ・チ・ン・コ。コマーシャルに心を売り払ったテレビでは決してモニタに映ることのない文字列が、サイコロの形で踊るかのように、あらわれ、私たちの心の中に住む稚児の心をダンスさせる。

オ・マ・ン・コ。売るべき言葉を載せるべきスペースを広告に卑しくも売り渡した新聞紙では書かれることのない単語が、 マイケル・ジャクソンのような釘付けになる舞踏を見せてくれる。

本作はパレスチナ軍での兵士と、日本で避妊を厭う高校生の魂を併せ持った、傍若無人のアートハウスビデオゲーム。本文を書くにあたり、スマートフォンでの不器用なタッピングでバッテリーを12パーセント使った。

使わされた。語るにあたって使う労力を厭わせない魔性の魅力がある。もしあなたが書くとしたらどれだけの労力がかかるだろうか。想像するだにおそろしくもいとおしい、愛と魔性。

『風雨来記4』文:みお

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主人公は新聞社のコンペ企画で岐阜県に訪れるルポライター。主人公は作中で、「他人が用意したルートを辿って楽しむのが『旅行』、自らの判断で行動し、責任も自ら負って楽しむのが『旅』」…というように、作中で何度も「旅行」と「旅」の違いを口にします。

今作はそんな「旅」を楽しむために作られた作品です。どこに取材に行くかも、どんな写真を撮るかも、コンペ企画を頑張るかどうかさえも自由。緑の多い岐阜県の山道をドライブしたり、マイナースポットを探索したり、いま岐阜県で実際に起こっている土砂災害やソーラーパネルに関する問題まで、プレイヤーは岐阜県のことを深く知ることができるでしょう。

ヒロインたちとの出逢いも「旅」らしく偶然で、(一応ギャルゲーという体でありながら)ヒントもほとんどありません。

この「旅」の体験を不親切と取るか、独創的なシステムと取るか…楽しめる人には、深く心に刻まれる作品になるでしょう。

2021年で最も独創的なゲームは?と聞かれたとき、私はこのタイトルを選びます。

みお
シューターやADVを好むSUDA51ファンの雑食ゲーマー兼ちょっとゲームライター
Twitter:https://twitter.com/mttk3029
IGN JAPANで書いた記事:https://jp.ign.com/u/mio

『Unpacking』文:カワミス.福袋ファイター


『Unpacking』は端的に言うと荷解きのゲームだ。見知らぬ人が段ボールに詰めた数々の物を本棚や引き出し、机上の上に収めていく。なんてことはない、日常的に行うことが出来ることのように見える。ただ、このゲームの肝はそこにある。

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 その箱に詰まっているのは「見知らぬ人」の経験、歴史……つまり人生そのものだ。何を思い、何を考え物を箱に詰めたのか。それを知るには開封するしかない。開封して部屋に物を収めながら、その人の人生を見ていきましょう。

また、このゲームは収め終わるとどういう収納をしてきたかを写真や動画で記録をしてくれます。その収め方でもプレイヤー自身の性格が出てきます。本は大きさ順に並べてる?それともバラバラ?洋服は色で分けてる?それとも種類?全部箱から出して収納する?それとも一個一個箱から出して直接?その収納方法一つ一つにあなたの人生が写されていきます。

また、このゲームは非常にSEにもこだわりが感じられます。ただコップを置くにしても木製の机とガラスの机では違う音が出ます。そういったこだわりで、より荷ほどきへの没入感が強まっていくこと、間違いなしです。

是非、皆さんもゲーム内の見知らぬ人の、そして自分自身の人生をここに表現してみてください!!箱を開封するまで、それは分からないのですから。

カワミス
一般人。福袋が好き。
Twitter:https://twitter.com/kawamisu

『No More Heroes 3』文:庵野ハルカ

約11年ぶりにトラヴィスがサンタデストロイに帰ってきた。

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Wiiで1作目と2作目が出たのちに沈黙を続けていたシリーズだが、2019年に番外編『Travis Strikes Again: No More Heroes』が急遽リリースされたかと思えばこの度の3が本当に発売されてしまうという異常事態。シリーズ恒例のコントローラーをシコって充電するビームカタナのアクションはさらにパワーアップし、アクションゲームとしての完成度は確実にシリーズ最高だ。セルフパロディも含んだメタなギャグやオタクなネタの応酬はこれぞSUDA51!と言いたくなるだろう。
 ただ、楽しいはずなのにどことなく寂しさが漂う作品でもある。やはり10年の時は長かった。ヤンチャな20代だったはずのトラヴィスは家庭のある40代のオヤジとなり、サンタデストロイは再開発で大きくその姿を変えてしまった。前作まで登場していたマスク・ド・UH氏にももう会えない。「あの時」は戻ってこないのだ。
 時の流れとともに「大人」になってしまったトラヴィスの戦いは時に虚しく哀しい。SUDA51総決算のような作風に最終回感も感じてしまうが、本作は決して終わりを描いた作品ではない。終わりにして新たな始まり。トラヴィスの旅は一つの区切りがつくが、新たな世代の胎動とSUDA51の新章を予感させるラストには大いに期待させられた。誰もが驚く最終バトルは、同じく今年一つの区切りを迎えた同時代のクリエイターへの須田剛一氏からの最大限のエールであり、自身の次の一歩を踏み出す宣言である。ゲームは終わるが、クリエイターの戦いは終わらない。1人のファンとして彼らの戦いをこれからも見守っていこう。そう強く思わされる力に溢れた作品である。

庵野ハルカ
映画とアニメのブログ「雑多庵」の庵主
最近の趣味は90年代エロゲー研究
Twitter:https://twitter.com/anno_haruka
ブログ:http://zattaeiga.blog.jp/
note:https://note.com/anno_haruka

『Pikmin Bloom』文:hahaha


『Pikmin Bloom』は町中を歩きながらピクミンを引っこ抜いていく、いわゆる「位置ゲー」だ。本作にはバトルや競争などゲームらしいものが極めて少なく、ゲームと言っていいかは疑問があるだろう。だが、それが本作の良いところ。無理にやらなければならない要素はない。本作は日常のなかにピクミンがいるという、ちょっとした幸せを味わえるクオリティ・オブ・ライフが上がるツールなのだ。

https://www.youtube.com/watch?v=ASiskYT0WME

hahaha
対戦ゲームを主に遊ぶゲーマー・ライター
『シュタインズ・ゲート』など、アドベンチャーゲームもやる
Twitter:https://twitter.com/hahaha121


『メガトン級ムサシ』文:reddot


 『メガトン級ムサシ』は建造に5年の月日を要した。
 2016年の発表以来、巷では本作の完成を危ぶむ噂が何度も立ったが、2021年11月、ついにその巨体をあらわにした。

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 往年のスーパーロボットアニメを彷彿とさせる巨大ロボット「ローグ」を操作するアクションはキビキビ動き、ド派手な必殺技でとにかく敵を殲滅することに集中できる。

最大の売りであるカスタマイズ要素は各部のパーツ変更をはじめ、CPU性能やデカールの貼り付けに至るまでスペックと外見を細かく設定でき、さながらプラモデルをいじっているような感覚が味わえる。それでいながら、細かいことを考えずとも画面の表示に従って能力値の高いパーツをガシガシ組み合わせるだけでもミッションクリアは難しくない。

本作には上記の戦闘がメインとなる非日常パートと、町でストーリーが進行する日常パートがある。主人公「一大寺大和」をはじめとする高校生たちは、普段は学生として町で生活し、外敵の襲来に応じてローグに乗って戦う。

異星人「ドラクター」の侵略によって大多数の人類が死滅した本作の世界では、ドラクターと戦う人間を除き、多くの人々がその記憶を忘れさせられて避難シェルターで穏やかな日常を送っている。

こうした悲惨な現実を前にすれば、ありふれた日常を過ごすことは幸福なことのように思える。しかし大和や仲間たちは日常のなかに満たされない思いを抱えており、非日常の中に自分の生きている実感を見出し、ドラクターへの反転攻勢に打って出る。

大和たちが繰り広げる激しい戦いは、静かな日常があってこそ、そのコントラストが際立つものとなっている。

物語の舞台となる「赤城町」はさして際立った所のない、21世紀の日本の町並みをシェルター内に再現した町だ。戦闘シーンの騒々しさとは対照的に、赤城町では環境音が聞こえるのみ。町に息づく人々はフルボイスで日常の中の喜怒哀楽を語ってくれる。

彼らは世界に起こった事実を知らないものの、それぞれの日々を懸命に生きていることが感じ取れる。メインとなる戦闘パートに負けず劣らず丁寧に描かれた穏やかな日常は、ロボットアクションだけではない本作の意外な魅力となっている。

これまでのレベルファイブ作品の集大成ともいえる本作は、ゲームのリリースに先立ちアニメが放映され、12月には初のアップデートとともに2022年秋までのロードマップが公開されるなど、メーカーの力の入れようが伺える。

1970年代のロボットアニメを現代的に再構築し、マニアックな物ではない形で新しい世代に伝えようという気概を、個人的には高く評価したい。
 渾身の力で放たれたメガトンパンチは来年もまだまだ勢いがありそうだ。

reddot.
演劇集団「ゲッコーパレード」のメンバー
ゲームのNPCに関心を持つ
Twitter:https://twitter.com/foppaJ?s=0
note:https://note.com/reddot


『ジャックジャンヌ』文:canavis

『ジャックジャンヌ』は歌劇学校を舞台にした、学校生活と歌劇本編をおりまぜた、ドキュメンタリー+歌劇のような作品だ。

公演が始まるまでの日常パートでは登場人物が自分の弱さ、仲間への思い、舞台にかける思い入れ、そして覚悟を丹念に描いている。公演パートでは、日常パートで丹念に描かれた登場人物の思いが劇の物語とリンクし、彼らの事情や思いは劇の中で昇華される。

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公演の最中、仲間への思いや、自分の苦悩を乗り越えるように、登場人物達はその場で物語の表現をアドリブや芝居を変えてで進化させていく。公演の舞台裏はそうした変化に戸惑いと混乱を感じつつ、表現がその場で進化していくことと、物語に合わせて自分達が成長していくことの高揚感を一緒に体験することになる。

公演でそれまでの日々の葛藤を清算し、人間関係も、登場人物も公演そのものも大きく成長していくカタルシスは、本作の魅力だ。歌劇という表現に命を燃やす若者たちの季節を体験できる本作は、表現に身を捧げた人ならば、心を打つものがあるだろうと思う。

canavis
game game コミュニティの管理人の一人
音楽家と映像制作とイラストレーターとして活動&勉強中
Twitter:https://twitter.com/canavis_
soundcloud:https://soundcloud.com/axvxa
ポートフォリオ:http://aobato.html.xdomain.jp/aobato/
Pixiv:https://www.pixiv.net/users/15718798

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